20 喰後
幌馬車に飛び込んで、銀色の球を持ち上げた。
結構重いですね、『アンチ』さん。
『失礼ね!』
あー、ごめん。
ってか、本当にぶん投げちゃっていいの?
『早く!』
ゆっくり近付いてくるスライムに、
『アンチ』さんをえいやっと……
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喰われたね。
『アンチ』さんを丸呑みしたスライムが、
にやにや笑ってた若造を、
ぐわって変形して飲み込んだよ。
人のカタチしてたスライムが、
あっという間に元の大きさに戻った途端、
みんなが目を覚ました。
「えーと、何があったの、ノアルさん」
「俺、寝ちゃってたみたいだけど……」
あー、説明するけど、ちょっと待ってね、アシュトさん。
俺も混乱してて、頭ん中を整理しないと。
「襲撃、されたのですか?」
そう、変な若造に襲われたの。
マーリエラさんたちがいきなり眠らされたけど、
『アンチ』さんが助けてくれたのね。
えーと、ちょっと待ってて、
周りが安全かどうか調べるから。
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広範囲『鑑定』で周囲の安全を確認。
普段ならこれで安全って言えるけど、さっきもいきなり襲われたし、
100%安全ってわけじゃ無いんだよな。
『私の『探査』でも安全そうだけど、しばらくは要警戒だよ』
はい、了解。
って、今は銀色スライムだけど『アンチ』さん、だよね。
『幌馬車を寄せるから、ちょっと待ってて』
おっと、馬っぽいカタチに変形した銀色スライムが、
幌馬車を牽引してくれてるよ。
「どういうこと、コレ……」
「あの銀色のスライムが『アンチ』さん?」
あー、めっちゃ説明大変だよね、これ……




