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※改訂中
気が付くと、フェリオットの周りには誰もいなくなってしまった。いや、実際に居なくなったわけではない。
辺りの人々は、フェリオットに近づく事さえ出来なかったのだ。
フェリオットの圧倒的な強さを前に、あらゆる場所で行われていた戦闘は、すっかり止んでしまっていた。
方々で彼を呪う声や、賞賛する声、恐れる声、問いかける声が、上がった。
今のフェリオットに対しては敵と味方の差別なく、“畏敬”という同一の感情が抱かれていた。
「邪魔だ! そこをどけろ!」
しかし、中にも例外が居た。
ひしめき合うウェールの兵士達の奥から発せられた声は、驚いたことに、その声質は女性だった。
威勢の入った凛々しい、だが、可憐にも思われる声。
声の主は何度も味方を罵り、時には殴りつけながら無理矢理道をこじ開けた。




