好きになんかなれないよ
私は多分、あなたを、
圭と私は10年の仲だ。
私は小学五年生頃に圭に恋心を抱いていたことがある。
今はそんなこと思ってないし、圭とは10歳も年の差がある。
何も無い、けど何かあってもいいそう思っている私がいる。
ある日の圭と久しぶりに一緒に帰った。
自然に昔のように手を繋ぐ。
「ご飯食べて帰ろ。」
「奢りならいーよ。」
「いいよ。」
圭と二人ですき家に入ってご飯を食べる。
「まだ一緒おろ?」
すき家を出たあと圭はいつものずるい顔で微笑みかける。
「おってもいいけど終電で帰るよ?彼氏いるし。」
歩いているうちに繋いでた手は恋人繋ぎになっていた。
「俺このつなぎ方のが好き。」
またずるい顔。
「誰にでも言ってるやん」
私は冗談っぽく微笑んだ。
「俺は女の子と手繋がんよ。」
そう言ってギュッと握ってきた。
不意にもドキドキしてしまった。
「はいはい」
そう言って私は握り返す。
シャッターの閉まった昼間よりも静かな商店街。
今だけは、なんだか許されている気がした。
商店街を抜けた。
あと15分ほどで駅に到着する。
「せめて、終電まで一緒におろ?
なるみ独占時間短すぎる。」
「終電までね。」
ずるい顔に負けてしまった。
駅まで歩いて、駅近くのネットカフェに行く。
鍵付き個室フラット。
大人2人が寝転がれる2畳ほどの薄暗い部屋。
部屋に入ってから電車の20分前にアラームをかける
最初に乗ろうとしていた電車は23時5分。
22時45分にアラームをかけた。
私はそっぽ向いて寝転がった。
圭の少し甘い声が耳にかかった。
「なるみ、」
ボソッと言ったその声にピクッと体が動いてしまう。
寝息なのか、わざとなのか、分からないけど耳にかかる息に耐えられなくなり圭の方を向いた。
「どした??」
いたずらっぽい顔でそんなこと言う。
わざとだったみたいだ。
「耳くすぐったいよ。」
顔はキスでもしそうな至近距離。
鼻が当たった瞬間に圭の指が口に来てその上からキスされた。
「ばーか」
私は恥ずかしくなってまたそっぽを向いた。
後ろからギュッと抱きしめてくる。
きっと誰にでもしてるんだろうななんて思いながら、前に来た腕をギュッと返す。
「なるみ、こっち向いて」
圭はまた甘い声でつぶやく。
今圭の方を向いたらきっとキスをする。
それでもいいと思ってしまった。
振り向くとやっぱりキスされた。
「圭、ちょっと」
唇をはなそうとすると頭を抑えられてもっと甘いキスになる。
何分キスしてたか分からない。
圭が急に唇をはなして微笑む。
起き上がっていちごミルクを飲んで顔を隠して寝転んだ。
「なんで、彼氏いるの。」
そう呟いた気がした。
きっと不意に出た本音。
だから無視をした。
圭の息が荒い。
それをわかっていながら私は圭にキスをした。
今度は自分からだ。
もうなんだかどうでも良くなった。
圭が私を押し倒してまたキスをした。
スマホのアラームが鳴り響く。
「あ、鳴っちゃったね。」
圭がため息を着いて座り込んだ
終電で帰る、なんなら遅れてしまってもいい今私はそんなことを考えてしまっていた。
座り込んで顔を隠す圭にまたキスをした
驚いた声を出して圭は手を離した。
晒されたその目を私はじっと見つめた。
いたずらっぽくできてるか分からないけど微笑んでみた。
そしたら圭はまた顔を近づけてきた。
いつか、どこかで見たネットの情報が頭に浮かんだ。
鼻が当たった瞬間に指を圭の唇に当てて
「だーめ。」
なんて言って微笑んでみた。
ビクッとしたそのを無視して次のアラームをかけようとスマホに手を伸ばす。
次は20分の電車。
23時にアラームをかけようとした。
圭が私のスマホを取って、
「なるみが悪いよ。」
か細い声でそう言って私を床に押さえつけた。
圭の手を振り払えずに圭の唇をそのまま受け入れた。
圭の手は私の服の下から手を入れた。
「圭、、ダメ、」
私の声を聞いた瞬間、圭はパッと手を離した。
「ごめん、、」
また顔を隠して座り込んだ。
スマホを見ると23時過ぎていた。
もう20分の電車は間に合わない。
「なんで謝るの」
私はそう言って圭の少し硬い髪を触った。
圭が隠した顔を覗かせてまた隠す。
「なるみの顔キスしたくなる」
そんなことを呟いた。
爆弾発言だ。
「はいはい。」
私は笑って顔を隠す手にそっとキスを落とす。
「やめて、ほんとに我慢できなくなるから」
その瞬間最後のアラームがなった。
「さぁ!行こう?」
私は立ち上がってそのに手を差し伸べた。
「うん、、」
圭は小さい声で呟いてフラフラと立ち上がった。
「俺だすよ。」
レジで圭は財布を出そうとする私の手を抑えて呟いた。
「ありがと」
改札までの道、圭と手を繋いで歩いた。
「俺、なるみとのキスか1番好き。」
圭が言うそんな一言に負けそうになる。
「1番なんてそんな簡単に言っちゃダメだよ?」
少し笑いながら圭に笑いかける。
圭は私の目をじっと見つめてくる。
「じゃあ、今までの女の子で1番好き。
まぁ、これからもっと好きになることもあるかもだし。」
そう言っていたずらっぽく微笑んだ。
それでこそ圭だ。
1番なんて簡単に言ってしまったら圭じゃない。
ちょっとクズくらいで圭はちょうどいい。
じゃないと私はきっと圭を好きになってしまう。
「でしょ!」
そう言って少し圭の手を引っ張りながら答えた。
私は圭を好きになっちゃいけない。
圭にとって都合のいい女でないとダメなんだ。
圭のことを好きにならない。
私には彼氏がいるから、遠距離だけれど彼氏がいるから。
圭はその寂しさを少し埋めてくれる人。
圭も私もお互いを利用する。
それでいいんだ。
2人とも本気にならない。
そんなこと考えていたら、改札の前にいた。
「じゃあね!」
私は圭に、手を振って改札を通った。
「またね!」
圭の声が聞こえた。
私は決めている。
本命以外は改札通ったあとは振り返らない。
本命しか振り返っちゃいけない。
だから無視をして階段を登った。
電車に乗ってスマホを開く。
『今から帰るよ!
遅くなってごめんね!』
彼氏に送った。
嘘ついたことに罪悪感はある。
別れてもいっか、なんて思ってしまっている自分が憎い。
圭の言葉を本気にしてしまっている自分がいた。
圭はクズだから本気にしちゃいけないんだ。
だから私はまた利用する。
圭が私を利用しているように。
圭への気持ちが本気に変わらないように。
私の一番が圭に変わってしまわないように、今日も私は圭をクズだと思い込む。
幸せになることはないのかもしれない。
それでも私はこっそりのあなたを想う。




