本編
「…私のことを地位や容姿でしか評価しない女性ばかりの中、彼女だけは私の内面を見てくれた。爵位の差など関係ない。我が妻となるのはアガート・ブルーム男爵令嬢ただひとりだ」
夜会の参加者全員に聞かせるかのように、公爵家嫡男であるレイモン・ジェガースは宣言した。
──少し離れた位置でそれを聞いていたミレイユは一瞬見開いた目をそっと伏せると、目立たないようゆっくりとその場を後にしたのだった。
ミレイユが長女として生まれたベーチェット伯爵家はこれといって特筆すべき点はないが、温厚な父が堅実な領地経営を行っていて代々安定した地位を保っている。
後継の兄も優秀な上に政治的な結びつきが必要な状況でもないため、ミレイユの結婚については選択にかなりの自由度が与えられていた。
(公爵家にだって嫁げなくはない身分…いえ、そもそも『爵位の差など関係ない』のだった。なによりレイモン様のことは、私が一方的にお慕いしていただけ…親しくお話させていただくことも、一度も叶わなかった)
これまでに何度か、社交の場で挨拶を交わしたことはある。
毎回ミレイユの方から勇気を振り絞って声をかけたのだ。
銀髪にブルーグレイの瞳の、怜悧で美しい面立ち。だが無表情、無愛想、無機質な態度で“氷華の貴公子”と呼ばれるレイモンは、ミレイユに挨拶以上の会話をする機会を与えてはくれなかった。
それは他の令嬢たちも同様だったが、どれほど素っ気無い対応をされても婚約者のいないレイモンを諦めない者は多い。あらゆる手段を使い周りを蹴落とし、彼の隣に立とうと水面下で争いが行われていた。
貴族であっても幼い頃に婚約者を立てることは弊害が多く見られたため、昨今では十代半ばから二十歳くらいの間に婚約を結ぶのが主流である。政略の必要がない令息令嬢は学生の間に自分で相手を探したり、両親が見繕った相手と見合いをして結婚するのだが、そのぶん人気のある異性は壮絶な奪い合いとなるのだ。
引っ込み思案なミレイユには、その争いの合間をかいくぐって声をかけるだけで精一杯だった。
さらにレイモンは容姿端麗な次期公爵というだけでなく、薬学の天才でもあった。
学院に在学中だった三年前には、伝染病の特効薬を開発して国王陛下から直接勲章を賜っている。
毎年冬になると流行するその病は死者も一定数出ていたため、レイモンは王国の英雄とまで称えられるようになったのだ。
──その難攻不落たる英雄にして“氷華の貴公子”の様子が最近、変わったと噂になった。
情報通の貴族の間でその原因はとある令嬢の存在らしい、とさらに噂は広がり、本日の夜会で社交界の中心人物である某侯爵夫妻が大胆にもレイモン本人に真相を訊ねたところ、衝撃的なあの発言が飛び出したのである。
アガート・ブルームなる男爵令嬢について知っている者はおらず、レイモンは正式な婚約を結んでから社交界に伴うつもりだという。現在わかっているのは名を聞いても誰もピンとこない程度の家格であること、これまで社交界に顔を出してこなかったこと、そして…『“氷華の貴公子”の氷を溶かした唯一の令嬢』であることのみ。
(大勢の人々を救った頭脳、公爵家の後継に相応しい高潔な性格、それに加えて地位と名誉、財産に容姿…全てを兼ね備えたレイモン様が、なんの取り柄もない私などを選んでくれると思っていたわけではない、けれど…)
自分にそう言い聞かせてみたところで心が痛むことに変わりはなく、ミレイユはその夜誰にも知られずひっそりと涙を流し…淡い初恋を手放したのだった。
三年前のレイモンの功績に影響を受け、その後学院に入学したミレイユは薬学を専攻していた。
レイモンのように新薬の開発ができるほどの才能はなかったが、学ぶにつれていつのまにか原料となる薬草に興味をもつようになっていった。
