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猫姫  作者: 四季道理
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首輪をはめていました 4




 正直なところ時間は有り余るほどあった。

 ネネの行方は気になるが、この首輪と鎖では身動きがとれない。

 王子の部屋は寝室を含め、隣に部屋もあり、結構広い。

 ヨーロッパ文化に似ているのだろう。

 アンティーク調の猫足のソファに、丁寧に織られたタペストリー。書棚にも数多くの書籍があった。

 紫の装丁の豪奢な本がなにげに気になり、手にとってちょっと読みかけたが・・・女性の裸体が数多く・・・ありとあらゆる体位といっていいのだろうか・・・あとは縄とか・・・まあいろいろ。。

 どんな分野でも奥が深いと言うことだけはよくわかった。


 それにしても・・・だ。

 日中ずっといる侍女アリーシャの視線が・・・気になる。


「コト様、着替えられました?」


 王子には人と名乗ったが、実際のところワタシは魔物なので敬称は略でお願いしたい。

 初対面でそうお願いしたのだが、無駄であった。


「ああ。これでいいか・・・」な、と最後まで言わせてほしい。


 言った途端に隣の部屋から飛び込んできた。


「きゃーっ、かわいいっ!!!」


 アリーシャは女の人が着飾っているのを見るのが好き・・・という少々変わった趣味の持ち主であった。

 そういうアリーシャもかなり可愛い方だと思う。

 淡い栗色の髪はきれいにロールされ、天頂でポニーのように結ばれている。

 肌もきめこまやかで白く、顔も小さくてふよふよしていて、本当に紺色のメイド服がよく似合う。

 おまけに目の色がエメラルドグリーンで・・・何でこんなに可愛い子ばかりいるのかな、と思う。


 今日も、夜なべしてつくったというメイド服を着せられた。

 メイド服といっても、かなり上質な布で出来ているのだろう。

 着心地は良い。

 良いが・・・。


「アリーシャ殿・・・もうしわけないが・・・む・・・胸が当たっている」


 ワタシの姿に狂喜乱舞したアリーシャは、ワタシの顔をむぎゅぅっと自分の胸元に引き寄せて抱きしめる。

 くっ・・・苦しい。

 アリーシャは、古都と異なりたいそう胸がある。

 Eカップぐらいだろうか。

 挟まれて苦しいなんて・・・男性に恨まれそうだ。


 アリーシャは決して悪い人ではない。

 たぶんこの国で魔物は敵視されているだろうから、こんな風に当たり前に接してもらえることは・・・う・・・ん。ちょっと恥ずかしいが、うれしくもある。



「おい、コト。出かけるぞ!」



 そんなことを考えていたら、珍しく王子が歩いてくる気配がしていきなり扉が開かれた。

 サド王子にはアリーシャと日中どういう風に過ごしているかは言ったことが無かったと、王子の表情を見ながら思った。

 何か変なものでも食べたのだろうか。

 奇妙な顔つきである。


 すかさずアリーシャが素早くワタシから離れた。

 王子の顔を見ないように、一歩下がって頭をたれる。

 この国では、王族の顔をあまり直視しないのだそうだ。

 神々しくて見ていられません、というのはアリーシャの弁だが、その動きにワタシは一抹の寂しさを感じる。


 ルディさんがこちらをちらちらと見ている。

 その視線は嫉妬ではないが、ちょっと鼻の下が伸びているあたり、先ほどの光景をしっかりと見てしまったのだろう。

 ワタシを自分だと思って良からぬことを想像しているとか。


 王子はそれからジロリとワタシの頭から足下までを睨め付けて。「ふん」と鼻を鳴らした。

 似合ってないとか、そういう意味だろうか?

 機嫌はよろしくないようである。

 

「下履きは何か穿いているのか」


 言わずにいると問答無用で捲られそうなので素早く回答。


「ズロースを」

 こちらでは下着をパンツとかショーツとか言わないらしい。

 しかし、ブルマーみたいに少しぼってりしたところがなかなか動きやすく、古都は予想外に気に入っていた。


「ならば良いか」


 何が良いのか?


「今日は天気が良い」


 王子がつかつかとワタシに歩み寄り、首輪から鎖を外した。

 そして、手を掴んで「来い」と歩き出す。

 靴先は扉へと向いている。


 なんだ・・・外出させる気なのか・・・一応、ワタシは魔物扱いなのだろう?

 大丈夫か、王子の体面。


「馬には乗れるか」


「生まれてこの方、馬に乗ったことはないのでわからない」


「まあ、気にするな」



 いや・・・王子は気にしなくても、気にするのはワタシなんだが。



  

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