後編
こんにちわ。前回よりもずっと短く、読みやすいので飽きずに見れます。ですが、前編も読んでみてください。
「ねぇ、ねぇ、おきてよー」
誰かの声が聞こえる。
「ねぇ、にか?」
彼女の声が聞こえる。
「おきてよー」
「ぐふぅ!」
鳩尾に何か入った!
激痛と共に目を覚ますと泣きじゃくった彼女がいた。どうもあのあと、僕は倒れたようだ。
「もう、大丈夫」
「ほんと?ほんと?」
どうも、まだ倒れてから時間がたっていないのか少し薄暗い。彼女に心配をかけまいと、立ち上がろうとしたが、彼女の手が肩を掴んでいたから止めておいた。
「えへへー、よかった。」
彼女が安堵の表情をうかべ た。
「しっぱいするかとおもった」
「しっぱい?」
なんのことだ?
「そ、にかとなかまになるために」
ほら、と彼女に何かを手渡された。
それは何かだった。グジュグジュでしかしわずかに球状だった。
「これは?」
彼女は少しためらってから言った。
「えとねー、にかーのね、めだま」
「めだまって」
そんな冗談を、と僕は思った。そして、左目を触った。しかし、何も無かった。本来なら眼球があるはずなのに。
「は?え?何で!?」
とりあえずいったん立ち上がろうと、彼女の手を払おうと右手を…………右手は腐っていた。
「は!?何が?なあ、僕はどうなっている!?」
彼女に強く問いかける。
すると彼女は笑って
「これで、わたしたち、おなじだね」
「なんの?」
「なんのって」
彼女は自分の右手を差し出した。
それはグジュグジュに腐っていた。
「おなじぞんびなかまの」
そういって再び笑った。
そのかのじょのえみはやさしくそしてぼくをつつみこむようないままでのかのじょではおもわなかったほうようりょくがありそれからかのじょのかおはくさりはてげんけいをのこさず、それから、……………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………
◇ ◇
「細菌の…………させ…………増やし」
声が聞こえる。僕は目を覚ます。
薄暗く、ほのかに腐臭がする。
「ここは…………」
「おお、目を覚ましたかのか、はな」
「美凉さん」
さっきのは夢だったようだ。
ここはどうやら僕の住んでいるマンションの大家さんにして、同居人の九十九鈴の母親の部屋だった。
ここには、家賃を納めるためによく訪れる。
もっとも奥までは来たことは無いけど。
「目を覚ましたらな、そこから降りろ」
「降りろって」
自分がさっきまで寝ていた所を見る。
病院などによくあるベッドだった。
ただし普通のものでは無かった。
白色であるはずのシーツは大部分が赤く染まっていたからだ。
「わぁ!」
「分かりやすい驚き方だな」
ほっとけ。
「つーか何したんだ、はな」
「はなって呼ばないでくださいよ。ぼくには巫 仁華って言うかっこいい名前があるんです」
失礼な。
「偽名のだろ。日花ちゃん♪」
「本名で呼ぶな!」
それは捨てた名前だ!
そして、実家のソーメン工場の屋根裏部屋に封印した名だ!
「からかうのはさておき、あんた、何をした?」
「いや、僕自身も何が何やらで」
「そんなわけ無い」
美凉さんにぴしゃりと言われた。
そんなこと言われると何も言い返せない。
「あんた、ゾンビになりかけていたのよ」
「………………はぁ!?」
僕は思わず声を出して驚いた。
驚いてばっかりだな。
「だからさーまあねーなりかけてたのよ、あんたがゾンビに。」
美凉さんは、わりとあっさりと僕の人間人生に関わることを言われた。
「え、嘘」
「嘘じゃない。あんた、心当たり無い?例えば接吻したとかkissしたとか baiserを交わしたとかA をしたとか」
「何故にキス一択なんだよ!」
「で、どうなのよ」
ちょっと考える。いや別に口移しで食事を与えたこともないし…………あっ!
「あのときか!」
「やっぱりB?」
「違う」
昨日のアイスクリームだ。彼女にスプーンごと食べられてそのまま洗わずにたべたんだった。あのときのスプーン、唾液でべとべとだったんだ。
「原因が分かったならいいわ。気をつけなさいよ。今回は運がよかっただけだからね」
「はい」
「あんたがゾンビになってくれると研究対象が増えるけど(笑)」
「冗談ですよね」
思わず冷や汗が出てきた。
「じゃ、これで」
「ちょい待ち」
美凉さんに引き留められた。なんだ?
「あのねーこの部屋を出る前に一言」
美凉さんは少しためて、
「下着ぐらい、付けて出なさい」
初めての彼女シリーズ前後編です。
今回の主人公ですが、脳内で
ボク少女にしても普通の男の子でも多分支障は無いと思うので、お好きなほうで読んでみてください。
……まあ、ストーリーに変化は無いですけど。