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透明な俺の青春1ページ  作者: カイザ
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俺を好きじゃねぇーのかよ。

俺の名前は山本慎二。みんなからはもっしんと呼ばれていて、どこにでもいる平凡な高校生だ。成績並、運動並。全て平均的にこなせる。だがそんな俺には誰にも持っていない特権を一つ持っている。


俺がこの作品の主人公だ。


鈍感系主人公?そんなの時代遅れさ。

鈍感では無く、主人公と自覚している者が新しい時代なのさ!

そしてこれはラブコメ!

ラブコメによくある展開それは……

『ハーレム!』

ハーレム来たあぁーー!!

おぉっといけない。そんなのラブコメでも俺には親友でもあり最強のライバルともいえる奴がいたんだったわ。


「おっ!今日は早いな。もっしん。」

早速現れた。あいつの名前は佐藤義長(さとうよしなが)通称よっしー。成績優秀で運動神経抜群。サッカー部のエースを務めていて、さらにイケメン。

そんな完璧なスペックを持っていて更には女子からはモテモテ。


な?強くね?普通義長が主人公と言っていいレベルのスペックだよ?

だがそんなよっしーにも一つ欠点がある。

それはよっしーが恋愛にはかなり疎い事と、性格が良すぎることだ。


以前までのラブコメなら完全無欠なのだが、それはもう時代遅れなのだよ。よっしー。


「たまたまだよ。」

いつもより早く学校に着いた俺は席に座りスマホをいじり始めるのだが……


「いてっ!なんだよ、香織かよ…お前も今日は早いな」

突然後ろから背中を叩かれ振り向くとそこには宇月香織がいた。

香織は小学校からの幼なじみで仲が良く、たまに俺と義長、それと香織で遊びに行く事もある。


「おはよ。びっくりした?」

「びっくりしたよ。香織まじで心臓に悪いからやめてくれ。」

「はいはい。」

駄目だ。まったく聞いてねぇ。

「おっ、香織。おっす!」

「おっす!」

香織とよっしーはおっすをし、席に座る。


それから数分が経ち、今度は女子グループの浅木真衣(あさぎまい)ともうめんどくさいからb子とt子とk子が教室に入る。


俺はあの女子グループは少し苦手だ。何せこのクラスの女子のリーダー的存在である浅木がいるだぞ?怒らせたら何をされるか……

と言う事で俺はあのグループに関わりを持たないように喋らないが、よっしーと香織は違った。


「あっおはようみんな」

「香織、今日は早いだね。」

「うん早く目が覚めてちゃって…」

「佐藤君もおはよ」

「おっす!」


よっしー‥.お前はおっすでしか挨拶できねぇのか……


それにしてもよっしーと香織のコミュ力は羨ましいものだ。なんで主人公の俺には最強のコミュ力が無いんだ?




***

はい。あれから何も無く昼休みが来ましたよ。

あれ?おかしくね?これ1話だよ。何か壮大な展開とかあってもいいんじゃないかな?


そう思ってると香織が俺に近づいて来た。

これはラブコメだ。それとあいつは幼なじみ。

あいつ絶対脈ありだぜ。そうじゃないとこの話が成り立たない。


「もっしん。ちょっと相談があるんだけど…」

ん?なんだ。恋の相談か?俺の名前を伏せて、その人にどう告白すればいいかとかか?

「ん?相談?何かあったのか?」

「うん。もっしんにしか話せない、恋の相談……」

あれ?本当に俺の時代来たんじゃね?

「ん?もっしんどうしたの?変な顔して?」

「へ!?いやなんでもないよ!」


いかんいかんつい俺の裏の顔が出ちまった。俺の悪い癖だ。


「……で、恋の相談なんだから好きな人はいるんだろ。誰なんだ?」

「私、2年5組の飯田空君が好きなの!」


うん?

いや、よっしーだったらまだわかるが、5組って全然関係ねぇーじゃねーか。ちなみに俺達のクラスは1組な。


「だから付き合えるように手伝ってほしいの!」

「……おっけー。手伝ってやるよ!絶対に付き合わせてやる!!」


俺はこの物語の主人公であるが、香織の主人公では無く、運命の人でも無かった。


これから始まると思っていた俺の青春の1ページは透明になりそうだ。

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