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ー仮初の日常ー

「ラビットタビットの皮ね。一枚30ギルだよ」


「100枚あるから…3000ギルか!」 


「そうだね。今時珍しいね。ラビットタビットの皮だけこんなに集めるの」


 雑貨屋に着いた僕は早速店員にラビットタビットの皮を買い取ってもらう。店員は少しずんぐりむっくりしていて、ボサボサとした黒髪で、もみあげから黒い髭が顎の下まで繋がっている。


「ちょうどよく狩れるのがこの動物しかいなくてさあ。本当はもっと狩れたんだけど生態系を壊しすぎるのも良くないし」


 ナビ子はSDGSに真面目に取り組んでいるので、僕に厳しく生態系を壊さないように言ってくる。この終末に向かう世界で。


「この3000ギルでいい感じに服を見繕って欲しいんだけど。丈夫で動きやすいやつ。できれば上は2枚」


「3000ギルで〜?しょうがないなあ。サービスね。これからもウチを贔屓に頼むよ」


 店員はブツクサ言いながら、ジーパンっぽいズボンと、綿シャツっぽい無地の白のシャツを2枚くれた。1ギル=1円と考えていいそうなので、わりとサービスしてくれた方だろう。少し品質が気になるがしょうがない。


「できれば防寒着も欲しいんだけど」 


「金を稼いで出直しな」


「だよね〜。ズボンとシャツ、ありがとう」


 まあ最低限の衣類が手に入っただけよしとしよう。ていうか本格的に冬が来るなら、防寒はもっと考えなきゃいけない気がしてきた。無理じゃない?横穴で冬を過ごすの。


「まあ、現実的ではないですね」


「どうすんの?この街に住む?」 


「いやこの街はもう住める土地は余ってないので…街の外の家を買うかした方がいいですね。今から建てるわけにもいかないし」


 家って言ったって今から冬が来るまでにそんな大金を用意できる気もしないが…


「街の外の家は残っていれば家にしては二束三文で買えますよ。数十万ギルとか、誰も買い手がいないので。街の中だと一生かかっても手が届きません」


「なるほどね。まあじゃあ目下の目標は貯金だな」


 僕とナビ子は冒険者ギルドに向かうのだった。


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