18 遭遇
突然、街道で止まってしまった幌馬車の前に現れたのは、
ナマイキそうな若造。
うわっ、こういう目付きするヤツ、よく知ってるよ。
自分の強さと賢さに絶対の自信を持ってて、人を見下しまくってるタイプ。
他人の痛みなんて1ミリも興味無いから、どんな残酷なことでも平気でやる。
俺のおっさんとしての経験と勘が、警鐘バリバリ。
この若造は、絶対に関わっちゃダメなヤツ。
敵対してきたら……殺し合うしか無い。
「めんどくさいな」
「邪魔とか抵抗しないなら、楽に終わらせてやるよ」
……やってみな。
久々に"スイッチ"を入れようとしたら……不発かよ!?
「あー無理無理、僕の『フィールド』内は魔法もスキルも全部無効だから」
「…………」
「ってか何それ、今まで見たことないんだけど、『変質』って」
……俺を『鑑定』したな。
「なんか面白そうだから、それ貰うよ」
「………………」
「はぁ?」
?
「うわっ、気持ちわるっ」
「なんで僕の『スキルローバー』が効かないの?」
知らんがな、キモ小僧。
ってかベタ過ぎるだろ、『スキルローバー』って。
俺の固有スキルを盗ろうとしたのがバレバレ。
---
アイツが警戒して動かない今のうちに考えろ。
あの小僧は、複数の能力を持ってる。
まずは、みんなを一瞬で眠らせた能力。
馬まで眠らせるほど強力な能力なのに、何で俺だけ起きてるんだろ?
それと、こっちの能力の発動を阻害してるのが『フィールド』
俺の"スイッチ"は、魔法や固有スキルみたいな"能力"じゃなく、通常スキルを無理に使い過ぎた時に成ってしまう"状態異常"
ってことは、本当に何でも見境無しに阻害出来るってことかよ。
で、相手の固有スキルを奪う能力が『スキルローバー』
たぶんこれで盗みまくって複数能力持ちになったんだろうな。
何故か俺の『変質』は盗めなかったっぽいけど。
……結論、
今の俺に出来ることは、"スイッチ"が入ってない素の状態での徒手格闘のみ。
だって武器なんて持ってないし。
まあ分かってはいたけどさ、
アイツが俺よりヨワヨワなことを祈って、
覚悟決めて突っ込むしかないってか。




