王子!ピンチです 4
顔がある。
どこかで見たような見たことの無いような。
言えるのは、なかなか整った顔であると言うこと。
しかし。
しかし。
何だろう。
ペタペタと胸元を触られている。
サワサワ。
胸の突起を弄られているのがわかる。「いやん」
思わず変な声を出してしまった。
ふふふ。
と相手が笑ったのが分かった。
相手の唇が怪しく横クの字に曲がり、わたくしの胸元に埋もれて。
ぺろり。
「ひぃええええっ」
なんだかよく分からない声が出てしまった。
そして・・・あれ。
なんだろう。
相手もあまり服を着てないような・・・着ているよな。
違和感。
いや・・・見覚えるのある。
ものすごーく見覚えのあるナニ。
…。
…。
「ぎゃあああああああっ!!!!!!!」
「うるさいわねぇ」
床に落ちました。
それはもう、きちんと。
素っ裸のまま。
そして正気に戻る。
「貴女は…おっ…おっお」
誘拐犯であり、拷問すると宣言してくださった方であり・・・。
先ほどの格好はすっかり女の方のようでしたので、これっぽっちもそれを疑ってはいなかったのですが。
「男で悪かったわね」
フン。とかわいらしく拗ねてくださる。
次の瞬間にはニヤリ。
「あなたは、ノンケね」
ノンケって何ですか?
「そっちの気がないヤツのことだ」
ああ、なるほど。って!
「王子っ・・・見てるなら助けてくださいよ」
素っ裸で襲われてる部下一号を助けてくださらないなんて・・・どこまで酷いんですか。
「助けられるなら助けるが」(苦笑)
「あらん。無理よね。魔力を封じた上に、あんなぶっとい鎖でつながれたらどんな人も逃げられないわ」
眼を見開いて横を見れば、柱につながれた王子が。
両手は使えないように上に引き上げられて、座っている。
王子は先ほどの服装のままであり、脱がされていないようだ。
「ごっ。拷問するんじゃなかったんですか」
「拷問でしょ?」
どんなに美人でも、素っ裸の男は男。
「さあ、キスされたくなかったら正直に吐くのね」
顔が思いっきり引きつっているのが分かります。
ですが、これ以上は離れられない。
何故だっ。
足が・・・何かに絡まって。
わたくしが動揺しながら足下を見ると、足首に鉄の輪がはまっています。
それが寝台に伸びている。
ヒーッ。
「そんなに嫌がらなくてもいいじゃない。ほら、こんなに美女とキスできるなんて機会あまりないでしょ」
迫られても、これっぽちっもうれしくない(涙)
「別に吐かなくてもいいのよ。アナタと続きをするだけだから。まあ、もちろんあたしがタチなんだけどね」
くふふふ。
要りません。
その含み笑い。
拷問と言ったらアレです。王子の大好きなムチとか・・・石の板を膝に乗せちゃったりとかとか・・・水攻めとかいろいろあります。
なのに、なぜ・・・わたくしの貞操が狙われているのですかっ!
わたくしはパニックに陥りました。
一世一代の大ピンチです。
わたくしの貞操は、初恋の彼女-エリーカ様に捧げる予定なのです。
何度アタックしても断られるのですが、わたくしはくじけていません。
美女が一歩一歩近寄ってきます。
「ほら、坊や。こっちへおいで」
嫌です。嫌ったら嫌です。
一歩ずつ後ずさります。
しかし、無残にもピーンと伸びた鎖はそれ以上伸びず。
腕を捕まれました。
そして、美女の手が・・・わたくしの大事な恐怖で縮み上がったナニ・・・に触れようと。
「ギャーッ!!!!!!!!!!な。な、何でも吐きますから・・・お願いですからっ・・・」
襲わないでくださいっ。
最後は悲鳴のようだった・・・と・・・そのときの様子を王子は後に語るのであった。