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唯。~先輩ユイと新人律子

朝のオフィス。

私は、昨晩変な夢を見たせいで、ちょっぴり寝不足気味。

新人の律子の指導係はいつの間にか、私こと、「ユイ先輩」になってしまっていた。

律子は落ち着かない様子で、鏡を覗き込んでいた。

今日は契約更新の日。新人の律子にとっては初めての“大きな仕事”だ。


私は自分のデスクで資料を確認しながら、

(緊張してるな……)と横目で見守っていた。


「よし、身だしなみは、大丈夫ね」

律子は、ポーチにルージュをしまった。


会議室へ向かう廊下は静かだった。

律子は歩きながら、何度も深呼吸をしている。

私は横で歩調を合わせた。


律子は、会議室の扉に手をかけ、中にはいる。私も、それに続く。

うーん、順番逆なんだけど。

「し、失礼します!」


会議室の空気は少し張りつめていた。

律子は席に着くと、緊張のためか背筋が固くなってみえる。

私は資料をそっと差し出し、

「大丈夫、ゆっくりでいいからね」と小声で伝えた。



テーブルに置かれたアタッシュケースから取引先の人が書類を出し始めた。

「今回は契約の更新と変更点に付いてですね。概ね前回と同じですが1点だけ変更があります」


律子の視線が書類の一点で止まった。

(あ、ここで迷ってる)

私は横目でそれを確認し、

必要ならすぐフォローに入れるよう身構えた。



律子のペンが止まった。

「ユイ先輩、これ」

「そうね、私たちの権限じゃちょっと危ないわね」


会議が一段落すると、

私は資料をまとめながら、紙片を揃える。

これは課長に判断を仰ぐしかない



チーン。扉が開く。私は7階のフロアをくまなく探す。

自称勇者課長のごみくず上司め。何処でサボってるのよ。


休憩スペース。

課長はスマホをいじりながらサボっていた。


「課長、契約の件で確認お願いします」


課長は面倒くさそうに立ち上がった。



紅茶の香りが漂う。

「あー、これな。多分問題ない。」

課長⋯雑。


課長は紅茶を手に取り、

一口すすりながら書類をざっと見ただけで判断を下した。


律子はその横顔を見つめていた。



「さっさとサインしちまえよ。んじゃ。後よろしく」

雑すぎる。


課長は、雑。でも仕事速い。権限もある。悔しいけど。



エピローグ


屋上のベンチで目が覚めた。律子が上から見てる。

「ユイ先輩って、猫みたいですね。大事な時にぷいっていなくなるし。屋上で寝てるし」

契約更新の後、私は昼食のお弁当をたべてそのまま居眠りしてたようだ。


「Next-YUI status:O-Vent/S-booster…90%」


私の頭の中にふとそんな言葉が浮かんだ。ちょっとまだすっきりしない。


先方の見送りは律子に任せた。その足で多分ランチに出たんだと思う。

昼からも、別の案件がある。仕事モードに戻らないとね。


それはそうと、律子、その左手に持ってるステッキ何?。


「~新人指導と契約書~」おわり


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