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にゅい。~魔法猫と新人魔法戦士りっちゃん

わたくちは猫でゅある。名前は今「にゅい」。


わたくちは選ばれた少女⋯小学四年生のりっちゃんと一緒に妖魔を倒す使命をもちゅ。


「りっちゃん妖魔の気配よ。気をつけて」

りっちゃんとわたくちは、女子トイレへと駆け込みゅ。

周囲をわたくちが警戒している間にりっちゃんが鏡の前で、変身すりゅ。


「数多の星の光よ集え⋯」

わたくちが教えたりっちゃんの祈りの呪文声が聞こえる。

振り返ると、魔法のドレスに身を包んだりっちゃんは、軽快なステップでくるりと回った。


放課後の学校。誰もいないはずの視聴覚室の前、重苦しい空気が充満している。

「妖気が充満してりゅわ」



わたくちは半開きの扉の隙間から、するりと中に入り、様子をみる。

黒いハコから滲み出る妖気がりっちゃんの友達にまとわりついてる。

早くしないとあの子が完全に妖魔になってしまう。


わたくちは、叫ぶ。

「りっちゃん、構えて、あの黒いハコから妖魔が出りゅるよ」


「うん、わかった」

りっちゃんが緊張しながらポーチから魔法のペンを取り出し握りしめる。


りっちゃんは藻掻く友達を観て、たじろいている。

「…ちゃん、きっと助けるから」

不意に、黒いハコが開き、小さな妖魔が溢れ出す。



すごい勢いでハコから妖魔が飛び出してくる。

「りっちゃん、いちゅも通りで大丈夫よ」

りっちゃんは魔法のペンでサラサラと宙に文字を描いてる。


魔法の文字が光の矢となって小妖魔達たちを射抜いていく。

わたくちは、りっちゃんの様子がおかしいことにきづいた。

射抜くのは周りの小妖魔ばかりで、「本体」に攻撃が向いていない。


りっちゃん、迷っちゃ駄目…今のりっちゃんに必要なのは心の支えね



わたくちは、校舎の廊下を駆け、助っ人を呼びに走った。

「りっちゃん、もうちょっと頑張って、今「彼」をよんでくるわ」

彼、「星屑の勇者」は、りっちゃんのピンチに、また勝利目前に、ときとして現れる。

わたくちは、転送魔法陣を展開して、彼の元へ急ぐ。


わたくちが居るのは魔法界の牢獄。禁忌を犯した彼はそこに囚われている。

女王の許しのみが、僅かな時間勇者を蘇らせる。


-----

セイローン、ヒーリングエクスクラメーション!

わたくちが戻ったとき、りっちゃんは精一杯の技で、妖魔の進行を足止めしていた。


光の粒子が流れていく。

「りっちゃん、大丈夫だ。君なら助けられる、自分を信じるんだ」

勇者の声が、りっちゃんの技の力を引き上げている。


わたくちを肩に載せたままマントを翻した星屑の勇者様。わたくちは落ちまいと必死にしがみつく。


わたくちもりっちゃんに、全力で魔力を送る。

「りっちゃん、浄化を」

まばゆい程の白がわたくちの目に刺さった。


薄暗さがわたくちたちを再び包みゅ。

浄化されたクラスメイトを抱きかかえる勇者。


「りっちゃん、僕はいつでも君の味方だ。また、会おう」

去り際。いつもの決め台詞と共に「星屑の勇者」は鮮やかにわたくちとりっちゃんの前から姿を消した。


戦いは終わった。学校は静まり返る。

カチッっと魔法のペンの音がし、淡い光とともに変身を解いたりっちゃん。

視聴覚室の乱れを直している。一時の平和が訪れた確信。わたくちは猫。魔力もちょっと心もとないし、お先に失礼させてもらうわ。




エピローグ


屋上で目が覚めた。りっちゃんが上から見てる。


「にゅい、酷いよ。大事な時にぷいっていなくなるし。屋上で寝てるし」


事件後、わたくちは魔力切れで気を失っていたようだ。


すこしクラクラするけれど、わたくちは起き上がり、屋上の隅から校庭を見下ろした


救急車の回転灯の光が、夜の校舎を照らしていた。

クラスメイトが運ばれていく。星屑の勇者が呼んだのかしら。

これからも、セカイの境界を溶かす妖魔との戦いは続く。気持ち、切り替えないとね。


「それはそうと、りっちゃん、門限破っちゃったけど大丈夫?」


「魔法戦士りっちゃん。~ともだちと約束~」おわり



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