サド王子の思案 4
結局あれから一睡もできなかった。
ぐるぐると頭の中を、あのアリアと名乗った古都の顔をした女の言葉がまわっていた。
あの女は、自分のことを古都の特質、と言った。
二重人格などは話しを聞くが、明らかに別人格。始祖と名乗っていた。
一方の古都はそれを知らない様子。
どういうことを意味するのか。
そして、魔王アベル。
少年の姿以外…というか、本体を目にしたのは始めてであったが、王の威圧感はブルーディアの王にも引けを取らぬ。
魔力の強さも得体がしれない。
そんな魔王が執着しているらしい、古都。いや…アリア…の存在。
古都はいったい何者なのか。
それらを反芻しているうちに、気がついたら夜が明けていた。
朝からバタバタと魔王の配下の者が部屋と別の部屋を行き来している。
帰るための準備でもしているのだろうか。
目をつむれば、古都の漆黒の瞳が自分を見つめてくる。
まっすぐに。
俺様だけを映すそれ。
外見や地位だけに囚われないで見てくれる…存在。
これまでそんな存在はいなかった。
だから、逆にとらわれてしまったのかもしれない。
古都が欲しい。
生まれて初めて覚えた…純粋な衝動。
「忘れろ、だと…」
くつくつと王子らしくなく喉を鳴らした。
「だれが忘れるものか」
王子の意思は固まった。
久しぶり過ぎて設定を忘れそうです(爆。
次は早めに更新したいです。