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透明な俺の青春1ページ  作者: カイザ
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俺達は海へ! その5

 愛染。桃白と相性いいんじゃないか疑惑から少しの時間が経ち、俺達は帰る事になった。


「はぁ、この出来事は俺の心に刻み込まれるだろう。」

「あはは。もっちん。何言ってんの!」


 雪野先輩に笑われたが、本当に俺の記憶にいつまでも残るだろう。今の俺の記憶に……。


「––––あれからいろいろあったな……。」


 香織から恋の相談を聞いた時から全てが始まった気がする。


 香織を手伝う為に空と仲良くなり、香織と空の事を悩んでると夏樹とぶつかり、生徒会に入る事になって、また生徒会の人達とも関わりを持った。そして体育祭の件があり、後輩のマリナとも出会う事が出来た


「これで…よかったのかな……?」

「ん?どうしたのもっしん。」

「…………なんでもないよ。ただ、なんだかんだ楽しかったなって。」

「ふーん。」


 桃白は俺の話を聞いた後、窓の外を眺める。


 俺も疲れが溜まって、目を閉じ、今までの出来事を思いだす。


『私、2年5組の飯田空君が好きなの!』


 この言葉を聞いた時はすごくショックだったな。俺主人公なのにどうして俺の事好きじゃないんだ!?って生意気な事思ってたよな。


『俺の好きな人は……3組の夏樹愛華……』


 空から聞いた時、すごく焦った。俺→香織→空→夏樹って恋の一方通行で。それで空の好きな人を香織にさせようと考え始めるんだよな。


『ありがとう。山本君。』


 夏樹がなんで俺の事知ってんだ?って思ってたけどまさか6年前に会ってたなんて。しかも俺が記憶喪失って聞いた時はパニックになったな。


『本質は何も変わって無いんだな。他人を傷つける事が出来ない優しさが……』


 体育祭が終わり、黒白との決着をつける時そんな事を言われた。本当の俺(あいつ)がどんな奴かわからないけど、少なくともいい奴なんだなって思った。俺とは違う。俺はそんないい奴じゃない。


『佐藤先輩に一目惚れして………それで、その……付き合える手伝いをして欲しいんですが……』


 初めて交流を交わした後輩のマリナに言われた言葉。さすがに俺に気があるって、経験からして期待してなかったが、予想通りまた手伝いを頼まれた。バーベキューでみんなの交流が深まったからそれはそれでよしと思ったが。


『私とデートしませんか?』


 赤の他人だった雨宮に突然言われた言葉。最初は怪しさMaXで警戒しながらもデートに行ってみたら実は雨宮が病気だと知り、俺はこんなに楽しく過ごしてもいいのか?と悩んだ時もあった。



 あの一つの出来事からさまざまな出来事の道へ繋がっていたんだ。


 もちろん、嫌な事もあった。苦しくて泣いた事もあった。それでも、みんなと出会えた。それは本当に良かったと思う。


 もし、完全に記憶が戻ったら、俺はどうなるんだろう。消えるのかな?みんなの事忘れるのかな?


 怖いな。

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