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狼と呪いの紅玉  作者: 馬之群
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呪いの手紙(6)

二人目は柏木奈美子。ルリの母親の従姉妹らしい。人見知りが激しいようで、声もあまり聞こえなかった。

最後に笹木トキ。蓮之助の妹だという。日光が嫌だと言って、顔を頑なに隠していた。


一番の問題は、普段のルリが顔の印象が薄すぎたということだ。ルリに特徴がなさ過ぎて、誰にでも変装出来そうだ。しかし、全員ちょっと似ている他人くらいに見える。取り敢えず光琉は西日本の様子を見に行くことにした。


此方の女性は六人もいた。しかし、パッと見てルリよりも低身長の者、明らかに太りすぎている者などを除けば、ルリである可能性があるのはたったの二人だった。

「自分、珍しい目の色やな。」

光琉は唐突に間近で覗き込まれて動揺した。光琉はサングラスを外していた。身長が明らかに低いので、ルリではあり得ない。笹木家特有の茶髪をツインテールにしている女の子だ。


「そうかな。ヴァンパイアではよくあるよ。」

光琉は穏やかに答えた。

「いや、ウチが言ってるんは、本来の色で赤が珍しいっちゅうこっちゃ。ヴァンパイアの赤い目は皆ニセモンやないか。ホンマに赤い目は初めて見たで。」

女の子は可愛らしく笑った。勝手に光琉の髪に触れる。


「髪も真っ白でえらい綺麗やわ。ヴァンパイア言うんはこうでないとあかん。アンタがもっと歳いってたら、ウチがこうたるのに。アンタに血分けしたのは、よっぽどの阿保ちゃうか。そんな子どものまま時を止めてどないすんねん。」

光琉は少女に少し好感を持った。この台詞をそのまま本人に聞かせてあげたいものだ。


「ほら、絹代。そんな奴と口利いたらアカンで。」

ルリに似た女性がやってきて、絹代の手を取った。絹代の手を黒いレースのハンカチで拭こうとする。絹代はその手を振り解いて光琉に言った。

「ほんなら、また来てや。ウチの呪われるんは三日後やねん。それまでにルリを捕まえたってな。頼むで。」


「努力するよ。」

光琉はそれだけしか言えなかった。絹代はにまっと笑い、小さな小指を差し伸べた。

「約束やで。次来たときは、ウチが大阪を案内したる。」

「それは楽しみだ。」

光琉は絹代と指切りをして、山神家に戻った。光琉は焦っていた。思ったよりもルリを見つけることが困難だった。


「ルリは見つかったか。」

小麦はリビングでサンドバッグを殴りながら言った。

「それが、どうもおかしいのです。もしかしたら、あの中にはいないかもしれません。」

「何?」

小麦が光琉の方を向きながらパンチした瞬間に、サンドバッグが破れた。中にはひしゃげた鈍色の物体が見えた。最早それはサンドバッグとは呼べない。人間なら拳が潰れる。


「散らかさないで下さい。どうぞ。郵便受けに入っていましたよ。」

光琉が手渡したのは大小様々な封筒や手紙だった。小麦は興味もなさそうに受け取る。

「どれ、これは幹部会から。広告、恋文、恋文、携帯会社、恋文…。これは何だ?」

小麦が怪訝そうに見ていたのは、大きめの茶封筒だった。

「火野歌羽?はて、何処かで聞いたような名だが…。」

小麦は開封し始めた。光琉は不吉な予感に手を止める。歌羽…聞き覚えがある。確か…。

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