ー楽しくなって来やがったー
「今私は、残った2人の異世界人たちに直接話しかけています。テレパシーってやつですね。みなさんついにこの時が来たと思ってると思いますが…とにかく一度集まりませんか?元の世界に戻りたくないのはみんな一緒でしょうし…今日の夜、最後の街の酒場、猫喫茶で。よろしくお願いします」
テレパシーはそういうと、それ以上続くことはなかった。要点を抑えていていいと思う。
「向こうから連絡来たよ、ナビ子。考えることはみんな同じだね」
「そうですね。じゃあご主人、猫喫茶に向かいますか」
「あ、待って。もうお金ないよ。ご飯も食べれないし酒も飲めない」
流石に見知らぬ人の金で飲み食いする気には慣れない。
「あー忘れてました。じゃあ今からサクッとゴブリン退治にいきますか」
「そんな簡単に終わるもんなの」
「日銭を稼ぐ程度であれば」
「ふーん」
僕はギルドに戻り、お姉さんにゴブリン退治の手続きをしてもらう。
「もうおやつどきですからね。夜までには帰ってきてくださいね。夜は魔物が凶暴になるので、プレーン級の人だと心配です」
「ありがとうございます。無理しない程度に頑張ります」
僕は街の外へと向かう。
「飲み会程度なら10匹も狩れば十分でしょう。とっとと済ませましょう」
門扉に行くと、僕を迎えてくれた門番がいた。
「なんだ、冒険者になったのか。いいね。頼むぜ、この世界を。行ってらっしゃい」
免許証を見せると、門番はそう言ってくれ、僕の背中を押してくれた。
「まずは北へ向かってください。そのうち森が見えるので、森の入り口を草むらに隠れて見守りましょう」
「はいはい」
僕は言われたとおり森の入り口へ向かう。
「ていうかゴブリンって狩猟スキルで狩れるもんなの?」
僕の武器はラビットタビットを狩りまくって鍛えてカンストした、狩猟スキルlv10だけだ。
「余裕ですよ。狩猟スキル3もあれば狩れる魔物です。」
「余裕じゃん。なんでみんなもっと狩らないわけ」
「この世界の人たちは、普通に頑張っても狩猟レベル3がやっとだからです。頑張らなければ、ゴブリンも狩れません。異世界人への与えられたチートの一つは、その成長の速さなんですよ」
あーなるほど。それに、俺たちにはスキルポイントというチートもある。大分優遇されてるんだな。
「ということで、ゴブリンを狩ってください。ほら、森の入り口に1頭出てきましたよ」
「ういうい」
目を細めると、頭の大きな緑色の小人が、あたりをうかがっている。僕は弓を構えて狙いを定める。1発で殺せるように、緑色の頭部を狙う。思いっきり弓を引き、放った。
弓は一直線にゴブリンに向かって行き、見事に頭をぶち抜いた。
「ふう…」
「さあ、ゴブリンは様子見に何頭も出てきますよ。次々狩ってください」
わらわらとゴブリンが出てくる。僕は収まるまでゴブリンを狩り続けた。




