11 油断大敵
縁は異なものと申しますが、まさにそんな感じで急遽メネルカ行きが決定。
ヴェルクリ商店街で旅支度を整えたら、
アシュトさんの幌馬車で一路メネルカ魔導国へ。
おっとその前に、まずはアレノマ王国だったね。
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「ノアルさんから聞いてると思うけど、旅の警備の方はそこの『アンチ』にお任せして大丈夫だから、安心してイチャイチャしてね、マーリエラさん」
「ありがとうございます、アシュトさん」
「頑張って、これまで以上にイチャイチャしてみせますね」
あー、ヤバいね、これ。
以前もそうだったけど、アシュトさんの幌馬車での旅って、
『アンチ』さんがめっちゃ頼りになるからハンパ無く快適なんだよね。
楽しい旅が出来るのは間違い無いだろうけど、
マーリエラさんもいろいろとヤル気満々みたいだし、
諸々油断大敵ですよ、俺。
「ほらっ、マーリエラさんっ」
「旦那さんが柄にもなく緊張してるみたいだから、リラックスさせてあげてっ」
「お任せください」
「こういうこともあろうかと、耳削ぎうさぎの臭腺から抽出されたリラックス効果抜群の妙薬が」
ホント、勘弁してくださいよぅ……
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アシュトさんの幌馬車での旅は、相変わらずの快適さ。
念のため、俺の広範囲『鑑定』でもチェックしてるけど、
『アンチ』さんの結界は、魔物も野盗も完全シャットアウト。
頑張ってくれてる『アンチ』さんには、早く身体を見つけてあげたいよね。
「旅商人仲間にも探してもらってるんだけどさ、なかなか無いんだよね、いい感じのゴーレムボディ」
そういえば、メネルカ魔導国って魔導具技術も凄いって聞いてますけど、
もしかしたらあるかもしれませんね、掘り出し物のメネルカ製ゴーレム(本体のみ)とか。
「うん、実はそっちの方もちょっと期待してるの」
「たださ、『アンチ』は指輪の方を優先しなさいって言ってくれてるのね」
「そんなこと言われちゃうとさ、なおさら頑張んなきゃって思っちゃうわけ」
アシュトさんと『アンチ』さんの"絆"ですね。
でも凄いな、念話みたいな方法で、離れていてもお話し出来るんですよね。
「そうなの、スゴいでしょ」
「ホント芸達者だよね、『アンチ』って」
「コアだけになってからめっちゃ長い時間ひとりきりだったんで、有り余る魔力で何か出来ないかって頑張って修行したんだって」
守護結界と念話の他にも、いろいろ出来るのですか?
「なんか他にもいろんなワザがあるみたいなんだけどさ、人族にはまだ早いですから、なんて言うんだよ、失礼しちゃうよねっ」
……どんな凄ワザなんだろ。
何にせよ、この問題がメネルカ行きで解決出来たら嬉しいですね。
「だよね、ついでにノアルさんがのんきすぎる件も解決したいよねっ、マーリエラさんっ」
「もしかしたら、メネルカ魔導国の魔法なら……」
うわっ、ヤブヘビですよっ。
ってか、そんな人格改変しちゃうような洗脳魔法なんて、マジご勘弁……




