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Draw 3:子供が経営するのも、カードが実体化するのもホビアニなら良くあること。

※当小説にはTCG及びホビアニへの偏見が随所に見受けられます。

※これらは全て作者及び各キャラの主観に基づくものであり、事実とは異なる場合がございます。



 明らかに主人公な赤髪の少年と、恐らく友達兼ライバル枠の青髪の少年。基本的に、ホビアニの重要人物は奇抜な髪色か格好してるから直ぐ分かる。

 そんな彼らを偽華ちゃんが容赦なく叩きのめす悪役ムーブ事件が起きてしまったわけだけど。

 そもそも何故、そんな事態になってしまったのか。

 話は、一か月ほど前に遡る。



◇◇◇



『――以上だ。妹とて容赦はせん。精々、震えて待て』

「……早くも動き出したわね」


 偽華ちゃんが開くパソコンの画面には、何やら20歳くらいに見える男性が映っていた。

 髪の色こそ黒だけど、長く立派なポニーテールが特徴的だ。

 その人からのビデオメッセージが直前まで再生されていた。


「この機会に西東京支部を潰して吸収してしまおうって魂胆ね。それで兄様が動き出したのでしょう」

 

 どうにも、その人物は偽華ちゃんの兄らしい。

 名前は死世神(しせがみ) 真王(しんおう)で、23区を軸に関東全域を統括する大物。

 どうにも、西東京支部というのは閑職・窓際とでも言うべき支部らしく。叔父さんは大して能力がないけど、現当主の弟ということで、そのポジションに収まったようだ。変な気を起こして不祥事とか継承争いに繋がらないよう、そこそこの立場を与えて飼いならし……みたいな感じかな。

 ともかく。そんな場所だった支部を偽華ちゃんがCOバトルで奪っちゃったので、これを機に奪いに来た……らしい。

 偽華ちゃんの推測では、父親の指示ではなく、真王さんの独断のようだ。自らの影響力を高める機会と見て取ったのかもしれないとのこと。


「それは分かったけど、それと大会に何の関係があるの?」

「向こう側が提示してきたのは代表者による5対5の団体戦。なら、この地のファイターの実力を底上げしないといけないわ」

「それを大会でするってこと?」

「その通りよ、ティティム」


 ちなみに。この一通りの会話中、私は偽華ちゃんの膝の上に居る。

 叔父さんとの戦いの後、何か分からないけど実体化した。COバトル中でなくても自由に顕現可能になったのである。

 何故か3頭身のSDちびキャラになってるし、質量保存の法則が行方不明だけど知った事か。私は考えることを止めた。

 ……聞けば、他のカードは無いけど、「The ONE」カードには良くある事らしい。この世界やっぱオカシイ。

 とにもかくにも。偽華ちゃんが実家やら何やらを叩き潰すために、『西東京CHAOSトーナメント』なる大会が開かれることになったのだ。

 ちなみに。偽華ちゃんは中学生なのに、普通に大人に混じって大会運営を進めていた。

 ついでに。支部で働いている大人たちは、「トップがカードバトル1回で変わった事」にも、「中学生がトップである事」にも、「その中学生が大人よりも有能である事」にも、一切の疑問を抱いては居なかった。

 ワケわかめ。



◇◇◇



 ……と、そういう訳で。予選開催と並行して、大会が突貫工事で準備されて行った。

 予選自体は、スマホの特殊なアプリと、偽造不可能な特殊機能付き「星型バッジ」によって、自動的に進行されている。

 星を1つ貰うためには住民票とかが必要らしく、1度でも負けたらゲームオーバーの過酷な戦いのようだ。

 故にこそ、真の実力者たちが集まってくると思われたのだが……


「よぉし! 申し込んできたな。じゃあ、さっさと負けて星を寄越せ。一体もモンスターを召喚するんじゃねぇぞ。したら、分かってるな?」

「ひぃ……勿論です……!」

「……………………ぶっ壊すわ」


 どんなルールでも悪用したり抜け穴を見つける奴は居るもの。

 気の弱い子を脅して大会申し込みをさせ、わざとCOバトルに負けさせる……という手法を取っているゴロツキを偽華ちゃんが見つけてしまった。

 それで、偽華ちゃん直々に、「最強を決める大会」に相応しくない雑魚を叩き潰す事にしたらしい。

 CPX社西東京支部が管理運営している大会アプリの対戦記録を参照して、「所有する星が8個以上」かつ「たった1日で7回以上勝利した人物」をリスト化。該当する人物は不正の可能性が大きいとして、潰して回っていたのである。

 確かに、ほとんどは弱すぎる不正ファイターだった。

 けれど時々、例外的に本当の実力者もいたりして。

 そして。青髪の眼鏡男子は、その例外の側だったのだけれども。

 偽華ちゃんの辞書に妥協とか容赦とかという言葉は存在せず。トラウマになるレベルで完膚なきまでに叩き潰したのだ。

 ……あのナイスガイ君、大丈夫かな。あとで「ウチの子がすみません」ってお見舞いに行ってあげるべきかもしれない。

 とにもかくにも。

 この様な経緯で、偽華ちゃんは主人公陣営(+テレビの前の子供達?)に完全な悪役ムーブを披露しやがりやがったのだ。

 間違いなく、「ティティム=悪役」で認識されたよね。もう絶対に引き返せない所まで来ちゃった。泣きたい。




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