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霊凍庫  作者: 弐鈴
鮮烈な感情
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交流


 起きてすぐに種子を噛み砕く。準備をしてからだと忘れてしまいそうだ。しかしどうしてこうも苦いのか。良薬は口に苦しと聞いたことがあるが、これも良薬ということか。

 部屋から出たところでフルスに会った。

 「おはようございます。昨日伝えた役割の件ですが、決まりました。集会所でキール代表が待っておられます」

 昨日は頭がいっぱいだったせいで集会所の場所を覚えていない。

 「集会所ってどこでしたっけ?」

 「覚えてないんですか? すぐそこですよ?」

 「そっか。ありがとう」

 笑顔でフルスに答える。

 「昨日より表情がよくなりましたね」

 「うん。おかげさまです」

 フルスはキョトンとしている。

 「僕なにかしましたかね?」

 「へへっ。ありがとう。またね」


 集会所の中から怒鳴り声が聞こえる。ゆっくりと扉を開けた。

 「あ、おはようS」

 ラヴァとリンと知らない人がいた。多分外に出たことで怒られている。今日のことはリンからラヴァに話すと言っていた。庇ってくれたのかもしれない。

 「S君、ロトーと外で待っていてくれ」

 ラヴァから物凄い勢いを感じる。外でロトーという人と待つことになった。

 「どうも、初めまして。私はロトー・グラーナ。採集係をやっているガーネット様の一番弟子です! Sさんですよね! よろしくお願いします!」

 少し動揺してしまった。ガーネットを思い出したから。でも、あのガーネットの弟子とは思えないほど元気で素直だ。

 「ガーネットの一番弟子???」

 あの人の弟子???

 「あはは。私が勝手に言ってるだけなんですけどね。でも、ガーネット様の近くによくいるのは私ですし、ガーネット様が他の誰かと話すことは珍しいです。だからほぼ一番弟子、等式は成立します!」

 「なるほどね……。あの人と何か喋るんですか?」

 「好きな色とか、好きな食べ物とか、この間は好きな食べ物の色なんかについても話しました!」

 「それって会話の内容に困っているんじゃ……」

 「そんなことないですよ! 面白いって言ってくれましたし。」

 確かに言いそうだが。

 「ところで、代表に呼ばれたんですよね。だったら多分役職のことですかね。私も呼ばれてるってことは同じ係ってことでしょう!」

 先ほどロトーは採集係だと言っていた。大変そうな名前の役職だ。

 「大変そうでしょ? でもそんなんことはないです! 係は四人もいるし、一日二人労働の交代制で時間も短いです。想像よりずっと楽ですよ! 休みも多いし、調達する量も多くないし!」

 俺でも大丈夫かな? 肉体労働はしたことがない。ずっと意味不明な書類の整理をしていた。

 「俺、強くないけど大丈夫ですかね?」

 「言われてみればそうですね。腕が貧弱です」

 軽く言ったつもりなのにロトーは真剣に見ている。ちょっと悲しい。

 「大丈夫です、慣れますよ!」

 ロトーは赤い髪をかき上げて、親指を立てている。正直不安だ。


 「お待たせしました」

 扉が開き、ラヴァが出てきた。後ろにくたくたになったリンが見える。ありがとう。心の中で感謝した。後で言っておこう。

 ロトーの予想通り、俺の役割は採集係だった。雷の種子を採りに行くついでに採集や狩猟をして欲しいと頼まれた。一通り説明を受けた後、倉庫に案内された。

 「これが良さそうだな」

 ラヴァはそう言って小さなナイフを渡してきた。

 「ただのナイフだが使ってくれ」

 ロトーが驚いている。

 「えー! 剣とか槍とかじゃないんですか!?」

 「S君には重い武器は厳しいだろう。他の係員に手伝ってもらって、まずは仕事に慣れてくれ」

 食堂で見たナイフよりも多少刃の部分が長い。鞘はつるつるしている。

 「ロトー、使い方を教えてあげてくれ。」

 「承知しました! Sさん、このまま訓練所に行きますよ!」

 「すいません。訓練所ってどこでしたっけ……?」

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