奇妙な夢
ガルムの持ち物からくすねてきた金貨を支払う。通貨について変わったことといえば、一回り小さくなったことだけだ。
お腹がいっぱいになると眠気が襲ってきた。瞼が閉じかけてるが、部屋に入って寝なくてはいけない。
部屋に入りベッドを見て、私は牢屋から本当に抜け出したと改めて確認した。もう、あそこには戻らなくてもいい。
そして、そのままフカフカとした枯草ベッドに横になった。
「………おい、起きろ」
もう仕事の時間か?まだ寝かせてほしい……が寝てしまったら、また殴られる。
「起きろ、さっさと起きて用意しろ」
なんの用意だ。何にも私の手元にはない。男を受け入れる準備なんて、したくない。
「次の街に行くから、早く起きろつってんだよ」
街?私は牢屋からでれないのにどうやっていくんだ?。それにしてもイラつくやつだな。
「もうお前はでてるだろ?足を見ろ。足枷なんてないだろ?」
………言われてみればそうだな。聞きたいんだがお前は誰だ?答えてくれよ。
「俺は、お前の事を世界一……じゃないけどまぁまぁ知ってる奴だ」
よくわからない。分かる言葉を喋れ。
「とりあえず起きて、俺のところまで来い」
これは夢だったのか?
「そうだ」
そうか。こんなにリアルなのにな。
「それじゃあ起きろ、エルフ」
分かったよ悪魔。
目を開けると、眩しい光が窓から棒状になり差し込んでいた。それにしても変な夢を見たものだ。あいつは一体誰だろうか?……別に知らなくてもいいが。少し外を散歩する事にしよう。
宿屋を出ると、周りは静かだった。日が昇ったというのに誰一人として外にいない。
誰も起きていないらしい。まぁ、そんなことはどうだっていい。少し村を探索してみよう。




