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ナインボール  作者: Nove!?
5/27

ナインボール #5

オープニング曲イメージ

JUN SKY WALKER(S)

「Saturday Night」

授業が終わり池口達は桜華近くにあるステーキ屋に向かっていた

「あれ?なんか絡まれてないっスか?」

立ち止まり見てみると中学生が3人の男に囲まれていた

池口達が近寄る前に男たちは去っていったが、気になったので中学生に近づいてみる

今にも泣きだしそうな顔をしてひどく落ち込んでいる

「お、おいおい…どうしたん?」

中学生は一瞬驚きながらも心配してくれてる事が分かり安心したようだ

「お金を取られました…」

「え?カツアゲ?」

「…はい」

「ひでーな…中学生相手にかよ」

「あの制服って桜華っスよね?」

「そうなん?俺は分からんけど」

「あれは桜華ですね」


通りがかる人は少なくないが誰も助けてはくれなかったようだ

池口がとりあえずすぐ近くにあった駐車場に行って話をしようと言い出した

「俺コーラ、自分何飲む?」

ポケットから1000円札を取り出しながら中学生に尋ねる

「え…あの…えっと」

「コーラかお茶かジュース何がええ?」

「あ、えっと…」

「遠慮しやんとき♪コーラでええか?」

「え…は、はい」

「どっちかちょっと自分らの分も買ってきて」

赤城がお金を受け取り自販機に向かう


池口は車止めに腰を下ろし飲み物を待つ

中学生はどうしていいのか分からずにいると

ここに座りと少し席を空けてくれた

車止めに二人並んで座る


赤城が揺らさないようにしながらも急いで戻ってきた

お釣りとペットボトルのコーラを池口と中学生に手渡した

「…ありがとうございます」


池口がプシュッといい音をさせて飲みはじめる

「うま~♪まぁ飲みよ」


「いただきます」

赤城と北浦もコーラを飲みはじめる

「い、いただきます」

中学生も一口飲み込む


池口はもうすでに飲み終わり中学生も少し落ち着いたようなので話しはじめる

「なんかあったん?」

「せ、先輩聞いてなかったんスか!?」

「お、おう、なんかあったっぽいのは分かってんけどな」

「カツアゲにあったみたいなんですよ」

「あ~そういうことか…いくら?」

「…2000円」

「そっか…」


それだけ聞いた後池口が一言も話さないのでしょうがなく北浦が話しかける

「あ、え~、殴られたりとかしてない?大丈夫か?」

「…はい」

「良かった お金取られた上に殴られたら、たまったもんじゃねぇもんな」


北浦もなんて言っていいのか分からず困っていると池口が話しはじめる


「さっきの奴らって友達?」

「…いえ、知らない人です」

「それは良かったな~♪あれが友達やったら悲しいもんな 知らん人でちょっと良かったな」


「自分バイトとかしてんの?」

「してないです」

「そうか~、じゃあお父さんかお母さんにもらった大事なお金や」

「…はい」

池口の言葉で泣き出しそうになっているのが二人の前に立っている

赤城と北浦には分かった

「そんなお父さんらがくれた大事な大事なお金は取られたけど自分怪我してへんで良かったやん」

「はい…」

親からもらったお金を守れなかったこと、お父さんが必死に働いてくれた事を考えて

ついに涙を堪えることができなくなっていた

「泣くなや~♪お金より大事なもんは残ってるやろ お金は大事やけどな」

泣き止まない中学生に少し困りながらも池口は黙って背中をさすってやる


時間は16時を半分ほど過ぎたころ

「あ!そういや飯食いに行く途中やったな 一緒に飯行こうや なっ♪そうしよ」

「先輩、飯はいいっスけど時間的にこの子の親に連絡とかしなくて大丈夫っスか?」

珍しく北浦が赤城が言い出しそうな気の利いたことを言い出した


「せやな お母さんに今日は外でご飯食べて帰るって電話しーよ♪」

まだ完全に泣き止んでない中学生を連れてステーキ屋に向かう


店についてもまともに話せる状態ではなかったので注文には少し苦労したが

中学生のメニューも決まりあとは料理が運ばれてくるのを待つだけになった


「そや!自分名前なんていうの?俺は桜高2年の池口 先輩って呼んでも池口って呼んでもええで♪」

「俺北浦!ヨロシク!」

「…赤城、よろしく」

白石…慎二…(しらいし しんじ)です よろしくお願いします」

「しんじ~よろしく~♪」

自己紹介が終わったところで二人は思い出していた

二人が先輩に名前を名乗ったときもこんな感じだったのかなと


二人が同じように思い出し笑っているように感じた池口が尋ねる

「ん?なんや二人とも面白いことでもあったんか?」

「いや、ちょっと先輩とはじめて会った時の事思い出して…」

「尚弥もか(笑)俺も同じ事考えてたわ」

「あ~そういやお前らとはじめて出会ったのって駐車場やったなぁ」

「いや、そっちじゃないっス(笑)その後ファミレスで自己紹介したなぁ~って」

「あ~そっち?」


慎二は忘れかけていた感覚を思い出し、この瞬間、この3人と過ごす時間が楽しくてしょうがないというような気持になっていた


1年の途中でいじめに遭い学校に居場所がないような気がして、友達もいなくなり

さみしい時間を過ごしていた慎二


この暖かい3人との出会いが今日だけのものだったとしても慎二に勇気と力を分け与えてくれた

それが嬉しくてまた泣き出しそうになってしまっているところに池口が話しかける

「なんか悩んでることでもあんの?話してみ?」

