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第2話 静かなる波動

前回―突然の事故で命を落とした「オレ」。

目を覚ますと、そこは“現世とそっくりな死後の世界”だった。

誰にも気づかれず、何も掴めない。

ただ途方に暮れるオレの前に、ひとつの“波動”が走る―。

あれから、どれくらい経つのだろう。

かなりの時間が経過したと思うが、お腹は減らないし、疲れる感覚もない。

―無感覚、といったところか。


ただ、右往左往している間に、少し分かったこともある。


最初は視界がぼやけていたせいか、生前の街並みがそのまま見えていた。

けれど時間が経つにつれ、二つの世界を同時に見ているような感覚になった。


どうやら“生きていた頃の世界”と、“今のオレがいる世界”が重なって見えているらしい。


生きていた頃の世界を“前世”と呼ぶことにしよう。

今オレがいるここは―“死後の世界”だ。


死後の世界のものは、はっきりと見えるし、触ることもできる。

でも、人と話すことはできない。正確に言うと、声が出ない。

大声を出そうと思っても、音が出ないのだ。

声だけでなく、この世界そのものが“音のない世界”らしい。


一方の前世の方は、薄っすらと見えてはいるものの、手を伸ばしても届かない。

遠くの方でかすかに音がするような気もするが、まるで別のチャンネルを見ているみたいだ。


……ポイント稼ぎをしなくてはいけないのだろうけど、どうしたらいいのかサッパリ分からない。

声が聞こえたあの日以来、何も話しかけてこないし、誰かと話すこともできない。


「はぁ……」

深いため息をついて、傍らの石の上に座り込んだ。


その時―。


ものすごいスピードで、何かが目の前を走り抜けた。

衝撃波のような風圧で、思わず尻もちをつく。


「なんなんだったんだ……」


周囲は砂埃でかすみ、目の前の“何か”の正体を確認しようとしたが、視界には捉えられなかった。

汚れを払って立ち上がろうとした瞬間、

さっきの“何か”と同じような影が、今度はゆっくりとしたスピードで近づいてきて―目の前で停止した。


徐々に輪郭がはっきりしていく。

……人、だ。


その人が振り返り、こちらを向いた瞬間―頭の中に声が響いた。


『お、最近来たんかいな。』


「!!」

「あれ? 声が聞こえるぞ。」


『なるほどな。どうやったら人と話せるかも分からんかったんやな。

声に出すんちゃうねん。意識するだけでええねん。』


「え!? 意識?」


『そうや。今の“え!?”も聞こえとるで。』


……そっか。

声に出す=話すという常識が、ここでは通用しないってことか。


『せやな。生きてた時に当たり前にできてたことが、今はできへん。

逆に、今だからこそできることもあるんや。』


「なるほど……ありがとうございます。

いつ来たかハッキリ覚えていませんが、ずっとフラフラと歩き回ってただけだったので、助かりました。

それにしても、あなたは一体……?」


『ワシか? ワシはまぁ……成績表で言うたら赤点ギリギリの落ちこぼれや。

せやけど、迷うやつ見てたら放っとけん性分でな。』


「ありがとうございます!!」


『ほな、達者でなー!』


また、爆速でどこかへ行ってしまった。

まだ聞きたいことは山ほどあるのに。


あ、名前を聞くのを忘れていた。オレも名乗ってなかったけど。

とりあえず“ナビじい”とでもしておこう。


……何となく、この出会いが、これからの“死後の人生”を大きく変える気がした。

静寂の中で、唯一響いた“意識の声”。

それが、死後の世界での最初の「出会い」だった。


次回―

オレは“ナビじい”の言葉を頼りに、初めて“他の死者が集う場所”へと足を踏み入れる。

そこに待っていたのは、想像以上に“生きている”死者たちの世界だった――。

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