~第二幕への誘い~
ほう。
あの少年はついに力に目覚めたのか。
不完全だった少年の『創界の言霊』。その力を完全なものにしたようだ。
あの少年は力が不完全であるが故に、己の力を行使することに枷をはめていた。これでその枷が外れるだろうか。
世界を思うがままに変えてしまう力。
あの少年は、その力を行使したいという誘惑にどこまで耐えられるだろうか。
耐えれまい。人間というのは己の欲望に枷をはめれない生物なのだ。
そう。かつての自分のように。
しかし、これでいい。これで世界は大きく歪む。
少年の力が、大きく世界を歪ませる。
いよいよ、第二幕といったところでありましょう?
眼前に全身をマントを覆い、フードをかぶった男が立っていた。
「そのようだな。しかし、その割には手緩いのではないか?」
私が問うと、フードの男は忍び笑いを漏らした。
「ちょっとした座興でございますよ。ここは物語の集まる世界。少しは物語を盛り上げませんと」
面白くございません、とフードの男は続けた。
「その方からすれば面白いかもしれんが、あまり時間をかけるのもその方の本意であるまい」
「さてさて、どうでありましょうか」
「預言者などと騙って『魔法少女マジカルカノン』の世界に入り込んでいるのだ。相応の働きをもっと見せるのだな」
「御意」
フードの男がすっと視界から消えた。有能だが腹の中では何を考えているのか分からぬ不快な奴だ。
さて。
気を取り直す。物語は兎も角として、あの少年の行く末は楽しみである。
あの少年も膨張した妄想のために世界を壊すのだろうか。かつての私のように。
そして失ったものを捜すために世界を壊し続けるのだろうか。現在の私のように。
私の名前はザイ。
かつて過ちを犯し、その罪科に囚われている存在。




