結婚を迫られました 2
目覚めたところに、結婚の申し込み。
さすがに固まってしまった古都を見かねてか、魔王が部下に命じてお茶の用意をさせた。
そのお茶をいただいて一服した後、ふぅ、と小さく息を吐いた。
「この世界の人間は、変なのばかりだな」
魔族だとか、魔物だとか、人も・・・病になって人を閉じ込めるし、王子は変態だし、魔王は子供。
「この世界のというと、古都は異世界から来たのであるか」
魔王は、両手でコップを持ってお茶をすすっていた。
ちょっと小首を傾げたところが実にかわいらしい。
耳が時々、ぴくりと動くのだ。撫でたいという衝動に幾度駆られたことか。
「疑わないのだな」
そういえばこの世界に来て、初めて異世界から来たと言ったな、と全く関係のない感慨を抱きながら。
「始祖様が異世界に行かれたのは知っているのである」
始祖様?
「誰だそれは」
「古都である」
「???」
アベルは子供のように笑った。
「始祖様はこのブラグラを作ったのであるが、次世代が生まれたので任せて別の世界へ行ったのである」
言っていることはおかしくないような・・・いや、おかしいだろう。
「アベル殿。言っている意味がわからない。これでも人間を止めたつもりはないのだが」
「ただの人間には、異世界を渡ることはできないのである」
この世界に生きてこれたのが、この耳や尻尾ができた理由ということだろうか。
それはつまり。
「古都は融合体である」
パチクリと目を見開いてしまう。
ミックスとは?
アベルはズズっと一気にお茶を飲み干した。
「始祖様でありながら、始祖様ではなく。古都でありながら、古都ではないということである。つまり、わしとも結婚できるのである」
あの・・・えと。
「申し訳ないのだが、理解できない」