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泣き虫彼女の本当の気持ち

『唯は本当に泣き虫だなー。』

『だって....だって....。』

 僕の名前は池ケ谷瑞希。僕にはとても泣き虫な幼馴染がいた。

 幼馴染の名前は櫻井唯。

 学校から一緒に帰っていた途中つまずいて膝を擦りむいてしまった。

『唯!もう泣かないで。僕がずっと君の事を守ってあげるから!』

 唯を泣き止ませる為にそう言うと、泣いていた唯は泣き止み笑顔で、

『うん!』

 とうなづいた。


 それから十年ーー


 僕と唯は高校二年生になった。

『瑞希ー!一緒に帰ろー!』

 チャイムと同時に僕のことを迎えに来たのは幼馴染の唯だった。

 現在、僕と唯は付き合っている。

 気が付いたらそうゆう関係になっていた。

 中学に入る前から空手を初めた唯はもう泣き虫ではなかった。

 空手を初めてから唯は明るく、いつしかクラスの中心人物になっていた。

 唯は僕より強くなり僕が唯に守られる事の方が多くなった。

 高校に入った頃不良達に絡まれていた僕を助けてくれたり、クラスメイトから悪質な嫌がらせを受けていた時も唯は僕を助けてくれた。

 もうあの頃の泣き虫の唯はいないんだ....。

『今日はどーする?この前唯が言ってたクレープ屋さん行く?』

『ごめん瑞希!今日なんだか親が大切な話があるからはやく帰らないと行けないからまた今度クレープ屋さん行こ!』

『うんそーだね!また今度行こうか。じゃあまた明日学校でね!』

『うん!ばいばーい!』

 次の日唯は学校に来なかった。

 心配になった僕は唯に電話をしたが唯が電話に出ることはなかった。

 メールを入れておいたが返事は帰ってこないままだ。

 学校が終わったら唯の家に行く事にした。

 ピンポーン。

 インターホンを押すと唯のお母さんが出てきた。

『あら瑞希君こんにちは。どーしたの?』

『唯に会いに来たんです。学校にも来ないし電話もメールも返ってこなかったかものですから......。』

『え?瑞希君、唯から聞いてないの?』

『聞くって何をですか......?』

『お父さんの仕事の都合で来週静岡に引越さなきゃ行けなくなったの。だからもう学校に唯が行く事はないわ。』

 人生で一番ショックな出来事だった。

 あの唯がいなくなるなんてありえないことだった......。

『唯に会わせて下さい!』

『唯ならさっきどこかへ出かけたわよ?』

『わかりました。失礼します!』

 無我夢中で走った。

 唯が行きそうな場所は全部探したが唯はいなかった。

『どこに行ったんだ....唯!』

 一つまだ行ってない場所があった。

 僕と唯が初めて出会った公園が。

 公園に行くと唯は小さなブランコの上に座っていた。

『唯....。』

 唯は僕の声に反応しこちらを見た。

 頬には涙の後があった....。

『よくここがわかったね。』

『探したんだぞ!電話もメールも出ないし!』

『お母さんから聞いたでしょ?私来週引っ越さなきゃいけないんだ....。』

『唯......。』

『私引っ越しなんて嫌!瑞希と離れるなんて私には無理だよ。瑞希がいないと私は一人になっちゃう......。』

『そんなことないよ....。唯ならきっと引っ越し先でもうまくやれるよ....。』

『そんなの無理だよ....。みっくんがいないと私は....私でいれなくなっちゃう!

 みっくんと離れたくないよ......。』

 僕の呼び方も昔に戻っていた。

 唯は泣き出してしまった。

 唯は何ひとつ昔と変わっていなかった....。

 今僕の前にいるのは昔の泣き虫の唯だった......。

 ふと、昔の約束を思い出した。

 唯の事をずっと守る....小さい頃そう約束したはずだ....。

 今こそ、その約束を守る時なのかもしれない!

『唯....。泣かないで。』

『みっくん....?』

 唯は涙で顔をくしゃくしゃにしていた。

『唯!僕と一緒に住もう!唯の親と僕の親は僕が絶対説得するから!』

『え....?』

『君を一人になんてしない!今は無理だけど....二人が結婚できる年になったら僕と結婚しよう!』

『嬉しいよ....みっくん。大好きだよ。』

 唯は泣き止み笑顔で僕にキスをした。



 親はどーにか説得し、今現在も唯と僕は一緒にいる。



『みっくんはなんで私が空手初めたか覚えてる?』

『ごめん....覚えてないや。』

『もぉー!みっくんが「唯が強い子だったらもっと好きなのになぁー」って言ったからじゃん!』

 そーだった。

 小さい頃確かにそう言った....。

 そこから唯はこんなに頑張ったんだな....。

『弱い唯でも、強い唯でも僕は大好きだよ。』

『私もみっくんの事大好きだよ!』

 僕はこれから唯のこの笑顔を守っていこうと思う。

 できる限り唯には笑っていて欲しいからね....。

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