ナインボール #2
オープニング曲イメージ
JUN SKY WALKER(S)
「Saturday Night」
松本礼二桜高最強の男
今は使われていない教室で岸本真と携帯型ゲームで遊んでいる
二人とも6時限目をサボってゲームに熱中している
「コイツ硬すぎだろ」
「やべっ回復間に合わねぇかも?」
難易度の高いクエストに挑戦中でもう1時間近く戦っている
苦戦しながらもなんとかレイジが止めを刺しクエストクリアである
「よしっ!素材ゲット」
「あ~、マジかよ?」
マコトは報酬でレアなアイテムを手に入れて上機嫌だが
レイジは運悪く手に入れることが出来なかったので不機嫌である
そこにドアを開けて後輩たちが入ってくる
「レイジさんこんにちは」
「こんちわっス」
「おう」
挨拶は返してくれるが不機嫌そうである
空気を読まない池口がレイジに近づきゲーム画面をのぞき込む
「レイジくん俺にもやらしてや♪」
肩にパンチを食らい顔を歪め
舌打ちをしながら殴られたところを押さえる
「ちょっなんなんいきなり!?レイジくんはいっつもやな」
電源を切り机の上にゲーム機を置く
「…触んなよ」
池口は以前レイジのゲーム機にクレープをこぼしてしまい触らせてもらえないのである
池口を殴って少し落ち着いたのか赤城に話しかける
「珍しいな?なんかあったのか?」
赤城達がここに遊びに来るのは昼休みか授業をさぼってなのでレイジも気になったみたいである
「レイジさんにちょっと聞きたいことがありまして」
「ん?なんだ?」
「先輩から聞いたんですけどレイジさんってあのナインボールのメンバーなんスか?」
「ああ、池口から聞いたのか?」
二人は尊敬の眼差しでレイジを見ている
「うわ~マジでナインボールなんだ」
「かっけ~」
「でもナンバーツーやで」
離れてるので肩パンされなかったが、近くにいればもう一発殴られていたところである
「あ、あのマコトさんもナインボールなんですか?」
「いや、俺は違うよ
あんなところに入れるのってレイジらみたいなバケモン級に強いやつだけだよ(笑)」
「マコトさんでも入れないのか…」
マコトは桜高のNo.2という事になっているので二人は改めてナインボールのメンバーに
憧れを持ちはじめていた
「今メンバーって何人いるんですか?」
「…4人」
恐る恐る北浦が聞いてみる
「あ、あの…そのナンバーって強い順…だったりするんでスか?」
「いや、入った順っつーか…」
「そうっスよね~レイジさんより強い人がいるなんてありえないっスよね」
「やっぱりレイジさんがナインボールでも最強なんですか?」
「まぁな」
上機嫌で答えるレイジ
「各校の頭がメンバーだったりするんですか?」
「今は俺と鳩高の頭の二人だな」
「その人が一番ボールっスか?」
「ああ、九島高校の坂本真也知らねぇ?」
「き、聞いた事ないっスね…強いんスか?」
「まぁ俺と同じくらいだな」
池口が口をはさむ
「え~、シンヤ君の方が優しいし喧嘩も強そうやけどな~…1番ボールやし」
「先輩、1番ボールの人も知ってるんですか?」
「何回も会ったことあるで」
「っつーかナインボールの事なら池口に聞きゃよかったんじゃねぇか?」
「先輩に?」
「…こいつ3番ボールだぞ」
「え~!!」
「なんだよ?知らなかったのか?」
「…先輩、ナインボールだったんですか?」
「俺は大反対だったけどな…今も」
「いや~アタマのシンヤくんに誘われたからな~ 池口、お前ナインボールに来るか?ってな♪」
「…お前ら興味あんのか?」
「ナインボールったらもう伝説みたいなもんですしそりゃあ興味あるっスよ」
「日曜集まってるからよ メンバーは4人しかいねぇけどな
まぁマコトもいるし来たかったら来いよ」
「え?いいんですか!?」
「ぜ、絶対行くっスよ」
憧れのナインボールに会えるという事でさらに興奮状態になっている二人
レイジが再びゲームを手に取り電源を入れたので
挨拶した後3人は教室を後にした
「日曜まで待ちきれないっスよ」
「ああ、あのナインボールに会えるなんて…」
「アカギもそんなに楽しみなんか?」
「ええ、憧れでしたから」
「へ~ 俺には分からんわ」
「先輩、ナインボールに興味なかったんですか?」
「っつーか知らんかったし一緒にいて面白いけど憧れるようなもんちゃうけどな~」
「いや~すごい人たちなんスよね?先輩もそうですけど」
「すごいっつーかなんつーか…普通やで普通」
「先輩には普通なのかも知んないっスけど、俺らにとってはほんと憧れの存在で…」
学校を出て池口が毎日利用している食堂に向かう
用意されてある自分の好きなおかずを選んで食べれるお店で
夜はそこでご飯を食べてからいつも家に帰っている
そこでも二人はナインボールの話を続けていた
池口はひたすらご飯を食べ続けている
二人が待ちに待った日曜日がやってきた
