ー出会いー
「おかえり、サツキ。今回の旅は長かったな」
何が起こったか分からず尻餅をつく僕を横目に、門番は横の青髪美少女に声をかける。
「…いろいろあって。帰ってこなきゃならなくなっちゃった。本当は人に合う街になんて帰ってきたくなかったけど…」
青髪美少女はくぐもって言う。インキャよりだ。親近感が湧く。
「紹介するよ、こいつはソウタ。お前と同じニホンから来たらしい。仲良くしな」
ってことは…この人が2人のうちの1人!テレパシーをくれた人とは少し雰囲気が違うからまた別の人なんだろう。
「あなたが2人のうちの1人…よろしく」
「こちらこそよろしく。危ないところを助けてくれてありがとう」
僕は差し伸べられた手を掴み取る。
「ボスゴブリンくらい異世界転生者なら倒せて当たり前だと思うけど。ほんとに転生者?」
サツキは首を傾げながらいう。うるさいやい、こちとらまだこっちの世界に来て数ヶ月なんですう。
「ソウタは今日冒険者になったばっかだからな。許してやってくれ」
「ってことは…プレーンホワイト?ほんとに?数ヶ月前に来て街に来ないって…それまで何してたの?」
「何って…野山をかけずりうさぎを追ってましたが…」
ビバ野山ライフ。ビバ人と関わらない生活。
「ほんとにやる人いるんだそれ…服とかどうすんの…」
「ほとんど着てなかったけど」
汚れるから。
「うわあ…」
サツキはゴミを見るような目でこっちを見る。たまらない。
「助けるんじゃな…いや、この世界を救うには流石に異世界人は失えない…」
「これからもよろしく!」
僕は振り解こうとするサツキの手を思い切り握った。
「とりあえず僕はギルドに換金に行ってくるから。また後で。今一文無しだから」
「なんだ、お金なら貸したのに。トイチで」
「暴利」
日本で何年前に規制されたと思ってるんだ、いい加減にしろ。
サツキと別れ、僕はギルドに向かうのだった。




