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霊凍庫  作者: 弐鈴
平等だと
20/27

怪物の正体


 「……」

 ガーネットはそれ以上何も言わず、広場の方へ歩いていった。


 「よし! 来い!」

 黒い粘液が腕に絡みつく。強い力で貼り付いて取れない。剥がそうとすると締め付けてくる。粘液は小さく固まり、腕から血が吹きあがる。

 「痛ったい!」

 しかし、傷はすぐに治る。よく分かんないけど、これが竜の力なのだろうか。上から殺気がした。広い範囲の粘液攻撃。これをぎりぎりで避けた。身体機能も上がっているのか、動きが軽い。

 「なるほど。こいつら、黒い粘液を使った攻撃しかできてない。捕食者って名前通り食うことしかできないってわけか! なら楽勝だな。ナイフを見ておけば勝てるから!」

 『絶対殺す』念じてナイフを見た。これほど頼もしいナイフはない。一歩一歩素早く踏み込んで進む。右、左、右、左。

 「待て、四肢を狙え」

 あいつが操っているのか。ガーネットに似た奴。対象が変わった。飛んでくる液をナイフで切って、全速力で進む。ナイフは炎を纏っている。捕食者の攻撃を切り裂き、捕食者の間をすり抜け、ナイフで操っている奴を切れる間合いに入った。

 「勝った!」

 そいつの胸の深くまでナイフを突き刺した。そいつは倒れた。苦しそうな声を出してもがいている。捕食者たちはその場から動こうとしない。

 「これで終わりだ。里のみんなが恐れる怪物に操縦者がいたなんて。それもこんな奴だったなんて」

 「お前なんなんだよ。人の命奪って」

 自分の気持ちが驚きから怒りに変わっているのが分かった。

 「俺は都市から来たからここのことはよく知らないんだ。言ってくれよ。なんでこんなことしてるんだ」

 ナイフをさらに深く突き刺す。刺している自分も死ぬと感じるほどに。

 「お前、知ってるか。ここの人たち、みんな失ってるんだ。体も、心も、思考も、何もかも……。誰かが作り出した怪物が奪い去っていったから!」

 もう刺すのをやめないと死ぬと分かっている。でも刺すのも喋るのをやめられない。

 「ここの人たちは感情を持つことを許されなかった。そしてお前は! ここの人たちが持つべき感情を奪って自分のものにしていた! 許されないことだ」

 今にも死にそうな声を出している。

 「まあいいや。こうして俺の願いは叶い、ここも平和になるんだから。たった一つの命で世界を守れるんだから」

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