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さて、朝からギルベルト様の勘違いからドタバタしましたが、10時になりマナーの教師(カティー)が来ました。

「初めまして。マリーシャ様、アシュルール様。私の名前はエリザベス・ネイサンと申します。これから週3回お二人にマナーをお教えします、どうぞ宜しくお願い致します。」

マナーの先生(カティルナ)はとても綺麗なお辞儀をして自己紹介をしました。

髪は深いブルーで目は琥珀色で少しつり上がっている目が知性的で少し冷たい印象を与えるメガネをかけた30歳くらいの女性(ひと)でした。

「初めまして、ミセス・エリザベス。アシュルール・アルベルトです。急なお話しだったのに教師(カティー)を受けて頂いてありがとうございます。こちらこそこれからよろしくお願いします。」

「えっと、初めまして、ミセス・エリザベス。私はマリーシャ・アルベルトと申します。まだ5歳なので不出来な生徒になると思いますが、精一杯努力いたしますのでご指導、ご鞭撻のほどよろしくお願い致します。」

私がミセス・エリザベスのとても綺麗なお辞儀に見とれているとお兄様が挨拶を返したので慌てて私もお母様と練習した挨拶をお返ししました。

「こちらこそ精一杯やらせていただきます。私のことは先生(カティルナ)とお呼びください。お二人ともマナーを学ばれるのは今日が初との事ですが、とても綺麗な礼ですね。流石はアルベルト伯爵様のお子様ですね。」

「お褒めのお言葉ありがとうございます。」

「ありがとうございます。」

練習を沢山したおかげで最初の挨拶はバッチリ成功したみたいです。

エリザベス先生(カティルナ)はまず、これからどういうマナーを身につけねばならないか、またマナーを身につけなかったらどうなるのか、マナーを身につける重要性等をお話しになりました。

「お二人とも伯爵家のご子息、ご令嬢として恥ずかしくないマナーを身につけられるよう頑張っていきましょうね。」

「「はい、先生(カティルナ)」」

その後は、最初だからという事で要所で必要な挨拶の仕方やお辞儀の姿勢や角度、ドレスの裾の綺麗な持ち上げ方等を教えていただきました。とても丁寧な教え方で覚えやすく、5歳の私にも分かりやすいように砕いて説明してくださり、私はエリザベス先生(カティルナ)の事がたったの2時間程のレッスンで好きになりました。

お昼の鐘がなったのでエリザベス先生(カティルナ)のレッスンは終わり、お母様とお兄様の3人で昼食をとりました。

「アシュルール、マリーシャ。マナーのレッスンはどうでしたか?先生(カティルナ)とは上手くやっていけそう?」

先生(カティルナ)はとても丁寧な教え方でマリーシャにも分かりやすいように工夫されてたので上手くやっていけると思います。」

「そうなの、お母様。エリザベス先生(カティルナ)はとても覚えやすいように教えてくれるし、お辞儀がとても綺麗で私、一瞬見とれてしまいましたの。それにね、とてもお綺麗だし、お話しの仕方ももっと聞いていたくなるような話し方でもっとレッスンの時間が長くても良いくらいでしたわ。」

「そう。二人とも先生(カティルナ)の事が気に入ったみたいでとても良かったわ。レッスンの時間を延ばすのはマリーシャが慣れるまでお預けね。あなたは体力的に少し足りないから少し心配なのよ。」

「わかりましたわ、お母様。」

「マリーシャはまだ5歳だし、ちょっと前に高熱で寝込んじゃったからね。仕方ないよ。それとも朝方に僕と少し走るかい?ペースも距離もマリーシャに合わせるよ?」

「それもいいかもしれませんね、お兄様。今までお外で遊ぶことが少なかったからかやっぱり体力がないなと、思いましたし。」

「そうかい?普通の5歳の女の子なんて皆マリーシャと同じくらいだと思うけど。」

「アシュルール、マリーシャと朝方走るのはいいけれど、無理をさせてはいけませんよ。」

「分かってますよ、母様。父様からもお許しが出たら明日の6時から早速はじめようね、マリーシャ。」

「はい、お兄様。」

「ダンスのレッスンは2時からみたいだから時間までゆっくり休んでレッスンに備えなさいね。3時のティータイムは間にはさんで休憩する時間にしてあるわ。」

「はい、母様。」「わかりましたわ、お母様」

食事をしながらレッスンの話しや午後からの予定を話して美味しい食事を食べ終わり、自室に戻った私は午後のレッスンに向けてお昼寝をすることにしました。まるで朝のドタバタが嘘みたいに静かで穏やかな時間で私はベッドに横になるとすぐに寝てしまいました。

