ファンタ・G・ゲーム
暑苦しい真夏日に、俺は昼間から母さんにこきつかわれていた。
事は数時間前…
「たまには、外で遊んできなさい!!」
夏休みの真っ最中なのに何で外に行かないといけないんだ、と思っている俺は、母さんの言葉を無視しゲーム画面をみつめた。
「ゲームばっかりやって~たまには、未夢と遊んであげるとか、家の手伝いしたりとかしたらどうなの!?
未夢は、まだ小学一年生の妹だ。正直、未夢と遊ぶぐらいなら暑い公園でゲームしてた方がましだ。
「聞いてるの?優気!!」
「そんなに大きな声で言わなくても、聞こえてるよ~」
全く、近所迷惑だからやめてほしい。
「だったら、返事ぐらいしなさい!!」
めんどくさいな……と思いながらも一応返事をすることにした。
「はい、はい」
「じゃあ、コンビニまでおつかい行ってきて」
「はい、はい」
「じゃあ、牛乳買ってきてね。ついでに暑いしアイスも買って良いわよ。よろしく!」
「はい、はい」
適当に、返事だけしていたらおつかいに行くはめになってしまったというわけである。
「しっかし本当、暑いな~」
炎天下の中、とうもろこし畑の一本道を歩いている浅馬 優気は、めんどくさがりながらも、任務を遂行していた。
「ちょっと休憩しようかな」
近くに在った、神社で涼むことにした。
「ふぅ~涼しい~さて、さっきのつづきでもやるか!」
家でずっとやっていたゲームを、起動させた。
このゲームは、世界的に流行しているゲームで、魔法でゲームの敵を倒すゲームだ。ランキング戦もあり、優気はそのランキング一位のユーザーだ。
はまると止まらないのが売りで、ゲーム界の革命とも言われている。
「そう言えば、このゲームなかなか終らないな」
そんな事を思っている時に、いきなりゲームが光だした。
「え!?何が起きたんだ!?」
そして、優気は神社から消えていた。
「何だったんだ今の……」
あまりに突飛な出来事に、頭が混乱していた。
「あの……大丈夫ですか?」
優気の後から声がしたので、振り返ってみると優しそうな面影の少女が立っていた。
「大丈夫です……」
女の子と話すのは久し振りだから、緊張して上手く言えなかったが、少女はニコッと笑って
「家に来ませんか?」
と、言った。
「あ、はい」
何も考えずにそう答えた。
少女は、満面の笑みになっていきなり変な呪文を唱え始めた。
「この世全てにある神様方よ、我が身に力を……」
少女がそう言うと、俺と少女はあっという間にある家の前に立っていた。
「ここが私の家です!私の名前は、瑠愛奈。貴方は、優気さんよね?」
一度も逢った事の無い人に、名前を呼ばれさらに、頭が混乱した。
「何で俺の名前を知ってるの?君は、一体何者なの?」
急に、たくさん聞かれ困った顔をした瑠愛奈からの返事は、ただ……笑っていたけだった。