拒絶の門(ゲート・オブ・デナイアル)
「神にさえ拒まれた地に、踏み込む覚悟はあるか?」
神域アストレイア・第三階層を突破したカズキたちは、
その先に存在する“最も危険な領域”へと向かっていた。
神々の記録にも存在しない、第四階層──無神の領域(むしん の りょういき)。
それは、「神にさえ拒まれた地」
そして、神の干渉が届かない唯一の場所。
巨大な石碑と崩れた聖柱が点在する死の大地。
空は濁った灰色に染まり、魔力の流れは渦を巻くように歪んでいた。
足を踏み入れた瞬間、**全員のステータスが強制的に“無効化”**された。
《Sanctum機能 一時停止》
《神域コード 非適応領域》
「……ここじゃ、何も使えない。」
「その通りだ。」
アーセルが剣を収めながら警戒する。
「ここは、“理の空白”。神の意志が届かない、もう一つの世界の名残だ。」
「もう一つの……?」
「かつてこの世界が“最初に造られた”時、
存在していたはずの“並行の神域”。」
「そしてそれを、神々が消し去った。」
そのとき、空から“青黒い雷”が降り注ぎ、周囲の空間が震えた。
霧の中から現れたのは、フードを被った一人の少女。
だが、その存在感は異常だった。
時間が一瞬止まったように感じる。
風も、魔力も、全てが彼女の前で“止まった”。
「ようこそ、選ばれし者たち。」
「私は、“拒絶門の番人”──《シア=レムナ》。」
彼女の目は、エリスを真っすぐに見ていた。
「そして……君も来たか。“禁忌の血”よ。」
エリスの身体が一瞬、震えた。
「……あなたは……知っていたのですね。」
「君の血脈は、“神造”ではない。“混源”の末裔だ。」
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⚠️ 【エリスの正体 開示】
本名:エリス=ラグラン
血統:混源神の遺児
特性:神域無効体質・意識耐性MAX
能力:記憶越境/概念変換(未覚醒)
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カズキは驚きに声が出なかった。
だが、エリスはただ静かにうなずいた。
「私の祖先は、神々と敵対した“もう一つの種族”の生き残りです。
この力が目覚めれば……私も、“神の敵”になります。」
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シア=レムナは、手を広げる。
「ならば、お前たちに最後の問いを与えよう。」
「この門の先に進むには、“もう一人の自分”を殺せ。」
「……もう一人の?」
その瞬間、地面が割れ、黒い霧がカズキの足元から立ち上った。
霧が形を取り、現れたのは——
黒衣のカズキ。瞳は虚無。笑みは冷たく、手には黒い剣。
「よう、俺。」
「お前が“希望を選び続けた結果”なら、
俺は“絶望を受け入れた結末”だ。」
■【黒カズキ(Alt.Kazuki)】
クラス:堕ちた勇者(Fallen Hero)
属性:無/闇
特性:神殺し/Sanctum逆転コード
セリフ:「守れなかったことを、何度も夢に見た。だからもう、守ること自体を捨てた。」
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「この戦いに勝てなければ、門は開かない。」
「“己を否定する覚悟”を持てるか、それがこの階層の試練だ。」
カズキは剣を構える。
「……なら、見せてやるよ。」
「俺はもう、過去の自分に縛られない。」
「守れなかった後悔も、失った痛みも、全部背負って前に進む!」
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