17 帰路
残念ながら、ゴーレムボディは手に入れられなかったのです。
メネルカ製ゴーレム、確かに存在していたのですが。
この街での俺たちの役割分担は、
アシュトさんとツテの人が、指輪の入手、
マーリエラさんは、ゴーレムボディ、
俺は……お留守番。
入国許可を得たマーリエラさんは、
メネルカ内で各所を訪ね歩いてゴーレム入手方法を模索。
魔導具技師や老舗商店、在庫確認とか新規見積もりとか、
いろいろ頑張ってみたそうですが……
確かに、メネルカ製ゴーレムは存在するそうです。
ただし、バリバリの軍用。
大軍隊相手に"薙ぎ払え"しちゃうような、
個人所有絶対NGの物騒なシロモノ。
そして、大型ゴーレムを新規製造出来る魔導具技師は、今はいないそうです。
メネルカに現存しているゴーレムは、過去の伝説的な天才魔導具技師たちが残した遺産。
現代の魔導具技師では、マニュアル通りに整備するだけで精一杯で、
複製や新規製造は無理、だそうです。
どうやら『アンチ』さんも、大昔に製造された超技術ゴーレムらしくて、
つまりは、見合うようなボディは現代の魔導具技師では製造不可。
なんでも、ゴーレムコアとしての魔導出力がケタ違いにデカいそうで、
現代技術で製造されたゴーレムではそれに耐えられないだろう、ですって。
つまり、メネルカに現存しているボディはシロウトが扱えるモノでは無く、
『アンチ』さんがコアとして凄すぎて、見合うようなボディは現代技術では製造不能。
要するに、メネルカでは空振りってことで。
「すみません、お役に立てませんで」
いえいえ、マーリエラさんのせいではありませんよ。
むしろ、詳しい事情が判明したのはラッキーですよね。
将来、天才的な魔導具技師のゴーレム職人が現れて、問題解決してくれるかもしれませんし、
どこかのダンジョンに、いい感じの古代技術ボディが落っこちてるかもしれませんし。
手に入れるための方向性が分かっただけでも進展ですよね。
「流石はノアルさん、前向きですね」
いえいえ、マーリエラさんこそ、お疲れさまでした。
zzz……
って、いきなり寝ちゃったし。
そんなに疲れてたんですか。
ガタンッ
おっと、突然馬車が停まったよ。
どうかしましたか、アシュトさん。
zzz……
あれ、アシュトさんも寝てるし、
ってか、もしかしてお馬さんも寝てるの?
ナニゴトですか、これ!?
「なんで起きてるんだよ、おっさん」




