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舞い込んだ面倒事


「それで、詳しく聞かせてもらいます。私は詳細を聞いていないので」


 ファルマイナは会長に問い詰める。このオークションのある日とその周辺は忙しいと言うのに、『修理屋』として受けた依頼がある。それに加えて今回の会長の件があわされば、ファルマイナとしてもこれまでにないぐらいに忙しくなるだろう。

 会長が直接出張ってくるくらいだ、恐ろしく面倒な事態が待っているのは想像に難くない。少なくともファルマイナの直感は、その気配の片鱗を感じ取っていた。


「それに関しては、移動しながら話そうか」


「ちょっと待ってください。まだ調整が終わっていないのですが───」


「『蛇』の依頼を受けた時から既に市場の件は動かしてある。お前の分も含め調整はもう終わしてあるぞ」


 あっけらかんとイロンドは言う。そしてそのまま執務室のドアを開けて、トコトコと歩き出した。ユヅネもそれに追従する。

 そんな態度にファルマイナは愕然としたが、すぐさまその後ろを追い、矢継ぎ早に質問を繰り出す。


「ローデントは?」


「アイツは今日の仕事が忙しいからな、また今度だ」


「会長がローデントに出した“指示”とはなんですか」


「俺がここ『クラッシュクラウン(C C)』に来ている時、何か適当に理由をつけて執務室で待たせろって言っておいたんだ。ま、そんなもんだからローデントは悪かねぇよ」


「その言い方だと、依頼を受ける前から会いたがっていたように聞こえますが」


「その通りだ。今回はそれもあってローデントは外すつもりだったが、まぁタイミングが良かったと言うべきか」


「依頼以外に…?面倒な予感がしますね」


「面倒かどうかは、俺には測りかねるな」


 「食えないジジイだ」などと思いつつ、前の二人の後ろを歩く。副棟の東口から外に出ると、そこには“いかにも”な黒塗りの高級車が止まっており、会長の所有物であると一発でわかる。


(このジジイ、私に自分の訪問を気取られない様わざわざ東に車を置いてやがったな…)


 心の中で悪態を吐く。

 西の大広場から北の商業棟に移動するときは、建物に直接接続された空中通路を使う。そうなると必然的に直接この棟の中へと入ることとなる。東口など見ることはないので、『修理屋』がそのように動くことを想定しての配置であろうことはファルマイナにも理解出来た。


「ファルマイナ様、どうぞこちらへ」


 後部座席に誘導され、そのまま乗り込む。助手席にユヅネ、運転席にはイロンドが乗り込む。

 イロンドはポケットから取り出した鍵を差し込み、車を発進させた。行先はどうやら工業地帯らしい。

 暇なので適当に会長を揶揄(からか)っておくことにした。


「会長、運転できたんですね」


「おいおいおい、俺のことなんだと思ってるんだ!」


「いや、なんかイメージ湧かなくて」


「ちょっと待て、俺の評価低くないか?」


「今更何を、当たり前でしょう。常日頃から打算で物事を考えるからそうなるのですよ」


「ユヅネ…それは職業病と言うヤツだ」


「それを言い訳にして適当に誤魔化している時点でお察しというものです」


 自分の秘書に言葉で滅多刺しにされるイロンドを憐れみ、少しばかり開けた窓から入り込む風で涼む。

 前に座る二人の喧騒を雑音として処理する。そして「車が揺れてもお尻や腰が痛くならないのは、流石に高級車だな」と余計な事を考えるのだった。



 ◆



 工業地帯にも、中心街と同じ様にさまざまな地区が存在しており、大まかに八つの地区に区分けされている。


 電力や水道の供給を担う『中央区』。

 自警団の本部が構える『南A区』。

 流れの職人たちの溜まり場『南B区』。

 生活のままならない者が集まる、工業地帯のスラム『南C区』。

 『解体屋』のテリトリー『西A区』。

 薬品や化学物質が多く取り扱われる『西B区』。

 “外”に繋がる道を厳しく取り締まる、夜の街の関所『北地区』。

 多種多様な材料•部品の製造が行われる『東地区』。

 

 『修理屋』の工房は、南C区の片隅。南B区と西A区が隣接する、『デブリストリート』にある。


 『デブリストリート』とは、大量の廃棄品や中古品、ジャンク品が露店で売りに出される場所で、『スラムの商店街』などとも言われている。スラムの中でも、比較的治安の安定した区画の一つだ。

 そもそものことを言えば、夜の街そのものがスラムのようなものではあるのだが。


 途中車を変え、工房まで辿り着く。


「すまんなファルマイナ…道中説明すると言ったのに、結局できなかったな」


「もう気にしてませんよ、会長…」


「そうか。ま、とりあえず中で話そうか」


 イロンドは鍵を取り出し、工房の扉を開ける。

 そういえば、会長が紹介してくれた物件だったんだっけ…と、忘れかけていたことを思い出し、イロンドに続いて工房に入る。

 自分の住処の筈なのに、当たり前のように合鍵を持ち出し、招かれているような感覚は癪だったが。


「さて、では話そうか。『蛇』の依頼と、外来品…そして」


 一拍を置いて、告げる。



「───『異形の者』について。」

2キャラのセリフの感じ方を混同させないように試行錯誤しています。

また、ナレーションも元々第三者視点でやりたかったのですが、だんだんキャラクターの視点に寄ってきてしまい…修正するべきかどうか迷いました。

言葉って難しいですね。


あと、四話の内容で詰まりました。なんかもう既に更新が遅れそうです…

頑張ります。

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