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誤字、脱字修正しました。

少し加筆してありますが、内容的には変わってないです。

ギルベルト様対策も思いつかず、淡々と一週間が過ぎました。正直考えるのに疲れたのでギルベルト様はもうこのままで放置してしまいたくなってきました。大体、好きな人にあんな態度をとってしまう人なんて私初めて会いましたし、対策の仕様がありません、ギルベルト様が来られたときにどうすれば嫌われるだろうと色々考えてやってみましたが、私がいつもと違う態度や対応をするとお兄様とマリアンネが大げさな程騒いでしまってギルベルト様の様子を見るどころではなかったですし、最悪このまま皇太子殿下と知り合いになったとしても婚約のお話しはお父様にお願いして何とか断って頂けば良いだけの話ですもの。決まりですわ!ギルベルト様はもう放置します。でも、一応あまり関わらないようにしたいのでマリアンネに言って使用人達にギルベルト様との面会を減らしてもらいましょう。

1人で机に向かい今決めたことをノートに書き綴り、ずっと頭を悩ませていた問題から解放されスッキリしているとドアをノックされました。

コンコンコン。

「マリーシャ、入るわよ?」

「お母様?どうなさいましたの?」

「この間言っていたダンスとマナーの教師(カティー)のことだけれど、来てもらう日取りが決まったから伝えに来たのよ。」

「もう決まったのですか?嬉しいです!」

「最初のレッスンの日は明後日の午前にマナーが、午後にはダンスのレッスンよ。レッスンは週に3回月曜、水曜、金曜日がレッスンの日になるわ。」

「分かりましたわ、お母様。急なお話しでしたのにお受けしてくださった方はどなたなんですか?」

「それはね...あなたストレイド公爵様を覚えていますか?」

「はい、もちろんです。お母様の叔父様に当たる方ですよね?」

ストレイド公爵様はロマンスグレーが素敵な優しい老紳士です。数えるほどしか会ったことはありませんが、こんな人と結婚出来たらと思うほどとても素敵な方でした。庶民の方々にも有名な程の愛妻家で奥様のアイリス様はとてもお歳を召しているとは思えないほど愛らしい方でお二人に会ったその日の夜には私の中のお父様達以外に憧れる夫婦第一位になりました。

「そうよ。それで、あなたの教師(カティー)を探していることをお耳に挟んだみたいでストレイド公爵家が贔屓にしている教師(カティー)をあなたにつけてくださることになったの。」

「えっ!どうしましょう、お母様。私公爵家の方が贔屓になさっている教師(カティー)だなんて、やっていける自信がありませんわ。」

「大丈夫よ、マリーシャ。あなたは私とアンドール様の子供なのだから。自信を持ちなさい。それに8歳から習い始めることを5歳のあなたがやるのよ?そんなに高度なことは求められないわ。」

「そうでしょうか?公爵様から期待されているみたいで私何だか緊張してきました。」

「アシュルールも一緒にレッスンを受けるのだからそんなに緊張しなくてもいいんですよ。」

「そうでしたわ。お兄様もご一緒に受けてくれるんですよね。でも、お母様?お兄様は本当に大丈夫なんでしょうか?いつも大変そうにしてらっしゃるのにこれからダンスとマナーも習うなんて、身体を壊してしまわないでしょうか...」

「大丈夫なんじゃないかしら?アシュルールが今大変そうなのはレッスンの内容にプラスして自己練習をしているからだもの。あなたがアシュルールの身体が壊れないか心配していると伝えれば自己練習の分を減らすなり何なりするわ。」

「そうだったんですか?お兄様がそんなに頑張っていらしたなんて知りませんでした。」

「アシュルールはあなたに恥ずかしい所を見られたくないのよ。いつでも完璧な兄でいたいんだそうよ。」

「お兄様...」

「妹第一主義で困ってしまうけれどね。」

「そうですね、お母様。私もそこは直して欲しいと思いますわ。」

お母様と笑いあいながら私はお兄様の意外な一面を発見してさらにお兄様を誇らしく思いました。シスコンでも、ちょっとはいいかもなんて思いながら昼食の時にでもお兄様に心配していることを伝えようと決めました。


そして、ついにやってきました。レッスンの日!朝から何だかそわそわして落ち着かない気分です。お父様達は私がそわそわしているのを見ては生暖かい眼差しで見てきてそれが恥ずかしくてさらに私を落ち着かない気持ちにさせていました。

食事がおわり、部屋に戻ってからも椅子に座っては立ち上がり、ベッドに寝ては起き上がりを繰り返す私を見てマリアンネはぼそっと「新しいお家にきた猫...」と言って私の大好きな紅茶を入れて部屋から出ていきました。ちょっとショックを受けましたけれど、紅茶とマリアンネの一言で冷静になった私は書庫に行って本を読むことに決めました。大体今は朝の8時過ぎですもの。初日とはいえ教師(カティー)はこんなに早く来るはずがありません。大きく伸びをして体をほぐしているとドアが急に勢いよく開かれました。