泣き出してしまいそうなのを堪え池口に貰った勇気を振り絞って相談してみる

「あの…学校で少し…イジメに遭っていて」

「へ~、いじめ?」


すごく些細な事からはじまり、あとはエスカレートしていく一方

無視も辛かったが今は何かあるたびに殴られたりしているという

一番辛いのは誰も助けてくれないことだと慎二は語る


慎二がイジメられている事を池口達に伝えたところで

料理が運ばれてきた


「キター♪」

料理を前にしてしまった池口はもう食べることしか考えられない


「ステーキ♪食べようぜ♪いただきまーす」


赤城が隣に座っている慎二に軽く説明をする

「先輩もうご飯の事しか今は考えてないから…とりあえず俺らも食べようか」

「は、はい…い、いただきます…」



「美味しかった~ご馳走様♪」

池口よりも少し前に食べ終わっていた3人も食後の挨拶をする


「しんじ どう?美味しかったやろ?」

「はい 美味しかったです」

今日カツアゲされたこともイジメに遭っている事も忘れて慎二は笑顔で答える


「やっぱステーキは最高やな♪食べ物の王様やで

あっ、それとさっきの話やけど…大丈夫!お金は俺らが取り返すから!」

「そっちっスか?それも大事っスけど」

つい北浦が突っ込んでしまう

「ん?他になんかあったっけ?」

「…慎二がイジメに遭ってるって」

赤城に言われて思い出したようで

「ああ、そっちもあったな う~ん、殴られたんやったら殴り返せばいいだけの話…

なんやけど慎二はそうせえへんのやろ?自分は間違ったこと、変なことしてへんのやろ?

とりあえずはそれでええんちゃう?」


続けて池口は慎二に語りかける

「俺がイジメに遭ったことないから分からんのやけど、誰も助けてくれへんし嫌でも

我慢するしかなくてずっとしてるんやろ?」

「…はい」

「でもいつか我慢できへんようになるで?自分な~んもしてへんのになんかされてさ

そんなんめっちゃ辛いやん」


また泣き出しそうになっている慎二にそれでも池口は続ける

「しんじが優しいからいじめられんねん それは弱いんとちゃう

弱いっちゅーんやったらそれはいじめをしてる方が弱いねん

誰も助けてくれへんのはそいつらに勇気がないからなんや」


池口からなにか温かいものを感じて慎二はまた泣き出してしまう

「俺らが助けたるんは簡単や いつでも助けたる!誰が相手でもな♪何人いてもやで

でもまずは慎二が強くなれ!勇気だしてみ?殴り返しても殴り返さんでもそんなんどっちでもええ」

おしぼりで涙を拭きながら池口の目を真っすぐに見つめながら聞いている


「これで一件解決やん♪」


「…先輩、一件落着っス」

「せやろ♪」

「いや、そうじゃなくて一件解決じゃなくて落着っス」

「ら、らくちゃくってなんやねん?そんなん聞いたことないで」

二人の会話に赤城と慎二がたまらず笑いだす

「なんやねん、笑ったり泣いたり忙しいの~♪どっちかにしとけ いつも笑っとけ♪」

「はい!」


会計を終えて店を出たのは18時前だった

「ごちそうさまです」

「あの池口さん…僕家に帰ったらお金払いますので」

「奢りやんか うまかったやろ?そんなん気にすんなや

いつもいつもアカギもキタウラもお金払う払うってなんやねん?」

「…慎二の気持ち分かるけど俺らもいっつも先輩には奢ってもらってばっかりなんだよ

ここは先輩の気持ちありがたく受け取っておこう」

「本当にいいんですか?」

「おう」

「あの…じゃあ…ごちそうさまでした」


慎二の親に連絡を入れさせるのをすっかり忘れていたので

電話させることにした

「なぁ何を連絡させんの?」

「ちょっと帰りが遅くなるってのとご飯食べたって事とか…」

「え?なんで?帰るのが遅くなるのは心配するかも知れんけど…ご飯はなんで?」

「今食べたばっかりなんで家で食べられないんじゃないかと…」

「しんじ、食えるよな?」

「いえ、あの…お腹いっぱいになったので…今日はもう晩御飯食べれないかな」

「!じゃあ俺が食ったろか?」

「いきなり先輩がご飯食べに来たらお母さんビックリしちゃいますよ」

「そうなん?くっそ!残念やわ~」

「とりあえず連絡だけはしときなよ 家まで俺ら送るし」

「あの…な、なんて言えばいいですかね?」

「そんなん簡単やん 友達と飯食ったから今日は家でご飯食べれません

家に帰るのも少し遅くなりましたけどちゃんと今から帰るので安心してくださいって感じで…どうよ?」

「慎二の普段の会話知らないっスけどなんかそれは逆に心配されそうっスよ」


友達とご飯を食べて今から帰ると連絡を入れて

3人と一緒に慎二の家に向かっていた


「友達って言っちゃったけど…よかったんですか?」

「何が?」

「えっと…今日初めて会ってこんなに優しくしてくれて…あの…いきなり池口さん達を友達って言っちゃいましたけど…」

「友達とちゃうのんやったらなんていうこの関係を?一緒に飯食っていっぱい話ししてこんなん友達やろ」


「あ、ありがとうございます…」

嬉しくてまた泣き出しそうになってるのを

北浦がからかう

「お?慎二今度はうれし泣きするのか?」

まったく嫌味の感じないこのからかいに慎二は笑顔を返す


家の前に付いて連絡先を交換してじゃあなと別れようとした時に

慎二がさっそく勇気を出して3人に話しかける

「あの…よ、寄っていきませんか」

エンディング曲イメージ

ジェット機

「ドーム」

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