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竜戦士とドジっ娘剣聖の冒険録  作者: JACK・OH・WANTAN
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第1話:孤高の竜戦士ジーク

竜戦士・・・それは嘗てこの世界に猛威を奮った最強の生物"竜"の血筋を引く者のみがなれる職業ジョブである。


勇者以上に希少率の高い竜戦士の存在は多くのパーティが喉から手が出るほど欲しい存在であり、まさに天職といえるものだった。


そんな竜戦士の数少ない一人であるジークは冒険者が集う町・・・ノルドタウンへとやってくる。


これは孤独な竜戦士ジークがドジながらも剣聖の才能を持つ少女と出会う物語である。彼女との出会いを機に彼の運命は大きく変わろうとしていた。

「ここがノルドタウンか・・・。」


少年はノルドタウンの門をくぐり、活気に満ちた街並みを見上げた。


街には冒険者たちが行き交い、武器や防具等を売る商人の声が響き渡る中、彼の存在感はひときわ異彩を放っていた。


短髪の赤髪に鳶色の瞳をした目、甲冑の様な赤い鎧を纏ったその姿は歴戦の勇士にも見えた。その腰にはしっかり手入れされた刀を吊るし、背中には自身の背丈程の大きさがある弓を背負っていた。


彼の名はジーク。冒険者の中でも数少ない『竜戦士』と呼ばれる職業ジョブに就いており、カテゴリーVファイブのランク付けがされた実力の持ち主だ。


竜戦士とは勇者よりも希少性の高い職業であり、竜の血筋をもつ者にしかなれないものであり、巷では勇者と竜戦士の組んだパーティは『最強のパーティ』として認知され、多くの冒険者が羨望の目でみる程の名声を得られるとされている。


しかし、ジークはそんな名声に全く興味は無くこうしてソロで活躍しており、ノルドタウンに来るまでも独りで冒険者として多くのモンスターを討伐し、活躍してきたのである。


「噂通り、賑やかで過ごしづらい場所だな・・・まぁ、誰とも関わらなければ関係ねぇ話だ。」


喧騒が飛び交う街を見渡しながらジークはそう呟くと足を動かして歩を進めた。


「まずはギルドに行ってこの辺りのモンスターがどのくらい強いのか腕慣らしをするか。」


こうしてジークは街に着くや否や早速モンスターを討伐する為、ノルドタウンのギルドへと足を運ぶのだった。


◇◇◇


 ギルド ノルドタウン支部・・・ノルドタウン近隣にあるダンジョンのモンスター討伐やその他依頼クエストを取り扱う施設であり、冒険者が仕事を求めてやってくる拠点である。


改めて自己紹介だ。俺はジーク。見ての通りソロで冒険者として活躍している。それ以外に言うことは無い。他の冒険者と違うところを強いて言うなら『竜戦士』という職業に就いているくらいだ。


「ここのギルドも人が多いな・・・」


そんな悪態を吐きながらギルド入り口の扉を押して中に入るとそこには多くの受付が並ぶ空間に依頼を求めてやってきた冒険者達がざわざわと騒ぎながら列に並んでいた。


うるせぇ奴らだ・・・そんな愚痴を心の中で呟きながら長蛇の列に並んで順番待ちをする。


どのくらい並んだか分からないほど時間が経った頃、ようやく順番が回ってきて俺は受付けの前まで歩み寄った。


「いらっしゃいませ~・・・って見ない顔ですね。」

「だからどうした?この街に来るのは初めてだ。」

「・・・あ、そ、そうですか。じゃあどんな依頼を受けますか?」


俺の言葉にややイラついたのか受付けのエルフの女性は冷たい口調になってそう聞いてくる。


「モンスター討伐だ。カテゴリーⅣ(フォウ)級の奴はこの辺りのダンジョンに居るのか?」

「え?お兄さん、見たところソロみたいですけどそんなに強いモンスターを独りで倒すんですか?やめておいた方がいいですよ?」

「お前、随分舐めたことを言うんだな。」

「いや、別に死にたいならいいんですけど?」


イラッとした態度をとる受付に俺は眉間に皺を寄せるも「それでもやる」と言わんばかりの顔をした。


「まぁ、そこまでやりたいならいいんですけど?じゃ確認の為、貴方の”カテゴリーカード”見せて下さい。」


受付はそう言ってカテゴリーカードの提示を促すと俺は躊躇いなく懐からトランプ位の大きさをしたカードを取り出して彼女に渡す。


カテゴリーカードとは冒険者の身分証明書の様なものでそこには自分の名前とカテゴリー、所属パーティや職業の情報が載っており、依頼をこなして強くなると自動的に内容が更新される代物だ。


「はーい。じゃ確認しますね・・・」


そして、彼女が俺のカテゴリーカードの目を通した途端、しばらく硬直して盛大に驚きの声を上げた。


「えっええええええええええええ!!!!!竜戦士!?し、しかもカテゴリーV!?」


先程の舐め腐った態度から一変して俺を青い顔で見た瞬間、彼女の声を聴いたその場の皆が静まり返りこちらへ顔を向けてきた。


・・・コイツ!


