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弟子入り

「……もっと、狩りが上手くなりたい」


あの日のウサギの味が、いまだに舌に残ってる。

囲炉裏の前で家族が驚いた顔をして、笑って、肉にかぶりついてた。

あの感じ最高だった。


やっぱり俺は欲望のままに生きる!

そしてもっとうまいものを食うんだ!


次の日、俺は朝イチでガロンおじさんの家に向かった。


 「なぁ、おじさん。弟子にしてよ」

 「ん?」

 「俺、もっと狩りが上手くなりたいんだ!」


おじさんは腕を組んで、口をひん曲げるように笑った。


 「……ったく、やっぱ来たか。しゃあねえ面倒見てやるか!」


その顔はちょっと嬉しそうで、目の奥がニヤッとしてた。


 「ただし、俺は厳しいぞ? ガキだからって手加減はしねぇからな」


 「わかってる! 俺、本気で肉が食いたいんだ!」


 「……ははっ、そこかよ。まあいい。じゃあ、今日から“授業料”な」


 「えっ」


 「まずは薪割りな。うちの裏に積んであるやつ。あと鶏の世話と、火起こしも」


 「ぜんっぜん関係なくない!? 狩りと!」


 「関係大アリだっつの。獲っても焼けなきゃ意味ねぇ。運べなきゃ肉にならねぇ。あと俺の昼も頼むな」


(なんか、すげぇこき使われてる気がする……)


でも、俺は知ってる。

このおっさん、口は悪いけど――ちゃんと教えてくれるやつだ。



それからの一ヶ月。


俺は薪を割り、矢を削り、動物の腹を開く毎日。

ウサギの皮も一人で剥げるようになったし、匂いにもだいぶ慣れてきた。


 「……お前、意外と根性あるじゃねぇか」


そう言われた時は、ちょっとだけニヤけちまった。


おじさんは、大人用の矢も俺に作らせる。


 「これ、おじさんの分じゃん」

 「おう、授業料って言ったろ?」

 「それ便利な言い方じゃね!?」

 「よく気づいたな。じゃ、次は罠の仕掛け方いくぞ」


俺は文句を言いつつも、毎日めちゃくちゃ覚えていってる。



ある晩。薪割りの帰り道。


空を見上げたら、また画面がフワッと浮かんできた。


【ステータス:ルクス】

年齢:7歳

種族:人間(村人)

職業:農家の三男坊

出身:ユレリ村

現在の欲望:もっと狩りが上手くなりたい

スキル:弓術 、解体術、矢製作


また出てきた。

どうやら俺だけステータスが見れるらしい。


(……まあ、見れても意味ねぇけど)


でも、このステータスは俺の成長の証だ。

もっと成長していつかもっと大きな男になってやろうと思う。


 「……よし。明日は、もっとすげぇ矢、作ってやる」


俺は、ヘトヘトになりながら歩幅をちょっとだけ大きくして、家に向かった。

【ステータス:ルクス】

年齢:7歳

種族:人間(村人)

職業:農家の三男坊

出身:ユレリ村

現在の欲望:もっと狩りが上手くなりたい

スキル:弓術 、解体術、矢製作

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