表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
SEELE-久遠の約束-  作者: 綾瀬 綾
第四章
20/34


 廊下の床板が僅かに軋む音。本に集中していたはずのリュイは耳聡くそれを聞き分けた。ライゼだ!

 外鍵ががちゃりと差し込まれるとだらしなく寝転がっていた寝台から飛び起きてそちらへ向かおうとするがしかし、その前に部屋の惨状に気が付いた。

 荷物から乱暴に引っ張り出した辞書やあちこちに散乱する覚え書きの紙。しかも夢中になりすぎて全く気付かなかったのが、いつの間にやら墨壺が倒れて床に黒く乾いた跡が出来ている。

「ただい……ま」

 慌てて片付ける間も無く、扉を開けたライゼと目が合った。ライゼはリュイの周囲を見回して唖然とした顔をする。

「あはは……おかえり」

 笑って誤魔化すとライゼは呆れ気味の苦笑。いつものようにくしゃりと髪を撫でられ、何か言い訳を口にしかけてからようやく、リュイはライゼへの違和感を感じ取る。

「ライゼ、どうかしたの?」

「え?」

 ライゼが珍しく動揺するように瞳を揺らした。ほとんど一瞬の変化だったが、勘だったそれは確信に変わる。

「どうしたの?」

 リュイはライゼを見上げた。鋭く詰問するというよりも純粋な心配の念からだった。

 誤魔化しは効かないと悟ったのか小さく息を吐いたライゼはきしと音を立てて寝台に腰掛け、そして、確認するようにリュイと視線を合わせてからゆっくりと口を開いた。

「……リュイ、話があるんだ」




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