「おい!マリーシャ!嫁に行くと言うのは本当なのか!?嘘だろう!?俺と二度と会わないと言うのも嘘だよな!?返事をしろ!!何とか言ったらどうなんだ!!」

結論を言いますとドアを豪快に開けてレディーの部屋にずかずか入り込み、私の肩を力一杯握り締め揺さぶって意味の分からない事を聞いてきたのはギルベルト様でした。

いきなり開いたドアにビックリして状況がつかめていない私を力の限り揺さぶり続けるギルベルト様、それを一生懸命止めようとしているマリアンネ。力一杯揺さぶられて目が回り気持ち悪くなってきて抵抗らしい抵抗が出来ない私はこのまま吐いてしまうと思っていたその時でした。私を捕まえていたギルベルト様が勢いよく壁に飛んでいきました。激しい揺れから解放された私は床に座り込み吐きたい気持ちを押さえるのに必死でした。マリアンネの介抱によって何とか持ち直した私は状況を把握しようと上を向くと、そこには鬼がいました。...いえ、比喩ですけれど本当に鬼に見えたんです。今まで見たことがないくらい激怒したお兄様が。鬼に。マリアンネも鬼に見えたと後日聞いたので間違いありません。それほどお兄様は怒っていらしたのです。そして、お兄様は普段聞いたことがないとても静かで、でも怒っていることがはっきりと分かる低い声でギルベルト様に話しかけました。

「なぁ、おい。ギルベルト。俺はさお前がいくらマリーシャに憎まれ口を叩こうが突っ掛かっていこうが見て見ぬふりをしてきたわけだが。その結果がこれか?人の家を勝手に走り回って、マリーシャの部屋に無許可で侵入して、マリーシャに掴みかかって揺さぶって、意味のわからん言葉でマリーシャを混乱させる。人が伯爵家同士だから甘い顔してやってるっていうのに調子にのりすぎじゃねぇか?おい。なぁ、聞いてるのかよ。なぁって。」

ギルベルト様は見ているこちらが可哀想になるほど顔は青ざめガタガタと震えておりました。お兄様に問い掛けられても答えることが出来ないギルベルト様に苛立った様子のお兄様はギルベルト様に近づいていきます。

「お前、何考えてんだよ。なぁ?そんなんでよく国防軍の将軍になる、とか言えるな。俺なら恥ずかしくて言えないわ。騎士にもなれねぇよ、お前みたいな奴はさ。弱き人を守るのが騎士だっていうのによ。今のお前はなんだ?マリーシャに乱暴した悪漢だな。そうだよな?返事くらいしたらどうなんだよ、おい!」

ドンッッ!

お兄様がギルベルト様の顔を踏みつける様な勢いで足を壁につけました。もうその時点でギルベルト様の男としてのプライドは粉々に砕け散ったのでしょう。豪快に涙と鼻水をたらしながら号泣されておりました。

「ちっ!これだから餓鬼は...」

お兄様が吐き捨てるように呟いて下を向きながらこちらに戻ってきます。申し訳ないのですけれど、正直、私もさっきのお兄様が怖いのでこちらに来ないでほしいのですが、勇気を振り絞ってお兄様に声をかけます!

「お兄、様...?」

お兄様はゆっくりと顔をあげていつもの優しい顔で笑っていました。

「マリーシャ、大丈夫だったかい?すぐに来てあげられなくてごめんよ。スタークに聞いて全力で走ったんだけど、中庭からマリーシャの部屋までは流石に遠くてね。怖かっただろう?」

そう言ってお兄様は私を抱きしめて背中をさすってくれました。

どうやらお兄様を呼んでくれたのは執事のスタークらしいです。後でお礼を言わなければ。そんな事を考えながら私はお兄様の温かい体温にホッとして泣きそうになりましたが、まだ泣くべきではないと涙をぐっとこらえました。

私が泣くのを我慢していると、騒ぎを聞きつけたお母様がお部屋に来てどういう事なのかマリアンネに聞いていました。そして、どうしてギルベルト様がこんなことをしたのかやっと解りました。

マリアンネの説明によると、私がようやく部屋で落ち着き始めた頃、ギルベルト様がいつものようにアポなし訪問に来て私を呼べと言いました。ですが、マリアンネは私がやっと落ち着いたであろうことや今日から教師(カティー)が来ることで私が今日疲れることが目に見えていたので、ギルベルト様に今日からダンスとマナーのレッスンがあるから私と会えない事をお伝えし、レッスンがある日は私が疲れることから会えないから訪問を控えるようお願いしたそうです。ですが、何をどう聞き取ったのかギルベルト様は私が嫁に行くのが決まり、その準備の為忙しいので会えない。また、違う日に来ても私はギルベルト様に会うことはない。と言っていると解釈したらしい。さっぱり意味が解りません。一体どういう思考回路しているのでしょうか。驚きすぎて声も出ません。

「えーっと、ギルベルト君?つまりあなたの勘違いだったという事でいいのかしら?」

お母様も意味のわからない思考回路に戸惑いを隠せないご様子でいつもの素敵な笑顔がひきつっていました。

ギルベルト様はひたすらしゃっくりと鼻水をすすりながら頷いてお母様からの問いに答えておられました。とりあえず、今日の所はひとまずお父様とカイザール将軍様にお話しを通して後日改めてすることになり、ギルベルト様は泣きながらお帰りなられました。

まだ、レッスンも始まっていないというのに今日1日の体力を使った気分です。

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