「チッ、おい!よけいな事を大きな声で喋るな!」

「え、あ、いや・・・ご、ごめんなさい・・・てか・・・貴方強いのね・・・」


未だ戸惑った様子を見せた受付の女性は恐る恐る俺にカードを返す。・・・ここは一回離れたほうがいいと思い、出ていこうとしたが時すでに遅しであった。


「お、おい・・・今、竜戦士って言わなかったか?」

「あの兄ちゃんがそうなのか!?しかもカテゴリーVだとよ!!」


受付の言葉を聞いた煩い冒険者達が再びざわつきながら俺の方へ集まってくる。


あぁ・・・めんどくせぇ・・・


「おい!兄ちゃん待てって!お前、ソロなんだろ?俺のパーティに来ないか?」

「いいや、俺の所に来いよ!可愛いネェチャン達もいるぜ?」

「待って!こんな変態さんより、私達のパーティに来なさい!」

「お前らどけ、興味がない」

「興味がないって・・・んなこと言うなよ~」

「はぁ・・・」


行く手を阻む冒険者達に嫌そうな顔をしながらため息を吐く。・・・こいつら始末していいか?嫌気が頂点に立ちそうになったその時だった。


「待ちなテメェら!道を開けろ!!」


一人の男の声が響き渡り、一同は一斉に彼の言葉に従いつつ声の主を見やると俺の前に今度は鎧を着た如何にもキザそうな男がメンバーと思しき男女三人を連れて現れた。


「あ、あれは・・・シクスさん!?」


現れた男の姿を見て冒険者達は再びざわめいた。


「ノルドタウンでは最高のカテゴリー・・・Ⅵ(シックス)の実力にして勇者の職業に就く最強のパーティ。チームフォーカードのリーダー!」

「キャー!シクス様!!」

「よお!お前ら。いつもより騒がしいから来てみたら・・・とんだ珍客が来てたんだな。」


シクスと呼ばれたキザ男の勇者は俺を見て微笑みを浮かべる。


「竜戦士にカテゴリーV・・・それもソロ活動か・・・お前、強そうだな。どうだ?こんな連中より俺のパーティに来ないか?」


彼はそう言うと俺の前に手を差し伸べて勧誘してきた。その行動に冒険者達は再び騒めきと驚きの言葉を漏らす。


「お、おい嘘だろ!?」

「あのシクスが・・・勧誘!?」

「彼のパーティに入りたい人は多いけど滅多に採用しないのよ!?」

「竜戦士だしな・・・流石のシクスも欲しいよなぁ」

「こりゃ負けたな・・・寧ろシクスさんが取るなら異論はねぇや」


そんな冒険者達に構うことなくシクスは俺に言葉を投げかける。


「お前、名前何ていうんだ?兎に角その実力でソロは勿体ねぇ。俺の勇者の実力とお前の竜戦士の力が合わされば最強のパーティになるし、お前の懐も寒く無くなる。悪い話じゃねぇだろ?なっ?」

「おいおい・・・こりゃまた伝説が出来るぞ?」

「シクス様のパーティに入れば一生暮らしていける金が入るわ!!」


皆、俺に羨望の目を向けながら誰もがこの勧誘に首を縦に振ると確信していた。


・・・くだらねぇ。


「・・・断る。」

「は?」


俺の答えに当人のシクスどころか冒険者達も目を点にして唖然とした。


「俺はパーティに入る気もねぇし、ましてやお前らと関わることもしねぇ。お前が俺を自分のパーティに入れて何をするか知らねぇがほとぼりが冷めたら見捨てんのも目に見えてんだ。仲良しこよしがしてぇなら他を当たれ。」

「・・・な、この俺が・・・勧誘・・・失敗?断れたの?俺?」

「お、おい!シクス!しっかりしろ!」

「大変ですわ!」


勧誘を断られたシクスは真っ白になって棒立ちしてしまい、彼のメンバーが慌てて介抱する。そんな奴らに構うことなく俺はさっきの受付の女性に顔を向けた。


「おい」

「は、はい!!」

「なんでもいい。とっとと討伐依頼の仕事を寄越せ。」

「は、はい・・・じゃあこれで」


馬鹿馬鹿しくなった俺は適当な依頼を受け取ると未だ唖然とする冒険者達に構うことなく颯爽とギルドを去っていくのだった。

皆さん遅くなりましたが明けましておめでとうございます。今年も私、JACKをよろしくお願いいたします。さて、新年一発目の作品を出させて頂きましたがいかがでしたでょうか?


投稿日はまだ決まっておりませんがこちらも投稿して参りますので宜しくお願い致します。

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