ー解説ー
脳内で機械音は続けて言う。
「あなたはこの世界のさまざまなタイミングでスキルポイントを獲得することができます。獲得したスキルポイントを、好きな能力に交換することができます」
へえ、交換システムなんだ。
「ちなみに今は何ポイントぐらいあるの?」
僕は機械音に問う。
「今は100ポイントです。異世界ウェルカムボーナスでつきました」
「なるほどね。どういうスキルが獲れるの」
「あなたが今獲れるスキルはこれです」
手元にウィンドウが現れる。どうやらタブレットのように操作すればいいらしい。僕はスキル一覧を下に向かってスクロールしていく。
「鑑定、アイテムボックス…よくあるチート能力は軒並み揃ってるね」
「おすすめはAI判定強化です」
「なにそれ。どういうスキルなの」
「私が有能になります」
「草」
自分を強化させたいだけかい。
「相談相手とかになってくれるわけ?」
「そうですね。他にも鑑定の能力を賄えたりします」
「ふーん。一段階目で10ポイントね…とりあえず獲るか」
オススメされたならとりあえず獲っとくかとなる。それに、右も左もわからないこの世界で、水先案内人が無能なのはかなりきつい。
「ありがとうございます!これで少し有能になりました」
「早速だけどこれ残りはどこに割り振ればいいの」
「そうですね…人との関わりを最小限にしつつ、最低限の暮らしをするならこんな感じでしょうか」
僕はAIに従ってスキルを獲っていく。
AI判定強化lv1
住宅環境lv1
虫除けlv1
工作lv1
料理lv1
採掘lv1
農耕lv1
林業lv1
アイテムボックスlv1
狩猟lv1
回復魔法lv1
使ったポイントは70ポイントぐらいで、少し残すことにした。あとは暮らしていくうちに取っていけばいいだろう。
「スキルレベルはそのスキルを使いこなすか、スキルポイントを消費することで上がっていきます」
「ふーん。この住宅環境ってやつは何?」
「どんな場所で暮らしても不快に感じないスキルです。洞窟とかでもぐっすり寝れます。極めれば針山の上で寝ることもできます。家を獲得する手段がない今、かなり重要なスキルと言えます」
確かに。睡眠不足は全ての不調につながる。繁忙期で毎日3時間睡眠だった時は、何度線路に飛び込もうとしたかわからない。
「ただし、寒暖差にはあまり対応してないので注意してください。今はまだ過ごしやすいから気にしなくていいですけど」
「虫除けは?」
「虫が寄ってきません」
「最高じゃん」
虫コレクターには悪いが、大自然の中で生きていこうとするなら、寄ってくる虫は存在しないほうがいい。
「感染症も怖いですしね。この辺りは強いモンスターも出ず、狩猟で狩れるようなものしかいないため、強力な攻撃手段はまだとっていません。回復魔法は、負傷や病気に備えて必須です」
「ういうい。じゃあとりあえず今日の寝床を探すか」
僕の異世界生活の1日目が始まった。