家族旅行ー問題発生ー
しばらくすぎてスイマセン。
キャラをだいぶ違う感じにちょこっとずつ変えていこう計画してるため、前の方がいい!と言う方は見ない方がいいかな、と。
全然大丈夫って方はどうぞ
緊急連絡が入ってから数分。
距離があったこともあって、出遅れたがようやく目的地が見えてきた。
「芝崎」
「この辺りですけど…樹様ッ!!」
詳しい場所の特定をしようと思い、後ろを走る芝崎に振り返って聞く。すると何か言ったわけでもないのに芝崎は心得ているかのようにその答えを口にした。本当に彼女は優秀だ。
しかし、そんな芝崎の顔が次の瞬間、普段滅多に見る事もない慌てた様子へと変わった。
「お前ら!!どうした!!!」
芝崎の指さす方向。そこには、部下数名が見事に地に伏せていた。
命には別状はなさそうだが、相当くらっている。我が組織でも優秀なメンバーを集めたつもりだったが…
どこのどいつかしらねェが、こりゃ相当な兵にやられてんな…クソッ!
樹は心の中で大きく舌打ちした。するとちょうどその時、わずかながらに意識がある部下を見つけて、樹は慌ててその部下の元へと駆け寄った。
「おい、大丈夫か!?」
「…っ、い、樹、さま…なにものか、ゲホッゲホッ!!!」
「いいからしゃべるな!!芝崎ッ!!」
「至急、救護班を呼びます…ッ!!」
「ちが…い、つき、さま…おれら…ゲホッ…」
「もういい!しゃべんじゃねェ!!」
そう諭すが、部下の一人は懸命に何かを伝えようとする。
それが何を示しているのか、それはすぐさま理解できた。
「C、チーム、です…ゆ、きさま、がっ…ゲホゲホッ!!!」
「侑紀?…お前ら、侑紀担当チームか!!?」
今回家族は3組。それぞれA.B,Cと分けてCチームは侑紀担当。
本来ならば熟練のメンバーが守る手筈だったのだが、たった一人じゃ寂しかろうと、精鋭と言ってもまだ若い、年の近い奴らをCチームに集めたのが仇となった。
樹の言葉に、必死に動かない体に鞭打って首を縦に振る部下の姿に、当たってほしくもない答えが見事当たってしまって、心の底がどんどん冷えつく感じがする。
まるで、氷をそのまま飲み込んだみたいだ。
護衛であるCチームはここにいる。
じゃぁ、侑紀は?
この護衛を倒した奴がウロつく園内に、一人?
サァッと血の気が引くのがわかる。
樹は、一瞬なんのことか理解できず、否、理解したくなくてその場で固まる。
そして、
「芝崎!後は頼んだぞ!!!」
「樹様!?お一人でどちらに行くんですか!!?樹様!!」
部下をその場の芝崎に託し、制止の声など聞こえぬふりをして、樹は持てる限りの速度でこの辺りにいるであろう侑紀を探す。
敵に自分の居場所がばれるなんてしったこっちゃない。
来るならきやがれ。お前らの狙いであるおれはここだぞ。
必死に可愛い息子の名を叫びながら走り回る樹の姿は、暗殺のプロという影なんて微塵も感じられなかった―――
「侑紀!!!!どこだ!!!」
いまだ見つからない息子に、冷や汗を垂らしながら樹は見落としのないようにあたりを見回す。
しかし、影も形も見えない。
敵が敵だけに、時間がたつたび嫌な予感も膨れ上がる。
樹は、そんな考えを打ち払うように頭を振って、もう一度探しに戻ろうと踵を返した。
そして、角を曲がろうとした時、
ヒュッ
「ッ!?」
突然、音もなく表れた蹴り。
侑紀のことで頭がいっぱいで、落ち着きも冷静さも欠けていた樹はその存在に気付く事が出来ず。
「くっ!」
なんとかガードの腕ははいるが間に合わない。
その思い蹴りによって樹は、いとも簡単に吹っ飛ばされた。