「ではワケイツギの根さえ入手しやすくなれば、薬の生産も拡大できて値も下げられるのですね」
「特効薬のキモといえる原料だからね。ただワケイツギは稀少な高山植物で、採取に手間がかかる上に数を揃えるのも難しい。栽培に成功すれば安定した生産が見込めるんだが…」
学院の薬草園で、薬学部の先輩であるアレックス・ウェルナーと意見を交わし、試行錯誤を繰り返す日々は充実していた。
アレックスが研究しているのはルベラ病…例の伝染病の特効薬についてだった。レイモンが開発した薬は多くの患者を救っていたが、原料が稀少なためどうしても価格が高くなってしまい、平民がなかなか恩恵にあずかることができないのだ。
「ウェルナー領の山でワケイツギが採れたのは幸運だったな。レイモンの研究の役に立てて、はじめて自領が田舎で良かったと思ったよ」
アレックスはレイモンと同い年で、特効薬の開発にも手を貸していた。レイモンはミレイユの入学と入れ替わりで卒業してしまったが、アレックスは学院に残り研究を続けている。
ミレイユにとってアレックスは先輩というだけでなく、英雄レイモンの尊い盟友である。『男爵家の三男が、伯爵令嬢に礼を失するのはちょっと…』と渋るのを説き伏せ、砕けた話し方をしてもらっていた。
ダークブラウンの髪と瞳、特別美形というわけではないが穏やかな性格があらわれている顔立ちは、いつもミレイユを落ち着いた気持ちにさせてくれる。
卒業後もレイモンは研究室に立ち寄ることがあるらしい。最初は顔を合わせることへの期待がなくもなかったが、学ぶことに夢中でそんな意識も徐々に薄れていく。実際昨日現れた、だの先ほど見かけた、だのと学院の女子生徒が騒いでいるのは知っていても、結局ミレイユが会う機会は一度もなかった。
…そして最終学年のとき、家族と出席したあの夜会で爆弾発言を聞くことになったのだ。
「ベーチェット領には避暑地となっている高原地帯があります。山地とは違っていても気温が低く生育条件が合いそうなので、試しにひと株でもいいので植えてみたいのですが」
失恋した後であっても、当たり前に日常は続く。ミレイユはアレックスの研究をサポートすることに没頭していた。
「ミレイユ嬢の考えであれば試す価値はあるね」と貴重な植物を託してくれるアレックスは、研究熱心で地道な努力を続けるミレイユを完全に信頼している。
──そんな研究の日々が実を結ぶ前に、ミレイユの卒業が近付いてきた。
「控えめで上品な令嬢であるあなたも、薬草園で土埃を気にせず作業をするあなたも素敵だと思っていた。…レイモンに憧れていたことも知っていたから、すぐに気持ちを切り替えるのは難しいかもしれない。その上僕は家も継げない三男で、まぁ研究成果をあげていずれ自力で爵位を得るつもりではいるけれど…この先思い通りにいく保証なんてないんだよな…。やっぱり僕では不相応かな…?いやそれでも…だからって…ううん…」
それは薬草園のベンチに二人で座り、いつものように休憩を取っていたときのことだった。
良い雰囲気ではじまったアレックスの台詞はなぜかどんどん甘さを失い、決定的な言葉を出す前に自虐と不安で本題を見失って独り言に変わり、勝手に撤収しそうな気配が漂いはじめた。
ミレイユは赤らめた頬をその直後に(諦めて話を切り上げられる心配で)青ざめさせたりで内心混乱していたが、どうしても続きが聞きたくて必死に意識を集中する。
そんなミレイユの視線に気付き、アレックスはようやく覚悟を決めたようだった。
「本当は叙爵されたら求婚しようと思っていたけれど、その前にあなたが誰かと婚約してしまうかもしれないと思うと耐えられなかった。
