表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
末娘のボディーガードですが、お嬢様は思ったより大人  作者: DxAsis


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

2/4

Mission.2

 ルミエール家の三女にして末娘のアリシアお嬢様。

 彼女のボディーガードとして、私はこの家に雇われた。

 近頃、この家を狙う者達の動きが活発している。

 何故こんな事になっているのか、彼女自身と私の身分上、詳細は私達の身に下りてこない。

 まあ、理由が何であろうと関係ない。

 私は、お嬢様を護るのみだ。

 ガチャっと背後に置くドアが開いた。


「ソフィ? 部屋の前で何してるの?」

「護衛です」

「え?」


 短くそう告げると、お嬢様は目を丸くした。

 そして、彼女は右、左と視線を巡らせた。

 私達の左右には、氷紋(ひょうもん)のような反射を見せる黒曜石の床が広がっている。

 月明かりを浴びて、通路はどこまでも長い。


「幽霊でも襲ってくるの?」


 お嬢様のその言葉は、怯えから出たものではなかった。

 この静まり返った廊下に、敵らしき姿は見えない。気配もしない。

 それをあえて茶化すように口にしたのだ。


「それはどうでしょう。仮に幽霊が出てくるのだとしたら、あいにくと私の専門外です」


 私は即座に返す。


「ソフィ!」


 お嬢様が声を張る。

 軽くあしらわれたことへの不満と、それでも守られているという安心が、ない交ぜになった声だった。


「もう! ここにいたらダメ! 中へ入って。あったかいから」

「それはできません。あなたのボディーガードとしての役目……そして、お嬢様の部屋への入室は許可されて――あっ!」


 言い終えるところで、腕を掴まれ、部屋へ引き込まれた。

 闇に慣れていた目が部屋の灯りで焼けそうになる。


「部屋の見張りをするなら、部屋の中でして」

「ですが、あなたをお守りすることが私の役目」

「だからって、アナタを暗くて冷たい場所にはおいていけないわ。絶対に許さない。これは命令よ!」

 

 ――命令。

 その言葉を使われるのは、毎回、私を守る時だけだ。

 それを今、ふと思い出す。

 ずるい言葉だ。反論のしようがなくなる。

 それでも私は負けまいと、彼女の前で何か方法を考えた。

 しかし、こちらを見つめる緑色の瞳は真っすぐで強く。

 折れる以外の選択はないと、突きつけられていた。


「分かりました。ここであなたをお守りします」


 すぐに状況へ適応するため、私は周囲を見回した。

まず目に入るのは、部屋の奥に据えられた大きなベッド。

 白を基調とした天蓋付きで、柔らかな布が垂れ、寝具は一切の乱れもない。

 戦場とは程遠い、安らぎだけを許された場所だ。

 壁際には大きな窓があり、厚手のカーテンは月明かりの侵入を拒絶している。

 天井から下がる照明は柔らかく、目に優しい光を放っていた。


「窓際に構えてもよろしいでしょうか? お嬢様の睡眠の邪魔はしないよう最善はつくしますので」

「あら、何言ってるのかしら! そこで立って見張れなんて、本当に私が許すと思う?」

「……?」

「服を脱いで、ソフィ」

「……またご冗談を」

「冗談なわけけないでしょ。着替えるのよ、パジャマにね!」


 いやいやいや、それは絶対にダメだ。

 色々と問題がありすぎる。


「お嬢様……それはできません」

「むむっ!」

「不都合が大きすぎる故、任務にさしつかえかねません」


 戸惑いはあったが、言葉は揺らがせなかった。

 それでも、お嬢様の緑色の瞳は、真っすぐで、強い。

 その瞬間、私は彼女が喉の奥に留めている言葉を見抜いてしまった


「これは命令……だと言うのですね」

「理解がはやーい! さすがプロね!」


 皮肉にしか聞こえないのだが?

 やれやれ。お嬢様は寝癖が悪いと聞く。

 本当に大丈夫なのだろうか……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