遭遇
構え方や基本の動き、逃げる時の判断、追い詰められたときどうするかなどをロトーから教わった。彼女は筋が良いと褒めてくれたが、足は震えているし、腕がパンパンだし、肺の容量が足りない。今日はほとんど何もできないまま過ごすことになった。
「なんで俺、この係になったんだよ……」
「Sさんはここに来たばっかりだから、外の怖さを知るためとかだと思いますよ」
「起きて~。Sさん、仕事ですよー」
ノックの音で目が覚めた。
「おはようございます! お仕事行きますよ! 準備お願いします!」
ベッドの上で返事をし、種子を取って噛み砕く。苦さで目が覚める。
服を着替え、ナイフを持ってドアを開けた。ロトーは重そうな台形の剣を持っている。
「ご飯を食べてから行きましょう!」
ロトーは食堂で今回行く場所と集めるものを説明してくれた。今回の目的は雷の木が生えている山の様子を確認すること。集めるのは雷の木の種子(いつもの苦いやつ)。他にも剣を回収するという。捕食者に襲われた係員の剣がそのままになっているらしい。
「そうそう、私から絶対離れないでくださいね~外では即死もあり得るので」
……行く前はかなりビビッていたが、何事もなく山に着いた。道中はとても静かだった。不気味なほどに。雷の木の種子……そういえば、これを渡してくれたランのことをここ数日見ていない。まあ、術っていうのがあれば外でも生きられるのかもしれない。
種子を取り終えて、近くに剣が無いか探し回っているとロトーに肩を掴まれた。
「しゃがんでください」
グッと抑えられ、岩陰に身を隠した。思ったよりロトーは力が強い。
「さっき言ってた剣、見つけました。ただ、剣の近くに良くないのがいます」
…………。ちょっと見てみたい。ほんの少しだけ覗こうとしたら、ロトーに掴まれた。
「待ってください! ここは私が何とかするので待機してください」
ロトーは小声で言って剣を下に構え、飛び出した。彼女は木や岩の影に素早く移動していき、あっという間に距離を詰める。ロトーの目線の先には、無数の足、複数の動物の頭、腕だけ貧弱な化け物がいた。どの頭も生きているような感じがしない。頭がただの飾りみたいに見える。
化け物がロトーの潜む木の裏を通り抜けた瞬間、ロトーは剣を大きく振り上げた。次の瞬間、化け物に付いた全ての頭が吹き飛んだ。