ミレイユ・ベーチェット伯爵令嬢。必ず研究を完成させて爵位を得てみせるので、僕と結婚してください」
「…はい、喜んで。研究の完成は私も願っていますが、爵位はなくても構いません。その、これからも一緒にいられるのであれば…」
(『爵位など関係ない』というレイモン様の言葉が、今はよくわかるわ)
学院で共に過ごすうち、心から尊敬するようになっていた。“お嬢様”の意見などまともに聞こうとしない者もいる中で、対等に扱ってくれたことが嬉しかった。さりげない気遣いや柔らかな笑顔に気付いたら惹かれていた。
研究のためお互いの領地に訪問したこともあったため、両家の顔合わせははじめから和やかだった。伯爵令嬢であるミレイユが継ぐ家のない男爵家令息に嫁ぐという点だけが、ミレイユの家族以上にアレックスの気にするところではあったが…ベーチェット家からは「ミレイユが幸せになれるなら」と大らかに許され、無事に正式な婚約が結ばれたのだった。
「娘のために今後爵位を得るほど活躍をしてくれるなら、それに越したことはないがね」と伯爵からはさりげなく付け加えられたが。
──それから一年と少しの時が流れ、王家が主催する夜会にアレックスとミレイユはお互いのパートナーとして参加していた。
婚約後、それまで以上に研究に力を注いでいたアレックスは、ついにワケイツギの栽培に成功した。特効薬の大量生産が実現したことにより平民にも薬が行き渡るようになり、ルベラ病による死者は激減している。
その功績をもって本日、アレックスは男爵の位を授けられるのだ。
「私の研究は、婚約者であるミレイユ嬢の力があってこそ実を結んだのです」
国王陛下に堂々と(惚気ともいえる)発言をするアレックスは、国に提出した報告書にも共同研究者としてミレイユの名を載せていた。
ふたりの結婚式はひと月後に迫っていた。男爵夫妻となることが決まった今、両家とも大喜びで式の規模を拡大するため奔走している。
夜会の出席者たちもアレックスとミレイユに次々と祝いの言葉をかけに来たが、そうした人の波が落ち着いた頃になってひと組の男女が近付いてきた。
「アレックス、研究の成功と叙爵おめでとう。…ベーチェット伯爵令嬢も、このたびはおめでとうございます」
同級生で親交のあったアレックスには気安く、ミレイユにはやや硬い表情で祝いを告げに来たのはレイモンだった。
隣に寄り添ってニコニコしているのはアガート・ブルーム男爵令嬢。レイモンが両親である公爵夫妻を時間をかけて説得し、先日ようやく正式に婚約したためパートナーとして参加しているのだ。
アガートは柔らかそうな亜麻色の髪と、翠色の大きく丸い瞳を持った小柄な少女だった。貴族間の情報網により、ジェガース家に行儀見習いとして入り、働いていたところをレイモンに見初められたと伝えられている。
「ありがとう。レイモンの功績あっての研究だから、きみにはこちらから礼を言うべきかもしれないが…まずはブルーム男爵令嬢との婚約が整ったこと、お祝いを言わせてもらうよ」
にこやかに返すアレックスの隣で、ミレイユも曇りのない笑顔を浮かべた。
アレックスが傍にいてくれる今、レイモンへの淡い想いは完全に吹っ切れている。
それを理解しているアレックスは、レイモンに向かってこう続けた。「ミレイユとは何度か挨拶を交わしたことがあると聞いてるけど、きちんと話したことはないだろう?我が婚約者がきみにずっと言いたかったことがあるそうだから、この機会に聞いてもらってもいいだろうか?」
わずかに警戒するような眼になったレイモンに構わず、アレックスはミレイユを優しく促した。
「ジェガース小公爵様にご挨拶申し上げます。ベーチェット伯爵家の長女、ミレイユと申します」レイモンが過去のミレイユとのやりとりを記憶しているとは思っていなかったため、ミレイユはあらためて自己紹介をするところから始めた。