夕方に集まるのだが朝から二人は落ち着かず
赤城の家でゲームをしていてもいつものように楽しくなく
ただ池口からの電話を待っていた
16時を少し過ぎた頃池口から連絡があり
待ち合わせの駅前に急いで向かった
池口は学生服でコンビニで買った唐揚げを食べていた
「めっちゃ早ない?」
「せ、先輩あの…なんで制服着てるんでス?」
「高校生やから以外になんか意味あるか?」
「……」
「あ、あのどこに集まってるんですか?」
「すぐ近くや」
池口に着いて駅前の裏通りに入っていく
「ここ」
案内された場所は入口から少し地下になっているような店で
今は使われてないような雰囲気だった
池口に着いて階段を降りていく
ドアを開けると目の前にビリヤード台が目に入る
二人の緊張感は最高潮に達しようとしていた
「こん にち は~♪いや…もうこん ばん わ~か?」
なんの緊張感もない池口に続き二人も挨拶する
「し、失礼します」
カウンターがありそこにレイジとマコト、そしてもう一人が座っていた
死角になっていたビリヤード台にもたれ掛かっていたのは
桜高2年の藤田俊明であった
「おう、来たな糞口と1年坊…」
「喋んなあんぽんたん」
「こ、こんちわっス」
さっそく険悪な雰囲気になってしまう
池口と藤田は仲が悪く顔を合わせるといつも喧嘩になっている
藤田はこれまでに池口と何十回と喧嘩してるが一度も勝ったことがない
今すぐにでも殴り合いがはじまりそうな状態の二人にレイジが舌打ちをする
それが聞こえた二人はその場は抑えるしかできなくなる
「こんにちは」
そんな二人に少し笑った後カウンターに座る優しそうな男が二人に声をかける
「こ、こんにちは あ、赤城って言います」
「き、北浦ででス」
「俺坂本、よろしくな」
坂本真也ナインボールの1番ボールであり
九島高のトップでもある
「そんな緊張すんなや シンヤくんはレイジくんと違って優しいしリーダーって感じするやろ?」
レイジが睨んでいるが距離があるので池口は安心している
「なんか飲む?」
そう言って真也は席を立ち冷蔵庫から飲み物を用意してくれる
「あ、あ、ありがとうございます」
「そんな緊張してたらおもろいもんもおもんなくなんで♪」
そうは言われても今まで憧れの存在だったナインボールに出会えた二人には
簡単に緊張がほぐれるわけもなくこの日は最後まで緊張しっぱなしだった
「あ、あの藤田さんもナインボール…なんですか?」
「おう、4番ボール あ、言っとくけど数字は強い順じゃねーからな」
「はい、入った順なんスよね?」
「ああ、そうじゃなけりゃ俺があほ口の次なわけないからな(笑)」
藤田は池口がナインボールに入ったことを知り
レイジに頼み込んで入れてもらったのである
レイジとは昔からの知り合いで桜高に入学してすぐに頼み込んだのだが
断られていた
喧嘩の実力的には文句無しなのだが理由は単純で池口並に大馬鹿だからである
二人はレイジも真也も池口の事も知らなかったが藤田の事は知っていた
中学の頃から一つ上にバケモンみたいな強さの男がいることを
「僕ら先輩らの事は知らなかったんですけど藤田さんの事は知ってたっスよ」
「藤田さんは有名でしたからね」
この一言に気を良くしすぎた藤田はこの後輩が大好きになった
「いや~やっぱ最強候補っつーの?分かるやつには分かるってことだよな~」
「あほちゃんぴおん♪」
いつもならもう殴り合いの喧嘩になっている頃だが
あまりの機嫌の良さに池口の言葉は耳には入ってこないようだ
「まぁ俺くらい有名なのは北村と石田、あと宮本っつーのもすごいらしいな」
「ああ、それは僕らも知ってます」
「あと今の桜華のトップがすごいって聞いたっス」
「まぁ実際大したことないと俺は思うけどね~」
あまりの上機嫌に笑ってしまいながらレイジが口をはさむ
「ば~か!木に登りすぎだろ(笑)」
「え?レイジ君どういう事?今なんの話してんの?きって何?」
真也も口をはさむ
「北村と宮本、それに桜華の頭はマジでバケモンみたいに強いらしいよ」
「真也君より?」
「そりゃあ強いんじゃない?宮本ってのは一度見たことあるけどあれに勝てる気はしねぇな」
真也の強さを知っている藤田は黙ってしまう
「あっ、そーだ二人もナインボールに入る?」
「え、あ…いやいやいやいやいや」
「お、俺らなんかは、入りたくてもむ、む、無理っス」
「そんなことねーと思うよ?強そうだし」
「さ、誘っていただけたことはあ、ありたがすぎるんですが」
この勧誘は二人をさらに緊張させることになってしまった
「まぁ入りたくなったら言いなよ 二人なら大歓迎だよ」
「は、はい あ、ありがとうございます」
時間も過ぎ解散ということになったが帰り際に真也からいつでも遊びに来いと誘われ
二人は夢見心地のまま家に帰った
エンディング曲イメージ
ジェット機
「ドーム」