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時間の使い方

「足に魔力を集中しながら、とにかく走れ」


 ガロンおじさんの指導は、今日も雑だった。


 「俺も昔、衛兵時代にこれやらされたんだよ。地味に効くからな」


 (いや、地味どころじゃねえ……普通にキツいんだけど)


 そんなわけで、俺は村の周りをぐるぐる走り続ける日々を送っていた。


 足の裏に魔力を意識しながら、ゼェハァ言いながら――。


 「おや、ルクスくんじゃないの。元気ねえ」


 「こんにちは、訓練中なんです!」


 「まぁ! えらいわねぇ。頑張って!」


 通りすがりのおばちゃんたちに声をかけられて、ちょっとだけ元気になる。


 そしてある日。


 教会の前で、見習いシスターの女の子とすれ違った。


 同い年くらい、大きな町から来たって噂の子だ。すっごい美人で、なんか品がある。


 その子が――にこって笑って、手をふってくれた。


 「……っ!!」


 「すげー可愛い!」


 足に力が入り、急に走るスピードが上がる。


 (俺、もっと強くなって可愛い子と結婚するんだ!)



 ――そして、一か月後。


 《スキル獲得:身体強化 Lv1》


 目の前に、ふわっと例のスキル画面が現れた。


 (きた……ついに、きた!)


 もう全身で魔力を込めることができるようになってきてたから、もうすぐだと思ってたんだ!


 さっそく試してみる。


 魔力を足に流して、弓を引く。


 「ッッらあああ!!」


 ビュオンッ!


 矢は勢いよく飛び、木にぶっ刺さる。


 (……前より威力も速度も段違いだ!!)


 その様子を見ていたガロンおじさんが、口元を緩めた。


 「おお……やるじゃねえか」


 「へへっ」


 褒められると、やっぱ嬉しい。



 最近の俺はというと――


 常に身体強化を使って生活している。


 薪割り、荷物運び、走るとき、階段ダッシュ。なんでも身体強化。


 ガロンおじさんと一緒に狩りにも行くようになって、肉も結構食えてる。


 そのおかげか、筋肉もついてきて……なかなか、いい感じだ。


 そう思いながら、俺は今日も走る。


 ――足に魔力を込めて!



 最近、ふと思うことがある。


 (……俺、7歳だよな)


 それにしては、やたら色々覚えが早い気がする。


 魔力感知にしても、身体強化にしても、最初は苦戦したけど――気づけばもう身についてる。


 (もしかして……俺、才能あるのか?)


 なんて思っていたが、ある日ふと気づいた。


 (……いや、違うな)


 前世もそうだったけど、普通の子どもは、村の小さな教会学校で読み書きや数の勉強をしてる。


 でも、俺は行ってない。


 だって農家の3男坊で、教会のお布施もあんまり出せない貧乏な家だから。


 朝起きて、走って、弓を撃って、薪を割って、また走って――


 気づけば、一日中ずっと訓練してる。


 「そりゃー、習得早くて当然か」


 納得した。


 もちろん、最初のころは親父や母さんから「手伝いくらいしろ!」って怒鳴られたもんだ。


 でも、狩りで肉を持って帰るようになってからは、少し空気が変わった。


 「肉があるなら……まあいいか」


 そんな感じで、最近はあんまり言われなくなった。


 それどころか、兄たちにも少し尊敬されてる気がする。


 (やっぱ“結果”って大事なんだな)


 俺は訓練を続ける。


 肉のために、自由のために、強さのために。


 それが今の“俺の勉強”だ。


【ステータス】

名前:ルクス

年齢:7歳

種族:人間(村人)

職業:狩人見習い New

出身:ユレリ村

現在の欲望:もっと狩りが上手くなりたい

スキル:弓術 、解体術、矢製作、身体強化

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