「このたびはご婚約おめでとうございます。私がずっとお伝えしたかったことですが──祖母の命を救って下さったことへの、感謝の気持ちです」
意外なことを言われたというように、レイモンの表情がかすかに揺らぐ。
先ほどから“氷華の貴公子”の無表情がほんの少し崩れてきているように感じるのは、感情表現が豊かなアガートの影響だろうか。そんなことを考えながら、ミレイユは話を続けた。
「私の祖母は五年前、ルベラ病に感染しました。高齢であることから回復は難しいと言われ、実際にどんどん衰弱していき…もう諦めるしかない、という時に聞いたのが特効薬が完成したという知らせでした」
高価な上にまだ臨床例も少ない時期だったが、病状が悪化する一方の祖母のため、家族皆が効果を祈る中で入手した薬を飲ませたのだ。そして祈りは届き…いや、レイモンの力で、薬は確かな効果を発揮した。
「大好きな祖母がふたたび元気を取り戻し、今も健やかに過ごしていること。結婚式に出席してくれて、花嫁姿を見てもらえること…全ては特効薬のおかげ、開発して下さった小公爵様のおかげです」
ありがとうございます、と深く礼をとるミレイユに対し、いえ…とレイモンは小声で答え、横でアガートが「やっぱりレイモン様はすごいです!」とはしゃいでいる。
「学院で薬学をとったのも、それがきっかけなんだよね?」
アレックスがにこやかに口を挟む。「そこから薬草の栽培に興味を持ってくれたおかげで、僕の研究に協力してくれることになった。それは熱心だったよ。植物学の学者に相談したり、庭師や農民にまで取材したり…本当に助けられた。それが今につながっているのだから、やっぱり僕の方がレイモンに感謝すべきだな」
「我が家は伯爵家だったため、当時は幸いにして早期に薬を手に入れることができました。ですが下位貴族や平民の罹患者は間に合わなかったり、入手すること自体が叶わなかったと聞きます。誰かのお祖母様が、大切な人が失われてしまう可能性は少しでも減らしたいと思ったのです…」
ふたりからレイモンへの感謝を受け、本人よりも機嫌を良くしたアガートはミレイユをデザートのテーブルに誘った。
「これから仲良くしてもらえると嬉しいです!その第一歩として、一緒にケーキを食べませんか?すごく美味しそうでずっと気になってたんですけど、ひとりで行くのも気後れしちゃうので…」
えへっ、と淑女らしからぬ笑い方をするアガートに、ミレイユも笑って応じる。
(可愛らしい方だわ。レイモン様もこうした素直で純粋なところを気に入られたのね)
なんのわだかまりもなく、そう考えることができた。
…そうしてアレックスとレイモンに断りを入れてテーブルに向かったものの、アガートが途中で少女ふたりに捕まってしまった。
それぞれ男爵令嬢と子爵令嬢らしく、領地が近いためアガートとは幼馴染みとのことだった。今回は王家主催の夜会のため王都まで出てきたが、普段は領地にいるためアガートとは久々の再会だという。
旧交を温める場面で自分は邪魔になると判断し、ミレイユは恐縮するアガートから離れ、迷った末にアレックスのもとに戻ることにした。当初の予定通りケーキを食べるのもいいが、アガートが言ったようにひとりでは気後れがする。
アレックスとレイモンは先ほど四人で話していた場所から少し移動し、壁際で話し込んでいた。
周囲の人々に気を遣い、壁に沿うように向かったミレイユは自然とふたりから見えない角度から近付くことになり、会話の断片を耳にすることになる。
「…大勢に迫られていたから憶えていないかもしれないが、ミレイユもきみを慕っていた令嬢のひとりだ」
(アレックス、どうして…!?)
