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156 王妃の花園

 王城「水晶宮」には、「王妃の薔薇バラ園」と呼ばれる特別な庭がある。

 書いて字の如く、代々の王妃だけが立ち入りを許された庭だ。

 バラはもちろん、四季折々の花々が咲き誇り、小さな人口の池と、気持ちのよい東屋もある。


 最初に整えたのは、千年前の建国王らしい。

 以来、歴代の王たちの「特別な女性」のために、その庭は存在してきた。

 咲き誇る花々は、王たちの愛の証――。


 などと言うと極めてロマンチックに聞こえるかもしれないが、実際はこの庭の所有権を巡って、王の女たちの間で争いも起きている。

 言ってみれば、「王妃」という地位の象徴だからだ。

 15年前、病みがちの王妃が離宮に移された時も。

 ファーデン王の3人の側室に多数の愛人もまじえて、怒鳴り合いとつかみ合いのケンカに発展した。

 当時「王の女」たちの中で最も地位が低かったアクアは、馬鹿馬鹿しく思いながらその様子を見ていたものだ。


 ――まさか自分が、その庭の持ち主になるなんてね。


 こんな庭ひとつ、別に望んでもいなかったものを。


「アクア様」


 園芸に興味はないし、花を愛でる趣味もない。

 ただ、ここは静かで人が来ないので、休憩や考え事をするには良い場所だ。


「アクア様」


 東屋の下で1人、物思いにふけるアクアの名を、遠くから呼ぶ声がひとつ。


「お客様がお見えでございますよ」


 侍女のマーサだった。長女フローラの乳母であり、護衛でもある。生まれは南の国で、かつては「魔女」の二つ名で呼ばれた密偵だったとか聞くが、フローラが生まれた際にその稼業からは足を洗った。

 以来ずっと仕えてくれている。敵だらけの王城の中では、数少ない信用できる相手。腹心の部下と呼んでも差し支えない存在だ。


 アクアは眉をひそめた。

 その腹心の部下が連れてきた「お客様」が、あろうことか敵方の人間だったからだ。


 黒髪に黒い瞳、身にまとう衣装も黒づくめ。

 真夏の陽差しのもとでは違和感しかないその姿に、なぜか人は絶世の美を見出し、心奪われてしまう。

 15年前まで、この庭の持ち主であった王妃に生き写しの容姿。「救国の英雄」としても知られる第二王子だった。


「真っ昼間から堂々と敵のもとを訪ねてくるなんて」

 あいさつも抜きに、アクアは非難めいた言葉を投げつけた。「いったい何のつもり?」

 王子はケンカには乗ってこなかった。

「敵だからこそ、話すべきことも聞くべきこともあるだろう」

 平然と落ち着いた声で、当人にしかわからない理屈を口にする。

 こういうタイプは苦手だ。何を言っても動じずマイペースで、会話の主導権を握りづらいから。


「……あら、そう。何を話して、何を聞きたいのかしら?」

「先日の事件のことだ」

と王子は言った。

「正確には、近衛騎士のヒルデ・ギベオンのことだ。うまく王都から逃がすことができたようだな」


 ああ、なるほど。アクアは納得した。

 この王子とヒルデ・ギベオンの間には多少の付き合いがあった。そうでなくても、分家筋と五大家の揉め事に巻き込まれた気の毒な騎士だ。どうにか助けられないものかと案じていたのだろう。