「失礼致します、お嬢様。ダンスのレッスンまであと30分程になりましたのでそろそろお目覚めになられて下さい。」

「むー...もうそんな時間なの?マリアンネ。」

「はい、お嬢様」

ふぁー、と大きなあくびをして目を擦りながら私は起きました。正直、まだ寝ていたかったけれどレッスンがあるから仕方がありません。大人しく起きましょう。マリアンネが水をコップに注いでからベッドに座った私の髪を櫛ですいて整えて軽く結ってくれました。

「これならダンスをしても髪が気になることはないと思います。」

「ありがとう、マリアンネ。」

淹れてくれた水を飲んで私はマリアンネにお礼を言いました。マリアンネは髪を結うのがとても早い上に上手なので私はいつもすごいと思っていました。

「これくらいなんともございません。」

マリアンネとおしゃべりをしながらダンスのレッスンをするホールに降りるとお兄様がすでに待っておられました。

「おはよう、マリーシャ。よく眠れたかい?」

「ごめんなさい、お兄様。お待たせしましたか?お昼寝はゆっくり眠れましたけどもっと沢山眠りたくなってしまいましたわ。」

「そうかい、それはよかった。ダンスの後にまた夕飯まで眠るといいよ。」

「えぇ、そうしますわ。」

お兄様とおしゃべりをして先生(カティルナ)を待っていると執事のスタークがホールのドアを開いて入ってきました。

「アシュルール様、マリーシャ様。先程馬が来てダンスの教師(カティー)の方が遅れるとのことです。」

「そうか、理由はわかるか?」

「はい、なんでも町を馬車で通っている最中に産気づいた妊婦が居たそうで、馬車で病院まで連れていっているそうです。」

「なら仕方がないな。報せに来た人にこちらは大丈夫だから妊婦の方の家族が来るまで側に居といても構わないと伝えてくれ。」

「そうですね。一人では不安かもしれませんから、ついていた方がいいかもしれません。」

「かしこまりました。では、そのようにお伝えするよう申しておきます。」

バタンッ

「さて、時間が空いてしまったな。」

「そうですね、お兄様。妊婦の方元気な赤ちゃんが産まれると良いのですが。まだまだ医療の方は発達が遅れてますから心配です。」

「なに、この国もだんだん諸外国から留学を受け付けたりして知識や技術が上がってきているし、マリーシャが結婚して子供を産むときにはもう少し良くなっているさ。」

「そうだといいんですけれど...」

「アシュルール様はマリーシャお嬢様をとても大事にしてられるので私はてっきり結婚なんて反対なのだと思っておりました。」

「んー、別にマリーシャが大事なのは変わらないけど、マリーシャに好きなひとが出来てそいつが良いやつなら僕も結婚に反対したりはしないよ。ただ、その良いやつかどうかの判断基準が高いことは否定しないけどね。」

「アシュルール様の判断基準は北の山のベルシュタント山脈より高そうですね。」

「そうかもね。」

「もぅ、お兄様もマリアンネもやめてください。それにベルシュタント山脈よりも高い理想の男性なんて見つかりませんわ。もうちょっと低い理想にしてください。」

「えー、これでも低い方だと思うけどなー。僕の大事な大事なマリーシャを託すんだから。なぁ?マリアンネ。」

「そうですね、アシュルール様。アシュルール様からしたら大分低い理想だと思います。」

「ね?マリアンネもこう言ってるよ?」

「もぅ、マリアンネ!お兄様と一緒になってからかわないでちょうだい。」

「申し訳ありません、お嬢様。少しばかりおふざけが過ぎました。」

「僕は結構本気だけどなー。」

「お兄様!!」

「はははっ、さて、レッスンまで少し時間があるし早めのティータイムにしよーか。マリアンネ、庭に準備してくれるかな。」

「かしこまりました。少々お待ちくださいませ。」

「お願いね、マリアンネ。」

「それでは失礼させていただきます。」

こうして私とお兄様はレッスンまでの時間をお茶をしながら待つことにしました。

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