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09 候補


 今朝も気持ち良い目覚め。


 添い寝するようになってから、ずっとこんな感じの快眠快適生活。


 マーリエラさんの、あったか柔らか良い匂いの素敵ボディのおかげですね。



 お出かけ前の薄化粧しているマーリエラさんに見惚れながら今日の予定を立てるのが、最近の俺の日課。


 特務司法官の化粧は無香料じゃなきゃ駄目、なんていうつまらん決まりごとを作った司法省本部には、あとで文句言いにいかなきゃ。




「それで、今日のご予定は?」


 そうですね、リグラルトぶらり旅はとても楽しかったのですが、


 そろそろ次の国にぶらりしようかなって。


 今日は、候補地選びのための街中散策なんて、どうです?



「なるほど、周辺国の最新情勢を各ギルドで聞き込みする、ですね」


 えーと、あちこちの国の美味いもんとか各国オモシロ豆知識を商店街で聞いて回るっていう予定だったのですが。



「では、両方頑張っちゃいましょうか」

「"二兎を追うものは三兎目を手に入れる優先権を有する"、ですものね」


 へえ、そういうことわざがあるんですね。



「たった今、考えました」


 おっと、こりゃあ一本取られたよ。


 あはは。



「うふふ」



 ---



 各ギルドでの情報収集、


 商店街での聞き込み、


 諸々済ませて、今はオープンテラスなお店で昼食。



 ヴェルクリらしいおしゃれなお店ですが、雰囲気だけじゃなくお味の方も大満足。


 ここが本店だそうですが、いわゆるチェーン店として鋭意展開中だそうで、リグラルト国内の大きな街にはほぼ出店済みだとか。


 確かにあちこちの街に、ここと似たような店構えのおしゃれ軽食屋さんがあったね。



 いずれは他国進出も、などと笑顔で語るオーナーさん。


 まだ若いのに、かなりのやり手ですな。


 もしやと思い尋ねてみたら、やっぱり召喚者の関係者。


 正確には、オーナーさんが召喚者の娘さん、でした。



 小さい頃から聞かされていた、あちらの世界でのお父さんの暮らしぶり。


 特に、こういうおしゃれで親しみやすいお店に憧れていたそうです。


 凄いな、夢を叶えちゃったんですね。


 まだお若いのに。



「もしかして、口説かれてます?」

「お父さんに報告しなくちゃ」

「お父さんと同い歳くらいの素敵なおじさまに口説かれちゃったって」


 いえいえ、お若いのに頑張り屋さんだなって、普通のおっさんがただただ感心してるだけですから。


 もちろん、口説きたくないってわけじゃないんです、


 オーナーさんは、とても素敵な女性ですよ。




「…………」


 ジト目ごちそうさまです、マーリエラさん……



 --—



 お茶しながら、今後の予定を相談。



 このリグラルト王国と接している国は、


 北のアレノマ王国、


 南東のクルゼス王国、


 そしてもちろん、南西のエルサニア王国。



 実は、リグラルトとエルサニアの国境線の真ん中くらいに、


 アルセリア王国という小国もあるそうです。


 ちなみに西は、海。



 ってことで、新規開拓するなら候補はふたつ。


 北方にある魔導国家群の一国、アレノマ王国か、


 南の小国、アルセリア王国か。



「アレノマ王国は、北方魔導国家群の一国です」

「秘密主義で閉鎖的と言われる魔導国家群の中で、ほぼ唯一の開かれた国、ですね」

「アレノマといえば、国内にメネルカ魔導国という独立国家が存在します」

「メネルカ魔導国は、魔法に関する諸々全てにおいてこの世界での最高権威、と言われておりますが、建国以来男性入国禁止を貫いていることでも有名」

「ですので、せっかくアレノマ王国を訪れても、メネルカには入国出来ないのが残念ですね」


「アルセリア王国は、平和な農業国」

「特筆すべき何かがあるわけではないのですが、平穏であることだけは間違いありません」

「そういえば、つい先日慶事があり、国民一同湧き立っているとか」

「今なら、お生まれになった王子の命名祝賀式典にも間に合いますね」

「アルセリア王都内も今まさに祝意最高潮、国を挙げてのお祝いの最中ですので、訪れるだけでも良い思い出になるかと」



 今回はマーリエラさんの希望する行き先にしましょうか。


 その二国以外でも、気になる場所や会いたい人がいれば、是非。



「そうですね、それでは……」




「ちょっとノアルさんっ、いつの間に素敵な嫁さん捕まえちゃったの!」


 おっとびっくり、突然の声掛けは……



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