「ひとまず家族と一緒に、王都から逃がしたわ」


 彼女は城に捕らわれていたので、連れ出すまでが一苦労だったが。

 利用したのは、例の服毒事件だ。

 1度目のそれは、おそらく口封じを狙ったエマ・クォーツの仕業だったのだろう。

 2度目の時は違う。アクア自身が彼女に毒を盛った。一時的に体調を崩す、致死量からは遠い毒を。

 ついでに、正義感にあふれた「王都の聖女」に、ヒルデが城で拷問を受けている、という嘘の情報を流し、彼女の身柄が施療院に引き取られるよう工作した。

 警備の厳重な城から外に出してしまいさえすれば、後は王都から逃がすのもそう難しくはなかった。


「ほとぼりがさめるまで身を隠せる算段はしたけど――その先のことは知らないわよ」


 彼女の人生が、今後どうなるかまでは。

 薬で操られていたとはいえ、公衆の面前で刃傷沙汰を起こしたのだ。栄えある近衛騎士の一員には戻れまい。

 ……もしも娘のフローラが即位し、自分が権力の一端を手にしたならば。

 復職させることも可能かもしれないが、彼女がそれを望むかどうかはわからない。


「それでも、礼は言っておく。俺の力だけではどうにもならなかったからな」

 感謝する、と頭を下げてくる王子を、アクアは冷ややかに見つめた。

 敵に向かって「感謝」だなんて、馬鹿なのだろうか。自分であれば、そう簡単に他人に弱みを見せたりはしないが。


「礼なんて必要ないわ。自分のためにやったことだから」


 余計な恨みは買いたくない。アクアがヒルデを助けた理由はそれだけだ。

 ラズワルドは甘く見ている。

 他人の恨みを買うということ。誰かに心底憎まれるということ。それは我が身を滅ぼす結果にもつながりかねないのに。

 7年前の事件で暴走し、余計な敵を生み、多くの味方を失っても、まだ懲りていない。

 あくまで自分のやり方に固執し、今回もまた分家筋に対して、強硬な手段に打って出た。


 追いつめられた分家筋が、今後どう出るか。

 ラズワルド憎しの思いに突き動かされて、長年敵対してきたクォーツの本家筋と――「ハウライト派」と手を組むことだってありえるかもしれない。

 それはラズワルドにとって、敵に力を与えることに他ならないというのに。


「見限る気はないのか」

 アクアの思考を読んだようなタイミングで、王子が言った。「奴を見限ってこちらについてくれるというなら、悪いようにはしないが」

「……随分と露骨な仲間割れ工作ね」

 アクアは軽く目を細めて、その整った美貌をにらみすえた。

「こんな日の高いうちに堂々と会いに来たのも、あの男が私を疑うように仕向ける意図があるのかしら?」

 王子は「そんなつもりはない」と否定した。

「それに疑うも何も、もともと奴との間に信頼関係などないだろう」

 だから問題はないはずだと。

 ……皮肉ではない。単に事実を言っているだけのつもりなのだ。


 冷ややかを通り越してあきれていると、王子は唐突に話題を変えてきた。

「昔、この場所で助けられたな」

 満開のバラをぐるりと見回し、勝手に昔話を始める。

「こっそり入り込んで遊んでいるのを側室たちに見咎められて、折檻せっかんされているところを止めに入ってくれた」

「……そんなことがあったかしらね?」

 口ではとぼけて見せたアクアだったが、実際はよく覚えていた。


 2人の王子が、母親の王妃ともども城から追い出されるより少し前のことだ。

 あの頃、王宮内で権力を握っていたのは3人の側室だった。

 王妃の血を引く王子2人は、彼女たちに疎まれていて。特に、王妃そっくりの第二王子は目の仇にされていた。


 平民生まれのアクアもまた、吹けば飛ぶような軽い立場だった。迫害を受けるというよりは無視され、軽んじられていた。

 立場の弱い者同士。

 同類相哀れむ――というのとは、多分違う。

 単純に、腹が立っただけだ。6つや7つの子供を、大人が寄ってたかって傷つけていたのだから。

 王子を鞭打っていた側室のうち1人、今は王都から追いやられた女の顔を張り飛ばし、啖呵たんかを切った。恥ずかしくないのかと。


「まさか、恩義を感じているの?」

 そんなわけはないだろう。

 仮に当時はそういう感情があったとしても、今ではきれいさっぱり消えているはずだ。年月の経過ばかりが理由ではない。アクアの娘が、彼の大切なものを傷つけたから――。


「だとしたら、おかしいか?」

 王子は真顔で首をひねっている。

「あの頃は兄上以外、頼れる存在が城に居なかったからな。『大人』というものはすべからく恐ろしいものだと感じていた。初めて味方を得たような気がして、心強かったぞ」

 味方、という言葉の滑稽こっけいさに笑ってしまう。


 ――でも、そんな頃もあったかもしれない。

 あの後、2人の王子は城を追われ、アクアと娘2人も同様の憂き目にあった。

 自分たちは数年後には城に戻れたが、王子は違う。紆余曲折を経て城に戻るまで、10年以上かかった。


 4年前、彼が「救国の英雄」として王都に凱旋した時。

 アクアもまた紆余曲折を経て、「王の女」たちのトップに昇りつめていた。

 互いに大きく立場を変えての再会。まるで、かつての戦友と相まみえたかのような、そんな感傷にふけったこともあったかもしれない。


