料理
「…………んん?何でこんなとこで寝てんだよ?」
木の影で服を着ている最中ガルムは目を覚ました。もう一度爆破大砲をぶちかましてやりたいけど我慢。
「あ、サリアー何処にいんのー?」
「黙れゴミ。その目を潰してやろうか?」
後はローブを頭から被るだけ、主人から貸してもらった木桶は持った。早く帰ろう。うるさくてもいいから、早く宿に帰りたい。そして忘れたい。ゴミに関する何もかもを記憶から消したい。
「ちょっ!?ゴミはないだろう。………ていうか御機嫌斜めみたいですね?」
「うるさい、ハゲゴリラ。心臓を魔物たちの餌にしてもいいんだが」
ローブも着た。フードから白髪が出ないように全て詰め込む。そして私は、もう二度とここには来ないことを誓って、温泉を去った。
「汚らわしい男の裸なんて………局部が見えなくてよかった」
道を戻っている最中ふと口に出す。
汚らわしい男の裸なんて見たら、目が潰れると母が言っていた。確かにその通りだと私は思う。男なんて汚いし怖い。
泥だらけの身体、青痣だらけな上赤く腫れた顔、その細く力を入れればすぐに折れそうな手足は鎖で繋がれている。それなのに、よく欲情できるというものだ。くだらない。本当に、男というものは、くだらない。
主人に木桶を返して、そのまま宿屋の階段を降りた先にある酒場に入る。
酒場は人間共が沢山いた。男共が手にしているくすんだ色の飾り気のないジョッキの中には、よく冷えた泡立つ金色の液体が溢れそうなぐらい注がれているのだろう。
とりあえず、滑らかな羊皮紙に手書きで書かれた品書きに目を通す。美味しそうな品を二つ程見つけたのでそれを頼むことにしよう。
「注文はなんだい?」
「………えと、ウサギ肉のパエリアを頼む」
白いエプロン姿の者に料理を頼む。エール酒も頼みたかったが、今日はやめておこう。どうせ、頼んだところで子供だからと言われて無理だろう。
頼んでから数分で料理は運ばれてきた。早いな。
一口切り分け口に運ぶ。ふむ、出汁も使わず素材から出るうまみを最大限に引き出してあり、地味な見かけに寄らず案外美味い。
ペロリと平らげた後、続けてキノコと山菜のグラタンを頼む。よくよく考えてみればまともな食事なんて久しぶりだ。
グラタンもすぐにきた。
慎ましく食べろと母から言われていたが、そんなことなんて全く頭になかった。




