我が影を討て(シャドウ・バースト)
「過去を許すことは、弱さじゃない。
それは、自分を“生き直す”という強さだ。」
【拒絶の門】の前──
対峙するは、光と影の“同一人物”。
片や希望を選び続けた勇者・カズキ。
片や絶望を受け入れすべてを切り捨てた「もう一人のカズキ」。
【黒カズキ】
「さあ、終わらせようぜ。“理想家”の俺よ。」
黒カズキの剣が振り下ろされる。
その一撃は重力すら裂き、空気が悲鳴をあげる。
《スキル:Sanctum Reversal(聖域逆写)》
効果:対象のスキル属性を反転、再構成する。
カズキが反応する前に、彼の【Sanctum Edge】が吸い取られた。
「くっ……!」
「なあ、もう気づいてんだろ。
希望とか信念とかで世界は変わらねぇ。」
「だから俺は、“感情”を捨てた。
そしてこうして、神に近づけた。」
—
カズキは傷つきながらも剣を構える。
「確かに……お前の言う通り、俺は弱い。
でも、だからこそ、誰かの声が届いた。」
「俺を変えたのは、“誰かの想い”だった。」
「だから俺は戦う。お前に勝って、俺自身に証明する!」
—
⚔️【BATTLE:カズキ vs 黒カズキ】⚔️
激突する二つのSanctum。
正と負。記憶と断絶。選択と拒絶。
空間が崩壊し、次元が歪む。
一撃、また一撃。
魂の奥まで届く打ち合いに、時間の意味すら失われる。
—
だが、カズキはまだ“覚醒”していなかった。
黒カズキが最後の一撃を構えたとき——
その前に立ちはだかったのは、エリスだった。
「その人は……もう、自分を責めてなんかいない。」
エリスの瞳が青白く輝く。
額に浮かぶ紋章が、彼女の“真なる血”を覚醒させた。
《禁術展開:記憶変換術式「ヴァーレ=ミア」》
効果:対象の記憶領域を再構成し、“痛み”を希望へと書き換える
黒カズキの動きが止まる。
彼の目に、走馬灯のように浮かぶ“もしも”の記憶。
— 助けられた仲間
— 救えた命
— 微笑むエリス
— 涙する少年兵
— そして、何よりも「誰かが信じてくれた未来」
「……そんな未来が……あったのか……?」
剣が崩れ、彼の身体が塵のようにほどけていく。
最後に浮かべたのは、初めて見せた“安らかな笑み”。
「なら……お前に託すよ。俺の分まで、進んでくれ。」
—
《試練完了:拒絶の門 開門》
神域・第五階層へ進行権獲得
—
門が開く。
その向こうには、無数の星のような構造体が浮かぶ。
そして、中央に佇むのは——
“神々の創造者”にして、全ての根源
【アストリス・コア(ASTRIS CORE)】
「ようこそ、終末の観測者たちよ。」