 その関係も、今では壊れてしまった。原因は主に自分にある。


「ルチルはその後どうしている?」


 そうだろう。当然、それが聞きたいはずだ。


「想像はついてるんじゃないの?」


 ルチルは、アクアの娘は、自分の愚かな行為を悔いてなどいない。

 反省もしていない。ワガママな気性も振る舞いも、あの事件の後、むしろひどくなった。

 誰の言葉にも耳を傾けず、誰も近くに寄せつけず、自分の世界を守ろうとしている。この世の中で自分だけが尊い、あまりに幼すぎるその世界を。


「心配しなくても、あの子のことは当面、閉じ込めておくつもりよ。あなたと妹に迷惑はかけない。だから安心して?」

 突き放すように言うと、相手はむしろ困った顔をした。

「多忙であることは承知しているが……、少しばかり放任が過ぎないか」

 アクアはせせら笑った。

「ええ、王の愛妾は多忙でしょうね。王の歓心を買うために、それはそれは忙しいのだから」

「ごまかさなくていい。親父殿の仕事を手伝っているのだろう?」

 思いがけない言葉に、アクアの顔から表情が消えた。

「……誰に聞いたの」

「親父殿本人だ。他に居ないだろう」

「まさか」


 まさか、そんなことが。


「ルチルの事件が起きる前の話だ。親としての監督責任を果たせと抗議に行ったら、親父殿が言った」


 ごめーん、うちの奥さん、いそがしいんだよ。

 私の仕事を手伝ってもらっちゃってるからさ。最近ではわりと丸投げ? おかげで、子供との時間もとれなくて。


 くらり、とめまいがした。別に、夏の暑さのためではない。


「……あなた、その話を信じたの?」

「信じなかった。内容以前に、あの男の言うことは基本信じないことにしている」


 するとファーデン王は、自分の執務室に王子を連れて行き、アクアが机仕事をしているところを「こっそり」見せたのだという。


「随分熱心に働いていたようだったな」

「…………」

 比喩ではなく、アクアは頭を抱えた。

 あの馬鹿亭主。なんでよりによって、この王子にバラしたりした。


 平民生まれの酒場女が、王の仕事を手伝う。

 馬鹿げた話だ。冗談にもならない。

 しかしその「冗談にもならない話」が、この国では真実なのだ。アクアが王の政務を一部引き受けるようになってから、既に5年以上の月日が経過している。


 自分には学がなかった。

 学びたくても、生まれの貧しさがそれを許さなかった。

 生活力のない両親と、幼い弟妹の生活が両肩にのしかかっていたからだ。


 水商売と馬鹿にされながらも懸命に働いて、しかし店にやってくる立派な肩書きを持った男たちは、アクアの目には特別賢くも立派にも見えず。


 正直、歯がゆかった。

 自分が世の中を動かす立場になったら、もっとこうする、ああする。そんなことばかりを夢想していた。

 わずかに空いた時間に、むさぼるように本を読んで、勉強して。

 それでも何も変わることがない日々の中、あの男と出会い、城に招かれた。


 王の執務室に自分を入れたのは、ただの気まぐれだったのだと思う。

 だが、アクアが彼の仕事に興味を示すと、「じゃあ、やってみる?」と事もなげに提案してきた。

 まったく非常識で、とんでもない王だ――。


 遠い目をしているアクアを、王子は気の毒そうに見つめた。

「昔から、親父殿の件では迷惑をかけるな。……よく連れ添っていられるものだと、他人事ながら思う」

 他人事なのか。一応、血のつながった親だろうに。

 昔から、この親子の関係性はよくわからない。

 実の父親であるファーデンのことを、慕っているようには全く見えないが、かといってものすごく憎んでいるようにも見えず。

 父親の女で、母親の敵であるはずの自分にも、敵意や軽蔑の目を向けてくるわけでもなく。

「もしも不本意な仕事をさせられているのなら、対処する」

 ……そんな親切めいたセリフまで口にする。


 アクアはわざと音を立てて嘆息した。

「勘違いしないで。私は好きでやっている。あの人に自分の仕事を押しつけられているわけではないわ」


 ずっと世の中を動かす仕事がしたかった。今はその夢がかなったのだ。

 環境のせいで、自由に生きられない。家族を支えるために、自分の望みをあきらめなければならない。

 そんな生き方はもう真っ平だ。


 この先も、今の仕事を続けたい。そのためなら、夫でも娘でも利用してやる。

 だからこそ。

 この王子のことは嫌いではないが、寝返りの誘いを受けるわけにはいかなかった。

 彼の兄が王位に就いたら、自分は今のように働けるだろうか? ――答えは、考えるまでもない。


「……そうか。望んでやっているというなら、別に構わないが」

 いや、構うだろう。普通は構うはずだ。

 このこと、叔父である宰相には話したのか? 敵の弱みを、の目たかの目で探しているあの男なら、間違いなく大喜びするはずだ。


「叔父上には話していない。別に話す意味もないからな」

 なぜそう思うのか、皆目、理解できない。

「そんなことより、重大な話がある」

 王の仕事を、王ではない人間がこなしているという事実より重大な話とは?


