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透明な俺の青春1ページ  作者: カイザ
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俺はパンをくわえ、走る。

玉入れが終わりとうとうパン食い競争と言う地獄の競技が始まろうとしていた。


ちなみにこの競技を考案した雪野先輩はこの競技に出場しないらしい…………why?


入場口に入り、順番待ちをしていると、ライバルと言うべきなのだろうか?あいつがやって来た。


「黒白もここなのか。合ってないな。」


「じゃんけんに負けたんだよ。」


敵ながら俺は同情してしまった。

だが、俺はこいつと競う事になる。


勝ちたい。その気持ちが今、生まれた。




一年生が先にスタートし、グラウンドを二周し、その間にパンを釣っている箇所が5ヶ所あり、走りながら食べている一年の顔はとても苦しそうだった。俺もこうなるのか………。


一年生の部が全て終了し、一部の一年は口を抑え、下を向いていた。


そしてとうとう、二年生の番となってしまった。


黒白は嫌な顔をしながらも俺を睨む。

それに負けないように俺も睨み返す。


そして、俺達二年生はスタート地点に立ち、スタートの準備をする。


勝つためには本当の俺あいつに力を借りるしかないか………。


先生はピストルを鳴らし、スタートの合図を知らせる。


その瞬間に俺はスイッチを押す。


みんなは一斉に走りだし、最初のパンがある場所にたどり着く。


パンの下に立ち俺はジャンプし、パンにかぶり付く。

ここで重要なのは変に方向を変え力をくわえると取りにくくなる。簡単に取る方法は……ただ、真下に引っ張ればいい!!


事前にネットで調べたんだよ!!『パン食い競争 コツ』ってな!!


おかげでうまく取ることができた!


袋を開け、パンを口に入れながら次へと走りだす。


やばい。既に気持ち悪い……。


そう思いながら後ろを振り向くと、もう黒白が俺の後を追っていた。


まさか!あいつもネットを使ったな!?


次のエリアに着き、急いでパンを掴み走り出す。


袋を開け、二個目のパンを食べる。



まじかよ……ジャムパンはきつすぎだろ…


無理矢理口に入れながら次へ目指すが、俺の前に誰か現れる。



そいつは黒白だった。


黒白はもう次へたどり着き、無駄のない動きでパンを取り、次へ向かって行く。



頼む。もう少し力を……


負けるわけにはいかない。香織と空のためにも、そして俺のプライドがあいつには負けたくないって叫んでる!


本当の俺あいつが俺の想いに応えたのか、走るのが速くなる。


「もっしん!頑張れーーー!!」


その時、香織から声援が聞こえて来た。


「あぁ!頑張れ!もっしんーーー!!」


「もっしん!一位だぞー!」


「頑張れーー!!」


よっしーに続き、クラスのみんなも俺に声援を贈ってくれる。


こんなの頑張るしかないじゃないか。


ますます走るスピードが上がり、パンをたいらげる。


それからも黒白との一騎打ちが続いたのだが、いよいよ黒白は限界を越える一歩手前まで来たらしい。


「ぶっ!おえ……」


黒白は足を止め口を押さえ始める。

長い距離を走りながらパンを食ったんだ。無理もない。


人の事を言っているが、俺も限界に近づいていた。だが、ここまで来て負ける訳には行かない。


黒白を抜かし、最後のエリアに着く。


「ぐっ!」


さっきまでと同じような取り方でパンをくわえ、そのまま下に落ちる。


パンを掴んでいた物は取れ、俺は袋を開け、パンを口に入れる。


その瞬間。何かが口から出そうになったが無理矢理それを堪え、走りきる。



「おぉーー!一位だーーー!!」


「もっしんーー!!!」


俺はゴールの紐を駆け抜け、一位になる。


「や……やったおぇ!」


本当に出しかねない勢いだ。


俺は先生に報告し、トイレへ駆け込んだ。


なんか、パッとしない一位だな。


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