なぜそんな話になっているのか。先ほど話を振ったのは、感謝でなくかつての想いを伝えろという意味だったのだろうか。
お互い婚約者と並んでいる状態で、そんなことを言う気はなかった。おかしな空気になるだけで意味がない。実は好きだったんです、と軽く伝えられるほど親しくもない。
恥ずかしくて声をかけられず、むしろ隠れるように身を縮めるミレイユに気付かないまま、アレックスの話は続く。
「きみがミレイユを見ようとしなかったことは、僕としては納得がいかないというか見る目がないと思わなくもないが…いやそれはいいんだ。結果的に僕にとっては生涯最高の幸運だったから…いやこれもいいんだ」
(何を言ってるの…?私が相手にされなかったことを怒ってるの、感謝してるの?どちらにしろレイモン様からすれば「知るか」としか言いようがないのでは?
…きっとそのせいよね…レイモン様はさっきからずっと、黙り込んでしまっているじゃない)
「…きみがはじめて公の場で、ブルーム男爵令嬢の存在を明言した時はずいぶん話題になった。僕は出席していなかったけど、参加した知人からもその後の噂でも、きみが言ったことは伝わってきたよ。『自分のことを地位や容姿でしか評価しない女性ばかりの中、彼女だけは内面を見てくれた』と。
きみが愛する女性に出会えたことは、本当に良かったと思っている。
だけど…これだけはわかってほしい。
地位や容姿でしか評価しない女性『ばかり』ではなかった。
他の女性についてはわからないが、ミレイユがきみの地位や容姿に惹かれたわけではないことは僕が知っている。
純粋に慕っていた気持ちを、誤解で軽蔑されたままでいられるのは…僕が許せないんだ」
──祖母を救ってくれた薬を開発した、英雄への感謝。成し遂げたことに対する尊敬。社交界で愛想をふりまくことはないが、そのぶん研究に身を入れ、公爵家を継ぐために努力し、実績で認めさせる。
その強さに憧れ、少しでも近付きたいと思い、いつの間にか恋をしていた。
恋心が報われなかったことが、悲しかったのだと思っていた。
(そう…私が悲しかったのは、失恋したことよりも…地位や容姿に目が眩んだのだろう、と思われていたと知ったからだった。私がどういう気持ちだったとしても、レイモン様に選ばれることはなかっただろうけど…知ったところで関心もないとわかっているけれど…)
アレックスは当時から今までの、ミレイユの気持ちを理解してくれていた。
(あの時の傷ついた私へ教えてあげたい。
『氷華の貴公子』を溶かすことができたのは…私ではなかった。
けれど、誰よりも理解してくれる人が傍にいて、見守ってくれていると。
私もその人の力になりたいと、その人と幸せになりたいと、心から思うようになることを…)
目に涙がにじむのを必死にこらえ、無理矢理に気分を落ち着かせると、ミレイユは明るい声でアレックスを呼び、レイモンにアガートの居場所を伝えると挨拶を済ませてその場を去った。
話を聞いたレイモンがどう感じたか、もう知らなくてよかった。
「アレックス、私はあなたの妻になれて本当に幸せです。あなたに心からの感謝と尊敬と愛情を捧げます」
「ミレイユ、きみの夫にしてくれてありがとう。もっともっと幸せにできるよう、これからも努力することを誓うよ」
──ひと月後、無事結婚式を挙げたアレックスとミレイユは、それからも薬草の研究と栽培にふたりで取り組み続けた。
既存の植物から新たに難病に効く成分を発見したり、交配により薬効を高めた植物を作り出すことで爵位は上がっていった。また研究の副産物である香草を育て、料理や菓子に使ったり草木染めや化粧品の原料に使用した結果、経済的にはこちらの方で成功することになる。
アレックスは誓いを違えることなく、ミレイユの幸せのために努力を続けた。
そんなアレックスへのミレイユの感謝と尊敬と愛情は日々増すばかりで、それらを惜しまず捧げられている自分の方がミレイユより幸せになってしまっているなあ、と思うアレックスなのだった。
読んでいただき、どうもありがとうございました!