「娘たちとの関係についてだ。……少し考え直した方がよくはないか?」

 アクアはもう1度、音を立てて嘆息した。

「他人事なのに、口を出さないでくれるかしら?」

 王子は「他人事ではない」ときっぱり否定した。

「ルチルが悔い改めなければ、また俺の妹が狙われかねない。それが理由のひとつ」

「……もうひとつは?」

「フローラは他人ではない。向こうはどうだか知らんが、少なくとも俺は身内だと思っている」

 政略結婚の道具にされるのを、黙って見すごす気はないと。

 どちらも同じアクアの娘なのだが、あまりに露骨な差別に苦笑がもれる。

「フローラのこと、そんな風に思ってくれてありがとう。……できればもう1人の娘のことも可愛がってほしかったけど」


 王子は別に嫌な顔もせず、「無理だな」と即答した。

「俺は情が濃いタチではない。ひとつ屋根の下で暮らしたことのない人間を、身内だと思うのは無理だ。ルチルは他人だ。他の異母弟妹と同じく」

「……実の妹をいじめたから、じゃないの?」

「当然、その理由もある」

「…………」

 言葉を取り繕うということを知らない、もしくはするつもりがない人間と会話するのは、慣れていないと、疲れる作業だ。


 まあ、慣れてしまえば別に疲れはしないし、話が早いという利点もある。自分も率直に話せばいいだけだ。

「あなたは信じないかもしれないけど、フローラに望まない結婚を強いる気はないわ」

 あの気弱な娘が、本気で自分に逆らうことができるなら。

 好きにすればいい。その時はまた別の手段を考える。力づくで従えようだなんて、そんな無駄なことをするつもりはない。


「でも、ルチルのことは放っておいて。これは私たち親子の問題。あなたには関係ない」

 相手が反論しかけるのを遮って、

「親が忙しいと子供がグレるなんていうのは、くだらない偏見よ。私はフローラにだって大して構ってやらなかったけど、ルチルのようにはならなかったでしょう?」

 結局は「本人の資質」だ。そう言ってやると、王子はあからさまに顔をしかめた。

「フローラとルチルでは、性格も違えば、育った環境もまるで違う」

 仰る通りだ。ルチルは物心ついてからずっと恵まれた環境で育った。かなりおめでたい所があるし、世間知らずでもある。それでも。

「あの子はもう13よ」

 その年になれば、自分の頭で物を考えられるだろう。アクアが13の時には、大人に混じって働き、両親や弟妹の面倒をみていた。


 王子は尚も何やら言いたげだったが、アクアはこれ以上、この話題を続ける気はなかった。

「他人のことより、自分の心配をしたらどう?」

 相手に習って、強引に話題を変えてやる。

「今回の件でよくわかったでしょう。ラズワルドは追いつめられている。そしてあの男の本当の敵は、弱体化したクォーツの分家筋なんかじゃない」

 宰相であり、ハウライト王子だ。

 そして、兄である第一王子が無事即位できるかどうかは、弟であるこの王子が鍵を握っている。


 理由は単純で、弟の方が、民の人気も知名度も高いからだ。

 もしも、第一王子が暗殺でもされたなら。遺された第二王子に同情と支持が集まり、犯人は糾弾され、弟の方が即位――という図式になるのは目に見えている。

 逆に、第二王子が暗殺されたとしたら?

 人気の高い弟に兄が嫉妬したのだと、ありもしない噂を流せば、果たしてどういうことになるだろうか。


「知っているでしょう。ラズワルドはそういう手だって平気で使う男よ。せいぜい気をつけなさい」

「…………」

 王子はなぜか口を閉ざして考え込んでしまった。

 宙を見上げたまま、動かない。しばらく待ってもそうしているので、「……どうしたの?」と声をかけてみると。


「いや、今の話と、関係があるのだろうかと考えていた」

「……何が」

「先日、予告状が届いてな」

 荷物が届いたとでもいうような気安さで、「俺の命を奪いに来るという暗殺予告状だった」と説明を添える。


「……ごめんなさい。ちょっと何を言っているのか、意味がわからないわ」

 戸惑うアクアに構わず、

「差出人は『巨人殺し』だ」

と説明を続ける王子。


 ふざけている、わけではないらしい。

 巨人殺し。

 確か、王都では有名な暗殺者だ。

 マーサと同年代で……、既に亡くなったという噂もあった気がする。生きていても、初老くらいの年齢にはなるはずだ。普通は引退しているだろう。


「偽者か本物かはわからない。イタズラや脅しといった可能性もある。だが、本物の犯行予告という可能性もゼロではない。おかげで、少々難儀している」


 それは、事実だとしたら当然、難儀もするだろうが――、そんな話を、他ならぬ自分にされても困る。


「何か心当たりはないか? どんなことでもいい」


 くどいようだが、聞かれても困るのだ。

 アクアに心当たりなどなかったし、それ以前に、自分たちは敵同士。

「あら、それはラズワルドの雇った殺し屋かもね」なんて、答えるわけがないだろう。


「……私は何も知らないけど」

 結局ありのままを告げると、王子は「そうか」とうなずいた。

 うなずいた後は、また黙って考えている。いいかげん帰ってほしいものだと思いつつ、アクアは自分も考え込んでしまった。


 この王子に、暗殺の予告状? いったい誰がそんなものを――。

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