ナインボール #7
オープニング曲イメージ
JUN SKY WALKER(S)
「Saturday Night」
慎二と友達になった次の日の1時限目
今日も池口は彩に話しかけている
彩はもちろん無視して黒板の文字をノートに写している
池口の声だけを無視する特殊能力を手に入れつつあった
考えていることは甘いものの事だけなのもある意味特殊能力かも知れない
「…寝てんのか?」
後ろからでは寝てるように見えなくもないが
肩を指でつんつんする
これには彩も流石に無視できなくなってくる
舌打ちをしてから振り返る
「何よっ!」
やっと気が付いてくれた彩に笑顔の池口
「昨日な、彩の弟と会ったで ほんで友達になってん♪家も行ったし」
「はぁ!?弟なんていないし」
そう言って勢いよく前を向く
「そんなこと言うなよ…しんじ傷つくぞ」
何言ってるんだコイツは慎二って誰だよ!?と思いつつも無視を開始する
それでも池口は話を止めようとしない
「彩のお母さんって料理上手やな♪カレー食べさせてくれたぞ 美味しかったな~
彩も昨日帰ってきてから食べたんやろ?」
もう一度振り返って
「ちょっと、それなんなの?意味わかんないし気持ちわるいんですけど?」
「え?」
「だから私には弟なんていないし昨日カレーじゃなかったし!」
池口は会話を聞いていたであろう田真希を見る
「彩に兄弟いないよ?…昨日の晩御飯までは分からないけど(笑)」
池口はそれを聞いてやっと理解する
「マジかよ…」
小さく呟く
「うわ~!!!幽霊やったんかよっ!」
授業中にも関わらず大声で叫ぶ
幽霊を今まで見たことがなかったので怖いとか思ったことのない池口だったが
腕に立つ鳥肌を彩に見せながらさらに続ける
彩は振り返らないので見えてないが
「こえ~めっっっちゃ怖いやん!カレーまで食ったのに!あんなに楽しかったのにか!」
幽霊というワードと池口の反応を知ってクラス中も気になっているみたいだ
先生が池口に静かにするようにと注意するが池口は止まらない
「アカギもキタウラも一緒やったんやぞ!見たんやぞ
あ~あいつらそれなんとなく分かってたからカレーも食わへんかったんやな!
なんで教えてくれへんのやあいつら!」
田真希が話しかける
「池口君ほんとに幽霊見たの?」
「おう、あいつらに聞いたら分かるけどマジやで!見てこの鳥肌」
「心霊スポットとか行ったの?」
「心霊スポット…心霊…スポット…?」
「えっと…お化けが出そうな場所」
「出そうじゃないな…だって普通の場所やで
あ、電話番号聞いたから電話してみるわ」
…呼んではいるが繋がらない
「ひぃ~やっぱ繋がらねぇ~!」
2回目の注意で池口も大人しくなる
「…これ終わったら詳しく話しするわ」
そう言って池口は眠りにつく
チャイムが鳴って田真希に起こされる
彩は起こすなと言ったが
「池口君、授業終わったよ」
30分ほど眠った池口は先ほどの事はすっかり忘れているようだ
「幽霊の話は?」
そう言われてやっと思い出したらしい
「せや!二人も呼ぶわ」
連絡を受けて二人もすぐに教室にやってきた
「先輩、なんかあったんスか?」
「すぐに来いだなんてどうしたんですか?」
「昨日な…あれ幽霊やぞ!」
ものすごいどや顔で言われたが何のことかさっぱりわからない二人
「せやからしんじもしんじのお母さんもカレーも全部幽霊じゃ!」
「……先輩、寝ぼけてるんじゃ?」
「確かに寝起きやけど寝ぼけてるんとちゃうわ!」
「ど、どういう事なんスか?」
「なんで分からんかな~ 彩に弟なんかおらへんのやってよ!これで分かったやろ」
それを聞いて北浦は池口の言ってることを理解する
「げ!マジっスか!うお鳥肌」
そう言って北浦も鳥肌を見せる
彩も田真希ももしかして本当に幽霊と思ったが赤城が冷静に話はじめる
「先輩、あの…慎二の苗字って白石…ですよ
彩さんはえっと…飯島さんでしたっけ?」
「そ、それがなんやねん」
「だから、慎二のお姉さんも彩って名前なだけで彩さんとは別人と言いますか…」
彩達は池口が勘違いしてるだけだと理解する
「…ばっかみたい そんなことだろうとは思ってたけどね」
「っつーか宏お前昨日DVD借りて見たんじゃないのかよ」
「あっ、そういえば…幽霊はDVD貸してくれないっスよね~(笑)」
まだ分かってない池口がやっと理解したところで授業のはじまりを告げるチャイムが鳴る
「じゃ、先輩教室に戻りますね」
「また後でっス」
「お、おう…」
「幽霊じゃなくて…良かったね(笑)」
池口は幽霊はいるかも知れないしいないのかも知れないと思うのであった
エンディング曲イメージ
THE HIGH-LOWS
「ハスキー(欲望という名の戦車)」