表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
霊凍庫  作者: 弐鈴
鮮烈な感情
12/27

第四行動


 "ビーッ"

 風を切って右耳の横を赤い何かが掠めた。さっき投げられた笛だった。キャスは慌てて袋を背負い走り出す。

 「走って!」

 キャスの大きな声が俺の方まで届いたとき、背後からカチカチという歯を噛み合わせるような音が聞こえた。ゆっくり振り返るとそこには岩があった。生ものが腐ったような悪臭と鉄が錆びたような匂いがする。それになんだか色が赤っぽい。逃げなければならないと思いながらも、その場から動かないので数秒見つめてしまった。匂いや色以外はおかしなところがないように見える。こいつも生きていたりするのか。足を踏み出した瞬間、石が割れるような音が鳴り、生暖かい風が首元を吹き抜けた。


 ゆっくり見上げる。岩と肉が混ざったものがそこにいた。岩と岩の隙間が開き、その隙間に歯のような黒い石と粉々になった笛のかけらが見えた。歯の間はゴムのような肉で繋がれ、さらに肉は岩全体を包むようだ。ちょっと見ただけで危険と判断できる。


 やばい。こういうときどうすればいい? 嫌な汗が頬を伝う。キャスはもう逃げてしまっただろう。経験したことがない恐怖。自然と足が震える。どうする。どうする。昨日ロトーから聞いたことを必死に思い出す。

 『第一に、外では見つからないように行動する。第二に、見つかったらすぐに距離を取る。第三に、追いつかれないであろう距離なら後ろを向いて全力で逃げる』

 無理じゃん! いや第四まであったはず。

 『第四に、どうしようもなければ戦う』

 第四、戦う……。心臓の音が大きくなる。この向き合っている岩、俺を食べる気満々だ。涎みたいなヘドロが垂れている。そして、少しずつ、少しずつ、近づいてきている。


 これ以上近づかれると絶対にやばい! そう肌で感じた俺は腰のナイフを抜いた。まずは落ち着いて、右手を前に、ナイフを構えて相手の隙を見て対応する……。…………。岩がナイフに噛みついてる。

  "ポキッ"

 ナイフが折れた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