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僕と彼女の秘密の

挿絵作成:陽一さま

http://10819.mitemin.net/


指定ジャンル・必須要素:特になし


 気になる子がいる。

 同じクラスで、僕の斜め前に座っている、長い髪の少女だ。その艶やかな髪を二つにまとめて、凛と佇む仕種が思わず、足を止めてしまうほど。

 そんな彼女を、放課後に見つけた。

 何故だか、学校の裏山に向かっているようだ。

 あそこには山以外、何もないのに。


 もしかして、あの山には、彼女の秘密があるのではないだろうか。

 秘密。

 それだけで、僕の鼓動が早くなる。

 彼女との秘密を共有できるのなら、それはそれでいいかもしれない。

 僕はそう思って、彼女に気付かれないよう、こっそりと後をつけていった。

 彼女は僕を気づかないのか、どんどんと慣れた手つきで奥へと進んでいく。

 そして、小さなほら穴を見つけた。

 川が流れている、小さなほら穴の癖に、その奥は暗く、なにやら不気味に見える。

 彼女は靴を脱いで、ゆっくりと歩いていく。

 よく見ると川の流れは、思っていた以上に早い様だ。

 僕も彼女に倣って、靴を脱ぎ、そして、川に入った。


 ちゃぽん。

 あっと思ったが、遅かった。

「誰?」

 彼女が振り返った。


挿絵(By みてみん)


「あ、その……」

「青木君?」

「木更津さん……」

 とうとう、彼女こと、木更津さんに見つかってしまった。

「もう帰った方がいいわ」

「でも、ここまで来ちゃったし、一緒に行くよ」

 そういうと、木更津さんは怖い顔をして。

「帰りなさい。私は呼ばれているから仕方ないけれど、あなたは違うもの。もしかしたら、帰れなくなるかも……」

 そういう彼女の手を僕は掴んで、歩き始めた。

「ちょ、ちょっと、青木君!?」

「それは、木更津さんも、じゃないの?」

 僕は続ける。

「僕は見ていたよ。ここまで来る間、何か迷いながら、歩いていた。道は分かっているけど、行きたくないって言ってるようだった。それに、ほら、今だって、君の手は震えてる」

「そ、そんなの、あなたには、関係ないっ」

 ばっと手を放して、木更津さんは僕を睨んだ。

「だからさ、一緒に行こうよ。この先に何があるのか知らないけれど、一人で怖い場所なら、二人でならなんとななるかもしれないしさ」

 それに……僕もちょっと下心もあったり。

 この穴の先になにがあるのか知らないけれど、きっと二人なら大丈夫。

 にこっと微笑めば、木更津さんは諦めた様にため息をついた。

「仕方ないわね……どうなっても知らないわよ」

 すっと、木更津さんは手を差し伸べた。

「繋ぐの? 繋がないの?」

「つ、繋ぐよ、もちろん!」

 やった、僕の勝利だ! 強く握って、僕はずんずん歩いていく。

 そう、まるでリードするように。いや、これって、エスコートするって感じ?

 得意げな顔で、僕は木更津さんを見た。

 木更津さんは照れたようにそっぽを向いていたけれど、ちょっと喜んでいるようだった。

 ほらね、やっぱりこうして良かった。

「ほ、本当に、なにがあっても……知らないんだから……」

 そう、彼女が呟いた瞬間。

「うわっ!!」

「きゃっ!!」

 突然、眩しくなって。


 気が付いたら、そのほら穴から出ていた。

 ついでにいうと、あれ? なんで、僕ら、靴履いてるの? さっき脱いだはずじゃ……。

「おおおおっ!!!」

「勇者様だ!!」

「勇者様が来てくださったぞっ!!」

 見るからによくあるファンタジーな村人達が僕らの方に群がってくる。

「え? 勇者って、木更津さんのこと?」

「わたしだけじゃないわよ、あなたもよ、青木君」


 こうして、僕と彼女の長い冒険が、始まったのであった。

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